日本一“座席が多い”大型観光バスを実見 割り切った詰込み仕様 コロナ禍でもアリ?
2年ぶりの首都圏開催となったバスの展示会「バステクin首都圏」にて、三菱ふそうが大型観光バスとしては日本一座席の多い車両を出展。いまのご時世ではちょっと不利な面もある詰込み仕様ですが、意外なニーズもありました。
日本一座席が多い13列65人乗り仕様
バスの展示会「バステクin首都圏」(主催:ぽると出版)が2022年11月22日に幕張メッセで開催されました。大手バスメーカーから新興、バス周辺機器メーカーまで様々な出展があったなか、三菱ふそうが持ち込んだのが、大型観光バス「エアロエース」の“13列仕様車”です。
エアロエース13列仕様。運転席含め66人乗り。車体のプリントは三菱ふそうバス製造の新事業のアピール(乗りものニュース編集部撮影)。
通常の大型観光バスは座席が最大でも12列配置、補助席含めて60席というのがひとつの限界でしたが、このバスはプラス1列の13列、最大65席を有します。三菱ふそうバス製造が、事業者であるしずてつジャストラインと共同で開発し、コロナ前の2019年に発売しました。
ちなみにこのバスは過去のバステクにも出展されていますが、今回はボディに三菱ふそうバス製造の地元、富山の風景が描かれた仕様。同社の新事業「ボディプリント事業」をアピールしていました。
では、どう1列分をスペースを捻出したかというと、シートの背面や座面の厚みを小さく、かつ軽くしているのです。実際に乗ってみると、確かに“薄い…”と思えるシートが並んでいます。リクライニングもしません。
しかし座面は程よい反発力があり、意外と座り心地は悪くありません。座席のひざ下スペースはむしろ、一般的な12列席のバスと比べ269mmから287mmに広がっているそうです。
「少しでも輸送力を増やして運転手不足に対策したい」。三菱ふそうバス製造の担当者はこう話します。そもそも開発のきっかけも、しずてつジャストラインが空港線の混雑に対応しようにも運転手不足で増便が難しく、1便あたりの輸送力を増やす目的がありました。
比較的近距離の高速バスや、企業・商業施設などの送迎バス用途を想定しており、乗り心地は“割り切り”でつくられたこの車両、価格は通常のバスと同程度だといいます。
ただ、コロナ禍でバス販売は苦戦を強いられています。ましてや、こうした詰め込み発想のバスは難しい反応なのかと思いきや、2席を1人で利用するなど、座席を間引いて考えたうえで好反応を示す顧客もあるといいます。