東京で子育てするなら必需品? 子乗せ電動アシスト自転車は何が便利なのか 死角はないのか
東京で子育てをしていて驚くのが、子ども乗せ電動アシスト自転車の普及率の高さです。クルマ社会の地方では低く、保育園や幼稚園の送迎方法にも、大きなギャップがあることが伺えます。何が魅力なのでしょうか。
東京だと電動子乗せ一択? なぜここまでシェアを獲得できたのか
今春、地方から東京へ引っ越して来た筆者は、東京での子ども乗せ電動アシスト付き自転車の普及具合に驚きました。我が家は非電動の子ども乗せ自転車なので、余計に気になったのです。世田谷の周辺では子乗せ自転車で非電動モデルに遭遇することは少なく、唯一見かけたのは、簡易的な椅子を取り付けたオシャレ自転車で駒沢公園を走るパパさんでした。これもおそらくメインカーではなく、2台目3台目の趣味自転車と思われました。
子乗せの電動アシスト自転車。車輪が小さい前後20インチモデルが主流だ(画像:写真AC)。
30代の子育て世代では、電動アシスト付自転車の保有率が約4人に1人――という調査結果もあります。2021年にau損害保険が発表したもので、全国の自転車利用者5670人を対象にとしたものでした。加えて、筆者がママ友人脈を駆使して子連れの足を調べたところ、東京都心部で子育てをする人の実に90%が、子乗せ電動アシスト付き自転車の所有経験有りという結果でした。
一方で、地方在住の子育て世代での普及率は15%といったところ。クルマ社会の地方では、保育園・幼稚園の送迎もクルマというケースが多いことがうかがえますが、それにしても東京とは大きなギャップが存在します。
都内の朝夕、保育園・幼稚園の送迎では当たり前のように、子どもを乗せた電動自転車が多数公道を行き交っています。駐車場がほとんどない都心部の保育園・幼稚園において、送迎バスがない限り徒歩、もしくは自転車しかあり得ないというのが実情でしょう。といっても、必ずしも家の近くの保育園・幼稚園に通えるわけではなく、それこそ、毎日ひと山を越えて子供を送迎するようなケースもあります。
そして、もう1つの理由は、坂が多いこと。都内には名前がつく坂だけで900もあるといいます。起伏に富み高低差がある街を、就学前には20kgにもなる我が子を乗せ、電気の力を借りずして自転車移動するのは罰ゲームでしょう。
保育園や幼稚園の送迎以外でも、ただでさえ億劫になる子連れ外出に「フットワークの良さ」を与え、行動範囲を広げるうえでも、電動という技術の恩恵を受けない理由はないのです。
懸念点もたくさん しかし買って損なし?
そうは言っても、電動アシスト自転車にも死角はあります。一番ネックになるのは、その高額な価格。新車の相場は12〜15万円なので、決して安い買い物ではありません。二の足を踏むのも当然です。
メンテナンスの手間やバッテリーのランニングコスト、盗難の恐れ、そして取り回しの不便さもデメリットとして挙げられるかもしれません。現在の子乗せ自転車は前後20インチタイヤで重心を低くしており、前後に子供を乗せた際の安定感も向上していますが、それでも、バランスを崩して横転する悲しい事故も後を絶ちません。
また、取り回しの点では、駐輪場の構造上、平置きのスペースしか使えず、争奪戦の様相を呈しているケースも多くみられます。
そこに目を付けたJR東日本グループのジェイアール東日本都市開発は2022年から、子乗せ電動アシスト自転車を定額でレンタルするサービスに加え、駅チカの専用駐輪場をセットで用意するサブスクサービス「CHARICO(チャリコ)」を展開しています。税込み料金は月額7700円から。線路の高架下スペースを活用した鉄道事業者ならではのサービスですが、逆にいえば、子乗せ自転車の価格が一つのハードルになっていること、また自治体などが整備する駅前駐輪場で、子乗せ自転車のためのスペースが不足していることの裏返しといえます。
都内の駐輪場。雨の日の送迎を終え、カッパが掛けられた自転車も見られる(乗りものニュース編集部撮影)。
高額な子乗せ自転車ですが、先ほどのママ友調査ではみんな口を揃えて「充分元が取れる」「時間と体力の節約には必須」「子どもが成長しても買い物で使える」「これから先も電動以外乗れない」「もっと早く買えば良かった」「平地で子ども一人なら電動は不要と思っていたが、2人目ができると、子乗せ電動ナシではありえない」「一人っ子だが長距離移動もできる電動で助かった」「車もあるけど自転車の方が便利」など、肯定的な意見が多く寄せられました。