ウェブブラウザ「Firefox 103」の正式版が公開されました。大きな変更点はないものの、キーボード入力によりツールバーを操作できるようになるなど、ユーザビリティーの向上を図る細かな変更がみられます。

Firefox 103.0, See All New Features, Updates and Fixes



◆キーボード入力によるツールバー操作

キーボードの「Tab」キー・「Shift+Tab」キー・矢印キーなどを使用してツールバーのボタンにアクセスできるようになりました。

Access toolbar functions using the keyboard | Firefox Help

https://support.mozilla.org/en-US/kb/access-toolbar-functions-using-keyboard

どんなキー入力でどのようにツールバーを操作するかは、以下のとおりです。

・「Ctrl+L」キーでアドレスバーに移動する

・「Tab」キーや「Shift+Tab」キーでツールバーのグループ間を移動する

・目的のグループに到達後は、左右の矢印キーを使用してグループ内のボタンを移動する

・目的のツールバーボタンに到達後は、「Space」キーもしくは「Enter」キーによりボタンをアクティブにする

・「F6」キーでツールバーからウェブページに素早く戻る

・Windows限定:メニューキーもしくは「Shift+F10」キーでボタンのコンテキストメニューにアクセス可能となる

従来どおりTabキーでURLバーと検索バーを移動したい場合は、設定エディターを用いて以前の動作を復元できますが、動作が不安定になる可能性もあるため自己責任となります。

◆PDFフォームの必須入力フィールド強調表示

Firefoxの内蔵PDFビューアーでPDFフォームを開いた際、必須入力フィールドが強調表示されるようになりました。これにより、必須入力フィールドへの入力忘れにユーザーがより気付きやすくなります。



◆Windowsインストーラーの改良

Windows 10および11へのインストール中に、FirefoxをWindowsタスクバーにピン留めするようになりました。これにより、インストール直後からFirefoxをすばやく起動できるようになります。

◆macOSでの応答性が向上

最新のロックAPIに切り替えることにより、高CPU負荷下にあるmacOSでの応答性が向上しました。

◆高リフレッシュレートモニターのパフォーマンス向上

高リフレッシュレートモニター(120Hz以上)で表示する際のパフォーマンスが向上しました。

◆ストリーミングサービス利用時のPicture-in-Picture機能改良

Firefox 102で実装されたストリーミングサービス利用時のPicture-in-Picture(PiP)機能について、字幕のフォントサイズをPiP画面上で直接変更できるようになりました。

◆Windowsの「文字を大きくする」アクセシビリティ設定の適用範囲拡大

Windowsの「文字を大きくする」アクセシビリティ設定が、システムのフォントサイズ以外にも、すべてのUIページとコンテンツページに対して影響するようになりました。

◆フォームコントロールからのテキストコピーに関する修正

フォームコントロールからテキストをコピーするときに、改行しないスペースが保持されるようになり、意図しない改行が追加されることがなくなりました。

◆LinuxのNVIDIAバイナリドライバーのパフォーマンス改善

LinuxのDMA-Bufを介したNVIDIAバイナリドライバーのWebGLパフォーマンスの問題を修正しました。

◆証明書のSHA-1署名がサポート外に

証明書でSHA-1署名を許可する構成オプションが削除されました。 証明書のSHA-1署名は十分な安全性がないと実証されてからしばらく経ちますが、今回のバージョンアップでついにサポート外となりました。

また、Firefox 103には8件のセキュリティバグフィックスが含まれています。

なお、次期メジャー版となる「Firefox 104」は現地時間の2022年8月23日にリリース予定です。