直撃取材をうける今井メロ

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 最近、キラキラネームがニュースになった。

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キラキラネームの今井メロ

 法務省が、漢字の意味と読み方の関連性を重視する試案を発表。「海(まりん)」や「光宙(ぴかちゅう)」などは認められる方向だという。

 そんなキラキラネームを持つ有名人・今井メロ(34)もニュースになった。世に出たときは、当時の本名である成田夢露。兄の童夢(どうむ)や緑夢(ぐりむ)とともにスノーボード界の「成田三きょうだい」として注目を浴びた。

 その後、チームの代表でもあった父と対立。父とは離婚していた母の姓に変え「今井夢露」となる。選手としては「今井メロ」を名乗り、18歳でトリノ五輪に出場した。

 ただ、それ以降は紆余曲折の日々。2度の結婚と離婚、それぞれの相手と1人ずつ子宝にも恵まれたが、中学卒業後、スポーツひと筋で来た人がシングルマザーとして生きていくのは容易ではない。キャバクラや性風俗でも働き、生活保護を受けたことも告白。ヘアヌードの写真集を出したり、アダルトビデオにも出演した。

 引きこもりや自傷行為、妊娠中絶についてもカミングアウトしており“キラキラ”というよりは“ドロドロ”と呼びたいような10数年間だ。

 では、今回のニュースはというと──。正社員として働いていた居酒屋から契約の変更を持ち出され、経済的な理由で退職したことをブログで告白。すぐに新たな職を探し始めたものの、面接で受かったあとに落とされたことを明かした。

 働き始める日まで決まっていたのに、電話がかかってきて、

《書類確認させてもらったんですけど……今井メロさんですよね あのぉ、1度採用したのに申しわけないのですがウチは著名人を雇えるほどのキャパじゃないので今回は辞退してもらえますかね》

 と、申し入れがあったという。彼女は《悲しいです。ただただ悲しいです。(略)ただ普通に生きることが私にはとてつもなく難しいです》と綴り、

《人生迷子中》

 というひと言で締めくくった。

 落とした側はおそらく、彼女が「著名人」なだけでなく「お騒がせキャラ」であることを気にしたのだろう。芸能界ではそれも話題性というメリットになりうるが、一般社会ではそうでもない。

「悪名は無名に勝る」も「普通に生きる」は難しい

 そこで思い出すのが「悪名は無名に勝る」という言葉。フリーアナウンサーの高橋真麻はフジテレビ時代、アンチの悪口に悩まされたが、父・高橋英樹からこの言葉を教えられ、開き直れたという。

 ただ、これは芸能一家ならではの対処法だ。一般社会では「悪名」より「無名」のほうが生きやすかったりする。

 そもそも「普通に生きる」という今井の願い自体、こうなってしまってはどこかむなしい。キラキラネームをつける親は、子どもに「キラキラ」した人生を期待するし、彼女もそういう人生を目指し、それを楽しんできたふしがあるからだ。

 五輪の壮行会で「夢」と題したラップを披露してみたり。のちに彼女は、周囲の大人に乗せられてやったことだと語ったが、キラキラネームはネタにもされがちだ。そんな空気が生まれやすく、彼女はそこに乗りやすいキャラでもあったのだろう。

 いったん背負った「キラキラ」のイメージはなかなか消えず、挫折が続いたからといって簡単には軌道修正できない。

 こうして見ると、キラキラネームは諸刃の剣だ。ともすれば、その人生が「迷子」になるリスクがあることを、法務省は注意喚起すべきかも。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)