※この記事は2019年11月30日にBLOGOSで公開されたものです

「桜を見る会」が問題になってるね。内閣の公的な行事だっていうのに、安倍さんが地元山口の後援会を大勢呼んじゃって飲み食いしてるって。安倍さんが総理になってからどんどん規模が増えてったって話だけど、実際の数字はどうなってるんだっけ?

<「桜を見る会」参加者数> 13700人(2014年)→18200人(2019年)※33%増
<「桜を見る会」支出額> 3005万円(2014年)→5518万円(2019年)※84%増


増税しながら招待客を2000人増やしていた

あのさ、2014年の春って消費税が5%から8%に増税されたんだよな。消費増税は野田政権から引き継いだことだけど、国民に大きな増税が課された春だ。

なんだ編集部? 安倍さんが総理になって「桜を見る会」を最初に開催したのが2013年で、次の2014年には参加者が2千人増えてるって? それをここで改めて聞くと言わざるを得ないよな。国民に大きな増税を課しておきながら、自分の行事は規模を広げて税金を余計に使っているわけだ。あのさ、「この春は増税しましたので、内閣の行事は出来る限り節約します」って配慮なんかまったく無かったんだな。

でもって、今年2019年は10月に消費税が8%から10%に増税された。だけど「桜を見る会」は、来年度の予算要求が5700万円。今年よりもさらに増やしてくれって話だった。増税はするけど節約はしない。もちろん今はこれだけの問題に広がったことで来年度の開催は中止になった。でも、重要なのは、この問題が指摘されなかったら、国民には消費増税をしておきながら、それでもなお、自分がメインの行事の予算を増やそうとしていた。どう思う? 

なんだかさ、増税に苦しむ庶民を尻目に、「おともだち」たくさん集めて花見しながら飲み食いする会を年々拡大って、安倍さんはマリー・アントワネットなの? 日本はいつから18世紀フランスになったんだ(苦笑)。

あとね、安倍政権下での「桜を見る会」の参加者数と支出額のグラフってすごいよね。見事な右肩上がり。アベノミクスって実は「桜を見る会」のことなんじゃないの? 絵に描いたような成長ぶり。さすがに気が重いよ(苦笑)。

背中に彫った桜も見る会?

この「桜を見る会」、連日連日いろんな問題が指摘されて安倍さんの言い訳が続いてるけど、なんだか元暴力団員とか、体じゅうタトゥーだらけの反社会的と呼ばれる人物も参加してたって話が出てたね。一国の総理と現役の閣僚たちが集う場なわけで、だからこそ高い予算を投じて厳重な警備をしているんだろうけど、セキュリティはどうなってるんだろう? もしかしてそういう人物も招くのも総理の演出かな? 「背中に彫った桜も見る会」ってわかる人に喜んでもらおうって(笑)。

もしそうでなく、単に招待者の人選も会場セキュリティもずさんだったから、そういう怪しい人も参加してたってことだとマズイよな。ひとまず来年は中止だから、そのあとは仕切り直しだな。五輪のマラソンみたいに東京から札幌に移しちゃうか? 札幌だから「サクラを見る会」改め「イクラを見る会」にしちゃう。ありゃ、わざわざ眺めるもんじゃないか(笑)。

「桜を見る会」なんてさ、要するに時の総理が芸能人やスポーツ選手と一緒に笑顔で写真撮ったりして、その模様がニュースで流れて、これで少しでも支持率なり好感度が上がれば儲けものだな~っていう人気取りの場だよね。だから、あそこで写ってる笑顔がどうも下心が見え隠れして、収まりが良くないんだよな。どっかで似たようなのを見たことあるよ。あれはどこだったかな? あっ、そうそう北朝鮮の将軍様と喜び組だ!?

功労者を讃えるのは表彰で十分

あのね、改めて「桜を見る会」の主旨というのは「内閣総理大臣が各界において功績、功労のあった方々を招き、日頃の御苦労を慰労」するってことなんだけど、俺が思うのは、あえてそんな場を設けなくたっていいんじゃないかってこと。だってこの国には、国が行っている様々な表彰があってさ、政府も省庁も役所もきちんとした基準で人選して各界の「功績、功労のあった方々」を表彰して讃えてる。だから本来はそれで十二分なんだよ。

表彰ってたくさんあるよ。ちょっと編集部、調べてみなよ。・・・ほらほら、やたらあるだろ。総理大臣からの「国民栄誉賞」「内閣総理大臣顕彰」、各大臣からだと「外務大臣表彰」「財務大臣表彰(納税表彰)」「厚生労働大臣表彰(卓越技能賞)」「総務大臣表彰(防災まちづくり大賞)」「法務大臣表彰」「文部科学大臣表彰(芸術選奨、科学技術賞)」「経済産業大臣表彰」「防衛大臣表彰」「環境大臣表彰」「国土交通大臣表彰」「農林水産大臣表彰」「内閣官房長官表彰」・・・、それから各省庁ごとの表彰も、国税庁、金融庁、警察庁、消防庁、文化庁・・・etc。どこもかしこも表彰してるよ。

とにかく大臣と役所と公的機関の数だけ表彰があって、それこそ御年輩から小学生まで数多くの人が表彰されて、それをもって「各界において功績、功労のあった方」をきちんと讃えているわけだ。そしてそれは国民の税金でまかなわれてるんだから、「桜を見る会」で二重に税金を使うことはないんだよ。

ちなみに、内閣や官公庁による表彰ってとても栄誉なことだから、新聞にも掲載されるし、表彰者のリストも各省庁のホームページで公表している。すごく晴れがましいことだからね。だけど今年の「桜を見る会」は終わってすぐに招待者のリストを個人情報だからって理由で廃棄したっていうんだろ。リストがあってもすでに黒塗りだらけって話だ。内閣主催の本来は栄誉ある晴れがましい個人情報なのに、まるでやましい罪人の個人情報みたいな扱いだもんな。

でも、それはそれで正鵠を射ているのかもしれない。なにしろ「各界において功績、功労があった」わけではないのに「桜を見る会」に出席してたなら、そこに掛かった経費は元々税金だ。出席者は各々ひとり何千円ずつでも国庫に返さないと、単なる税金泥棒だよ。返すもの返さないと言われちゃうよ、「税金泥棒の総理と税金泥棒たちが桜を見る会」だったって(苦笑)。

こんなふうに「桜を見る会」が大きく問題視されるようになったのは、ご存知のとおり共産党が暴いたからだヨ。国の金遣いにはすこぶる敏感な党だからね。あのね、元都知事の石原慎太郎が以前オレにこんなふうに言ったことあるよ、「共産党は国から政党助成金を貰わない、あれはエライね」って。
共産党はさ、政党助成制度に反対してて受け取らないんだよな。ちなみに自民党はいま年間いくら貰ってるの? 175億円か。いやあ、そしたらそのぶん共産党は燃えてるだろうね。「桜を見る会」問題で175億円ぶん叩いてやるぞ、政権は取れないけど鬼の首は取ってやるぞって(笑)。

災い転じて福となった萩生田大臣の「身の丈」発言

あとさ、萩生田さんって文科大臣の「身の丈」発言ってあったよね。大学入試の英語民間試験導入が受験生の経済状況によって不公平になる制度だってことに、萩生田さんが「(受験生は)身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」って言っちゃったら、一気に大問題になったという。

結局、萩生田さんが「身の丈」発言をしたことで、不公平な試験制度が延期になった。これに関して萩生田さんからしたらチョンボなんだけど、全国の高校の先生や学生は「萩生田さん、グッジョブ!」ってむしろ感謝してると思うよ。まあ、ものごとってのはそういうことあるよ。ことわざにもある、「悪を転じて徳を成す」「災い転じて福となす」とかね。

この英語民間試験導入って、元々は前任の文科相だった下村博文さんが引っ張ってきたんだろ。下村さんも「萩生田の野郎、余計なこと言いやがって!」とご立腹だろうね。そのおかげで試験を行う民間業者と与党議員の「おともだち」関係とか、制度に消極的だった東大を下村さんが脅したとか、あれこれ週刊誌に書かれてるしな。

しかし最近の文科大臣って、下村さんとか萩生田さんとか、国家を担う教育や学問の在り方とか、将来の国を担う子どもや若者たちよりも、お金でつながる「おともだち」のほうを見ているようなガメつそうな人が就くようになっちゃったな。

昔はさ、文部大臣っていうと教育者としての哲学を有するような人物が就任してたよ。吉田内閣の時にいた天野貞祐っていう文部大臣なんかそうだったね。天野さんはのちに獨協大学の初代学長になった方だ。偉人という言い方がふさわしい風格があった。

だからさ、萩生田さんも下村さんも文科大臣という「身の丈」に足りてないんだよな。経済産業大臣だった菅原さん、法務大臣だった河井さん、どちらも公職選挙法違反を問われて立て続けに辞職してたけどあの人たちも大臣の「身の丈」にまったく足りてなかった。

ウーン、内閣を見渡せばあの大臣もこの大臣も、大臣にふさわしい「身の丈」が不足。内閣行事である「桜を見る会」を見渡せばあの出席者もこの出席者も、出席者にふさわしい「身の丈」が不足。あっちこっちで「身の丈」不足。まさにこの国は今、「身の丈不足内閣」なのかな・・・。

(取材構成:松田健次)