スイーツ食べ放題に露天風呂 ラブホテル写真集を作った女子大生に聞いた新しい楽しみ方 - BLOGOS編集部
※この記事は2019年11月18日にBLOGOSで公開されたものです
2019年2月、福岡在住の女子大生がクラウドファンディングで立ち上げた「平成のラブホの姿を残した写真集製作プロジェクト」。募集から約1か月で目標金額の40万円を達成したプロジェクトはその後も金額を伸ばし、募集終了時には55万円、128人もの支援者を集めた。 『HOTEL ヘイセイ』表紙
きっかけは「昭和のラブホテル写真集」
──現役女子大生ということですが、簡単に自己紹介をお願いします。1998年生まれの21歳です。福岡にある西南学院大学を中退し、日本大学の通信制に編入したので、あと2年間は学生の予定です。
普段はIT系ベンチャー企業でインターンをしつつ、個人事業としてラブホテルの写真集を出版したり、ラブホテルのアドバイザーや企画・広報をしたりしています。
アラキアヤノさん
そもそもは自分がラブホテルに行くというよりも、ラブホテルという特殊な空間について考えることが好きでした。1日に何組ものカップルが出入りしていて、そこで数え切れない程のドラマが生まれるところに感慨深さを感じます。
また、プロジェクションマッピングのような空間をプロデュースするお仕事に興味があったので、将来は空間演出に関わる仕事に就きたいなとぼんやり思っていました。
そんな時に大学の図書館で昭和のラブホテル写真集を見つけて、「こんな非日常的でドスケベな空間が街なかにあるのか!」と感銘を受けたのがきっかけです。そこから、平成バージョンを作ることを思いつきました。
──クラウドファンディングで資金を集めることに不安はなかったですか?
不安はなかったです。プロジェクトを始める前にTwitterで呟いてみたらいいねが600くらいついたので、これはイケるなと確信しました。
「意外とみんなスケベだなー」と思ったんですが、実はエロ目線ではなくて、ラブホテルに行ったことない女の子からの反響が大きかったです。
──学業を続けながらの製作作業は大変だったのでは?
福岡に約200軒あるホテルから、ラブホテル検索サイトのカップルズやハッピーホテルで雰囲気を調べて、写真集のテーマである「平成」に合いそうな場所を探して、自分で1軒1軒アポ取りをしました。
断られることも多くて、打率で言うと4割ぐらいでしたね。
最終的には16軒掲載許可をいただいて、春休み中に撮影を終わらせて、そこから編集と学業を並行しながら進めていったという感じです。今思えば、よくやったなと思います(笑)
──「平成」っぽいホテルを選ぶ基準は何でしたか?
ちょっと田舎に行くと、未だに回転ベッドがあるTHE・昭和なホテルがあったりするんですが、そういう「エモさ」よりも、あまり知られてない「最新」のラブホを集めました。
パティシエがキッチンで作ったデザートが食べ放題だったり、露天風呂が付いていたり、ベッドや装飾が特徴的だったり、みんなが行きたいと思えるような場所を載せています。
『HOTEL ヘイセイ』より
お風呂にスケベ椅子があるホテルは間違いない
──写真集を出版してテレビに出演されてから、反響はどうでしたか?目に見える変化だと、放送直後にSNSのフォロワーが一気に増えて、DMを大量にいただきました。友達から「テレビで紹介していたホテルに彼女と行ってみたよ」という感想をもらったり、「初めてラブホテルに行くんだけどどこが良い?」とか頼られるようになったりして嬉しいです。今では「予算とエリアと用途と行く人を教えて」って言ってアドバイスしています(笑)
ただ、DMで知らない人から「オススメのホテルを教えて」などの質問をいただくことがありますが、何の用途でホテルを利用するのか分からないし、ラブホテルが人を傷つけるような場所であって欲しくないので、そういった質問には返信しません。
──アラキさんが思う、良いラブホテルの条件は何ですか?
お風呂にスケベ椅子があるホテルは間違いないです。ぶっちゃけお風呂の椅子なんて何でも良いんですけど、そこにもエロさを求めて、お風呂でも楽しめる空間を作っているというオーナーさんのこだわりを感じます。
フードメニューが充実しているホテルもポイント高いです。ファーストフードみたいなご飯を想像する人が多いと思うんですが、私のお気に入りの「HOTEL&SWEETS FUKUOKA」はご飯が凄く美味しいし、スイーツブッフェでマカロンとかも食べ放題なので女子は絶対にテンションが上がると思います。
あとは、清掃員の方が「ごゆっくりどうぞ」など温かいお声かけをしてくださるホテルは清掃が行き届いていることが多いです。
『HOTEL ヘイセイ』より
最近、カップルになっていない男女が二人きりの時間を楽しむためにホテルを使うというのをよく聞きます。そこに男女の営みはないんですけど、一緒にくつろいだり、本を読んだりするみたいです。
あとは、女子会ならぬ「推し会」に使うのもオススメです。お気に入りのアイドルのDVDを持ち寄って、女の子同士で楽しめます。“チョコレートフォンデュプレゼント”などの特典を付けて、女子会を推奨しているホテルも多いです。
女子大生が語るラブホテル業界の実情
──最近はラブホテル業界の方とお仕事をされているそうですが、具体的なお仕事内容は?まだ走り出しているプロジェクトは1つだけで、ホテルグループのSNSを月に1回、“わたし目線”の内容で月に1回更新しています。ただ文章を書いても面白くないので、先月だと「ハロウィンにオススメのホテルはここ☆」とか、イベントに合わせた楽しみ方を提案しています。
他にも、ホテルの改装時に若者が行きたくなるホテルを作るにはどうしたら良いかをアドバイスして、コンサルティングのようなこともやっていく予定です。
──実際にお仕事される中で、アラキさんが感じたラブホ業界の実情ついて教えてください。
ラブホテル業界というだけで怖いイメージを持つ方も多いと思うのですが、そんなことは全然なくて、純粋にホテル経営を楽しまれている方ばかりで、普通の会社員と同じです。ただ、ラブホテルが流行った80年代くらいから働かれている方が多く、若い人がほとんどいないという印象です。
なので、若者の集客方法がわからないというホテルに対して、女子大生目線のアイディアを提供して、貢献させていただけたらと思っています。名前も顔もオープンにして活動をしているので、若者がラブホテル業界で働く入り口になることができればいいなと思っています。
──将来のキャリアビジョンはありますか?
自分自身にラブホテルというブランディングをつけることです。女子大生というブランドがいつまでも通用する訳ではないので、経営のことも勉強して、しっかりと数字を出せるようになりたいです。その中でも、女の子の流行りや、男の子の憧れをいかに取り入れ続けることが出来るかというリサーチ能力が重要だと感じています。
アドバイザーとしての地位を確立できたら、いつかは「アラキアヤノプロデュース」という付加価値のついた自分のラブホテルを経営することを目標にしています。福岡だと那の津の方にあるラブホテルは朝日がすごく綺麗なので、海辺に建てるのが夢です。
「何となく」で経営を続けるホテルが減れば良いなと思います。近年、ラブホテルは減少しているのですが、もっと進化していける分野です。
新しいものを取り入れつつも、全部のホテルが女子会用になってしまっては面白くないので、メインの目的には「男女の営み」をおいて、立地や用途に沿ったホテルが増えると良いなと思います。
──アラキさんプロデュースのホテル、楽しみにしています! 本日はありがとうございました。
アラキアヤノ
note:https://note.mu/peno_20
Twitter:https://twitter.com/peno_20
note:https://note.mu/peno_20
Twitter:https://twitter.com/peno_20