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もう2年モノに 日本仕様はまだ?

人気SUVの日産エクストレイル。

【画像】新型待ち遠しい【新型ローグと日本で販売されるエクストレイルを比較】 全128枚

日本仕様の新型はいったいいつになったら公開され、そして発売が始まるのか?


事実上のエクストレイル(日本名)の北米仕様の「ローグ」は約2年前に新型に。

気をもんでいる人が少なくないことだろう。

なにせ、事実上のエクストレイル北米仕様である「ローグ」が初公開されたのは、いま(2022年5月中旬)から約2年も前の2020年6月なのだから。

また、いまから約1年前の2021年4月の中国上海モーターショーでは、中国仕様エクストレイルが公開されている。

さらに、事実上のエクストレイル欧州仕様である「キャッシュカイ」も登場しているという状況だ。

多くの日系自動車関連メディアは、当初は「2021年内に国内販売」と報じ、その後「2022年中」や「2022年夏」といった表現で、日本仕様エクストレイル発売時期を予測してきた。

また、2022年5月に入り、日本仕様エクストレイル発表に向けたカウントダウンが始まったという趣旨の記事も出ている。

いったい、どの情報が正解なのだろうか?

そうした中、気になることが出てきた。それは、決算報告で示された資料だ。

さらに、記者との質疑応答の時間に、この資料について日産幹部が補足説明しているのだが、そこでの発言内容をどう解釈すれば良いのか?

本稿では、日産の決算で公開された各種情報から、日本仕様エクストレイルの2022年度中登場の可能性を考えてみたい。

2021年度決算 黒字化のワケ

日産は2022年5月12日の16時から、2021年度決算報告をおこなった。

すでに、各種報道を目にしている人も多いと思うが、今回の決算の目玉は、3年度ぶりに黒字化した点だ。


日本で販売される3代目エクストレイル

2021年度の販売台数はグローバルで387万6000台と、前期の405万2000台から176万台減少した。

しかし、売上高では、前期より5620億円増加して8兆4246億円となった。

営業利益についても、1507億円の赤字から一転して、2473億円の黒字となった。

営業利益の内訳を見ると、ポジティブ要因で最も大きいのが「販売パフォーマンス」で3390億円。

これは、主に北米で販売奨励金(インセンティブ)を抑制して値引きを最小限に食い止めたことなどが大きく影響している。

また、円安による為替分でも634億円のポジティブとなった。ネガティブ要因は、やはり原材料高の影響で、これが1392億円である。

日産は事業構造改革「ニッサン・ネクスト」を4か年で実施しているが、今回の決算はその折り返し地点となる。

「ニッサン・ネクスト」では、事業の最適化と、国や地域での製造販売モデルの選択と集中をおこなってきたが、そうした改革を確実に進めたことが今回の黒字転換に結びついた。

その中で、商品ラインナップを15%削減し、18か月間で12モデルを投入した。

そこに北米/中国エクストレイルと欧州キャッシュカイが含まれる。

では、日本ではこれからどうなるのか?

「モデルの長寿化」一気に解消

2021年度の販売実績で、日産は日本で「ホームマーケットの再強化」に位置付け、「ノート」と「ノート・オーラ」がセグメントシェアで前期比14%と伸びた。

さらに、ノート・オーラが販売好調であることもあり、台当たり売上高も38%と大きく伸びた。


販売が好調のノート・オーラ

また、「アリア」が先行予約で6800台受注し、2022年4月30日時点で納車台数は1500台に達した。

これらにより、これまで「車齢が長い」といわれてきた日産車の平均車齢は5年強から一気に3.3年まで短くなった。

こうした好調な2021年度実績を受けて、2022年度の見通しではグローバルで販売台数400万台としている。

ただし、コロナ禍、半導体不足、原材料高など先行き不透明感が増しており「かなり厳しくなると予測している」(内田誠CEO)という見解だ。

仕向け別で見ると、グローバルでは2021年度比3.2%増で、中国が上海ロックダウンの影響などでプラスマイナス0%(138万台)、ローグ好調の北米でも1.4%(120万台)、ロシア・ウクライナ情勢への長期的な懸念が高まる欧州では5.9%減(32万台)としている一方で、日本は19.2%増(51万台)と大きな伸びを見込んでいるのだ。

こうした日本市場での大幅増について「電動車が主体」という説明をした。

さらには……。

エクストレイルのFMCはもうすぐ?

「電動車には、アリア、ノート、ノート・オーラ、軽EVが含まれる」(アシュワニ・グプタCOO)と補足した。

とはいえ、ノート、ノート・オーラはすでに好調であり今後の伸びしろにも限りがあるはず。


日産ローグ

また、アリアや軽EVの販売台数もEV普及の現状を鑑みれば限定的といわざるを得ない。

そうなると、日産がいう「電動車」に、1.5L eパワー搭載の日本仕様エクストレイルが含まれている可能性も否定はできないはずだ。

さらにいえば、ほかのeパワー搭載モデルについても2022年度中に国内販売が始める可能性も十分に考えられるだろう。

日産が以前オンラインでおこなった、ノート、ノート・オーラによる第2世代eパワー説明会では、国内市場を含めて発電機として使うエンジン排気量を上げ(のちに明らかになった1.5Lに該当)、日本市場向けにできるだけ早期に導入したいという意向を示した。

このように、2021年度決算発表や、業界内でのさまざまな情報を総合的に見てみると、2022年度中に日本仕様エクストレイルが正式発表される可能性は十分あると考えるのが妥当であろう。

日本でのエクストレイルは2000年に初代、2007年に2代目、そして現行の3代目の登場は2013年であり、2022年度中に4代目発表となれば、実に9年ぶりのフルモデルチェンジとなる。

果たして、どうなる?