日本サッカー協会(JFA)審判委員会は28日、メディア向けのレフェリーブリーフィングをオンラインで行い、今季のJ1リーグ序盤戦で相次いだ退場事案について説明した。第9節終了時点で17回の退場処分を下されており、昨季同時期に比べて7回増。17人の内訳はイエローカード2枚が7回(昨年同時期3回)、決定的な得点機会の阻止が5回(同5回)、乱暴な行為が4回(同0回)、著しく不正なファウルプレーが1回(同2回)だった。

 JFA審判委員会は昨季より退場例が増えたことについて「昨季と比べると数としては多いのかなと思っている」としつつも、「大半は十分に受け入れられる判定だった」と総括。その一方で、誤ったレッドーカード判定だったと思われる例を一つ取り上げた。

 2月26日に行われたJ1第2節のジュビロ磐田対清水エスパルス戦で、後半29分に磐田DF山本義道が2枚目のイエローカードで退場となった場面だ。たしかに山本はMF滝裕太にやや遅れてスライディングに入ったが、接触の程度は軽く、JFA審判委員会は「警告は出さなくても良いシーンであった」と判断。2枚目の警告のためVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)による介入はできないが、ピッチ上で適切な判定ができていれば「警告までいかないシーンだった」とした。

 また反対にVARの介入によって退場処分が下されるべき事例もあったという。

 4月1日に行われたJ1第6節のアビスパ福岡対サガン鳥栖戦で、後半36分に福岡のDF宮大樹が鳥栖のDF飯野七聖に激しいスライディングタックルを行った場面だ。宮の足裏は飯野の脚に入っていたが、ファウルすら取られず、チェックを行ったVARルームでも判定修正はされなかった。JFA審判委員会は「この事象に関してOFRすることはなかったが、このチャレンジは安全を脅かす著しく不正なプレーで退場だとして、オンフィールドレビューを勧めるべき事象だった」と結論づけた。

(取材・文 竹内達也)