結婚を考える32歳の医師が、モデル級美女を切り捨てた理由は意外にも…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか？
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「相手の母親のプレゼントまで買いに行ったのに…女が振られた理由は？」という質問。さて、その答えとは？
友人の紹介で出会った真奈美はハッとするほど綺麗で、僕は初めて出会った時に目を奪われた。
もしかすると、僕がもう少し若ければ交際していたのかもしれない。
でも今年32歳になるうえ、現在勤めている病院を辞めて開業する予定の僕は、そんな冒険もできなくなっていた。
僕のタイプは“華やかだけど、遊んでいない人”。そんな女性はなかなかいないと理解しているけれど、真奈美はモデルタイプの華やかな美女で、僕の理想のタイプだった。
だから何度もデートへ行ったし、交際する気もあった。
ただ、残念ながら付け焼き刃はすぐにバレるもの。
僕が彼女のどこを見ていたか？顔でもスタイルでもない。ちょっとした、ある言動を見ていたんだ…。
男が実はしっかりとチェックしていた、女の細部とは？？
A1：細部がどこか残念…。また友人のことを、悪く言う人はNG
彼女に初めて会った時。僕は思わず、その美貌を口に出して讃えていた。
「綺麗な方だとは聞いていたんですが…本当にお綺麗ですね」
「いえいえ、そんなことないですよ」
「いえ、ビックリしました。ちなみに朋子とはどこで知り合ったんですか？」
朋子とは、今回真奈美と繋いでくれた友人だ。竹を割ったような性格で、気がつけばすっかり長い付き合いになった。
「友達の友達だったんです。ちなみに誠一郎さんは？東京ご出身なんですか？」
「朋子とは学生時代からの知り合いなんですよ。そして僕は東京出身です。真奈美さんは？」
「私は茨城出身です」
最初は、お互いのことを知るために軽い自己紹介をしていた。しかし真奈美は、僕よりしっかりと事前に情報収集をしていたようだ。
「誠一郎さんは、お医者様なんですよね？もうすぐ開業されるとか…。すごいですね」
― もう、そんなことまで伝わっているのか。
別に悪いことではないから構わないけれど、そんな細部まで情報が回っているのかと少し驚いてしまった。
「いやいや、全然すごくないですよ。真奈美さんは？今お仕事は何をされているんですか？」
「私は知り合いの会社で、事務をやっています」
話し方も落ち着いているし、華やかだけど遊んでいない人なのかもしれない。そう思い、僕はさっそく彼女をデートに誘ってみた。
初デートは以前から気になっていた、中目黒にある『フェリチェリーナ』を予約した。
「わぁ、素敵！」
「真奈美さんと行くお店、どこがいいかなと結構悩んだんです」
「そうだったんですか？誠一郎さんのセンス、さすがだなぁと思っていました♡」
喜んでくれている様子を見て、とりあえずほっと胸をなでおろす。
「真奈美さんは、普段どういうところでお食事をされていますか？」
「私は…中目黒も多いですし、目黒界隈も多いです。家がその辺りなので」
そしてここまで言うと、真奈美は急に小声になり、じっと上目遣いで話してきた。
「そもそも、普段はあまり飲まないんです。自炊が多くて」
これは少し意外だった。見た目で判断するのは申し訳ないけれど、彼女の爪は今時珍しく、ストーンのような物がついていたから。
「お料理得意なんですか？ツメ、大丈夫なんですか？」
余計な心配だが、“料理の中に入ったらどうするんだろう？”と思う。それにネイルをしている女性は嫌いではないけれど、彼女の場合は少し伸びて爪の根元が見えており、それが逆にだらしなく見えた。
ただ本人は気にしていなさそうなので、僕は話題を変えることにした。
「普段は、真奈美ちゃんはどういう人たちと遊んでいるんですか？」
「職場の友達か、昔からの女友達が多いですね」
「真奈美さんを紹介してくれた朋子ちゃんも、昔からの仲良しって言っていましたよね！」
しかしここでもまた、僕は微妙な違和感を覚える。
「そうなんですよ〜。朋子とは22歳くらいからの付き合いで。でも朋子が婚活に本腰を入れ始めてから、派手な食事会に頻繁に呼ばれるようになって…。それが嫌で、実はちょっと距離を置いていたんですけどね」
僕たちをつないでくれた、朋子。彼女は僕の友人でもある。しかも真奈美とも仲が良いと聞いていたのに、真奈美の発言にはどこかトゲがあった。
「朋子が開催するうような、派手な飲み会が好きじゃないので…」
「そっかぁ。本当に真奈美さんは、派手に遊んだりしていないんですね」
― 噂話、好きじゃないんだよなぁ。
だから僕はこれ以上、この話に首を突っ込まないことにした。
それにこんな小さいことを、いちいち気にする男もカッコ悪い。
だから次もデートに誘ってみたものの、会うたびに彼女の完璧に見えるメッキが剥がれていった。
一見完璧に見える清楚系のイイ女。だが男からすると…？
A2：バックボーンを気にしているのが見え見えだった。
二度目のデートは映画へ行って食事をしたのだが、僕のなかで決定打となったのが、三度目のデートだった。
この日は、僕の母親の誕生日が近かったので、銀座で買い物デートをすることにした。
「ごめんね、買い物つきあわせちゃって」
「いえいえ。むしろ銀座とかあまり来ないですし、一緒に買い物できて嬉しいです。お母様、喜んでくれるといいですね」
「きっと喜ぶと思う。真奈美さんが選ぶのを手伝ってくれたって言うべきかな（笑）」
最初のうちは、楽しかった。買い物に付き合わせて申し訳ないなと思ったけれど、もし今後付き合いが長くなるならば家族とも絡みが出てくることは必須だ。
しかしこの日、節々に彼女の“素”が出てきた。
百貨店の食器売り場で器を物色しながら、真奈美の綺麗な横顔を見つめていると、彼女は母親のことを根掘り葉掘り聞いてきたのだ。
「お母様、どういう感じの方なんですか？」
「専業主婦で優しい人だよ」
「誠一郎さんも、結婚したら相手の女性は家庭に入ってほしいですか？」
「どうだろう。あまり考えていないけど、相手次第かな」
ここまでは、良かった。大人同士が結婚する以上、気になる話ではあるだろう。しかし真奈美は、さらに突っ込んだ質問をしてきた。
「ナルホド…。ちなみにお母様は、元々何をされていたんですか？」
「母親？なんだっけな…。父と出会う前はそれこそ祖父の会社の事務とかじゃなかったかな」
― この質問の意図って、なんだろう？
まだ会うのは三度目だ。それなのに、母親の昔の職業を聞かれれるとは思っていなかったので、少し面食らってしまった。
でも徐々に、真奈美がこういう質問をすることの意図を理解していくのだ。
「誠一郎さん、こんな感じの食器とか？」
彼女が提案してきたのは、明らかにブランド物とわかる派手なものだった。
「いいね。でもちょっと派手かな？」
「このブランド、最近流行っている物なんですよ。だからお母様は知らないと思うので、逆に持っていないかなと？」
なんだろう。決してそんなつもりはないと思うのだけれど、真奈美の言い方だけ聞くと、母親がダサい人のようにも聞こえる。
「そっか、そうかも。ただうちの母親、食器とかにこだわりがあるからな…」
結局、僕は小さい小皿を買った。そしてこの後の食事で、僕は完全に真奈美と心の距離ができてしまったのだ。
「今日は本当にありがとう。真奈美ちゃんのお陰で、いい物が買えて助かったよ」
「いえいえ。いつでも言ってください。ちなみに、お誕生日当日は何をされるんですか？」
「いつも通り、家族で外食って感じかな」
「あ。もしかして、伊藤家御用達のお店があるんですか？」
この辺りで、僕はようやく違和感の正体に気がついた。
出会った時から、彼女は僕自身と言うよりも、家柄や職業などのバックボーンを見ている。
ズカズカと家族のことを聞くのは下品だ。それにネイルなどの細部の雑さ…。
表面ではおとなしくて清楚な女性を装っているけれど、意外にそういうのはすぐにバレるものだ。
「うん、そうだね。毎年行くお店があって」
「さすが。素敵なご家族ですね」
「どうなんだろうね。まぁ仲がいいほうだとは思うけど」
素敵な女性であることに、間違いはないだろう。ただ今後、僕が開業したらご近所付き合いも出てくるし、そもそも家族ぐるみでの付き合いになる。
そういうことを考えると、真奈美とは少し育ってきた環境が違う気がする。
― 綺麗な人ではあるけれど…。
男も、意外にバカじゃない。うわべだけの綺麗さには、踊らされないのだ。
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