ハンバーグをわざわざ“豆腐″で作る彼女にゲンナリ…。普通のハンバーグが好きなのに…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか？
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「彼氏の家に置いていた化粧水が、奥に追いやられてたいた。その理由は？」という質問。さて、その答えとは？
「あれ？けい君、ここにあった化粧水知らない？」
入浴を終えた沙織にこう聞かれた時、僕はしまったと思った。
先日それを動かしたまま、元に戻すのを忘れていたからだ。
「あー…あれね。この前掃除をした時に、奥のほうに置いちゃったかも。ちょっと待ってね、今出すから」
洗面台へ行って、奥に追いやった沙織の化粧品グッズを取り出しながら“ふぅ”っ息を吐く。
「ねぇ。他に誰か女の子が来た？」
沙織の疑心暗鬼な視線を背中に感じながら、僕は極力平然を装った。
「いや、来てないけど」
「ふぅん。そうなんだ」
だが正直、もうバレてもいいかなと思っている自分もいた。
男が女の化粧水を洗面台の奥に追いやった理由は？
A1：誰かいい子はいないかなという軽い気持ちだった
沙織と出会ったのは、3年前のこと。何度か食事へ行ったものの、僕の海外赴任が直後に決まっていたので、そのまま何事もなく終わってしまった。
しかし半年前。任期を終えた僕は帰国したのだが、残念ながら赴任中に期待していたような出会いもなく、結局独身のまま。
そんな状態で東京に戻ってきたので、誰かいい子がいればいいなと思っていた。
ただものすごく必死に彼女を探していたわけではない。軽い気持ちで、過去に出会った女性で可愛い子いないかな、と考えていたときにふと沙織を思い出したのだ。
― そういえば、沙織ちゃんっていたな。今は何をしているんだろう？
こうして、僕はなんとなく彼女に連絡をしてみた。
― 啓一：沙織ちゃん、久しぶり！元気？昔一緒に飲んだ啓一だけど、覚えているかな？帰国したので、また機会があれば飲みましょう。
するとすぐに返信がきて、僕たちは飲みに行くことになった。
「啓一さん、お久しぶりです。帰ってこられたんですね」
『マジカメンテ』に現れた沙織は相変わらず色が白くて華奢で、可愛らしい雰囲気だった。
「沙織ちゃん、久しぶりだね。そうなんだよ、半年前に本帰国して」
「連絡もらって、ビックリしました」
「帰国して誰に会いたいかな〜って思った時に、沙織ちゃんの顔が浮かんで」
これは嘘ではない。それに“まだ沙織は独身かな？”という淡い期待もあった。
「沙織ちゃんは？変わりなく？」
沙織は僕より3歳くらい下だったと記憶しているので、30歳前後ということになる。その年齢だと、結婚している可能性も大いにあるけれど、この誘いに乗ってきてくれたということはきっと独身だろう。
「はい、特に何も。相変わらず独身ですし。啓一さんは……？」
沙織からシングルであると切り出してくれて、僕は嬉しくなる。
「僕もまだ絶賛独身だよ。赴任先は家族連れが多かったから、“早く結婚しろ”って色んな人に言われたけど。しかもコロナでひとりは結構キツかったなぁ」
「そうなんですね。啓一さんカッコいいから、てっきり誰かいるのかと思っていました」
「いやいや、いないよ。沙織ちゃんは？独身なのはわかったけれど、今彼氏は？」
「私も今はフリーです」
久しぶりに、恋の始まりの予感を感じた。それに沙織といると楽しかった。
「沙織ちゃんとこうやってまた飲めて嬉しいな」
「こちらこそです」
「これから、頻繁に飲もうよ。僕も誘うし、いつでも誘って」
「はい！！」
この日は1軒目で解散したけれど、このあとお互い連絡を取り合うようになった。そして気がつけば、僕たちはなんとなく交際に発展していたのだ。
しかし交際3ヶ月目で浮気疑惑？男の本音とは…
A2：結婚アピールが重すぎて、逃げ腰になった。
交際に発展した後、最初のうちはまだ良かった。沙織と楽しく過ごせていたから。ただある日、僕は気がついてしまった。
外で食事をしたり、デートをするとそのまま僕の家へ彼女が来ることが多かった。
もちろん沙織は泊まっていくことになるのだが、僕の家に来て三度目くらいのとき、彼女は自分の物を置きたいと言い始めた。
「けい君、化粧品一式この家に置いていてもいい？毎回持ってくるの重くて大変なんだよね…」
女性は、メイクなどいろいろ準備もあるし大変だろう。それは理解できたので、この時の僕は軽い気持ちで返事をしてしまった。
「うん、いいよ」
「ありがとう！じゃあ今度来たとき、着替えも持ってくるね」
「僕の部屋着で寝ればいいのに」
「自分のがいいの。それに、翌日の着替えとかも毎回取りに行くのが面倒だから」
これはほんの序章に過ぎなかった。ここから沙織の、怒涛のマーキング攻撃が始まったのだ。
洗面台を開けると沙織の化粧品が一式ズラリと並んでおり、クローゼットの中にも沙織の洋服やパジャマなどがある。
軽いお泊まりセットというよりは、もはやここで生活しているのかと思うくらいの量だ。
― まさかとは思うけれど……。マーキングされてる？？
増えていく沙織の物を見ながら、そう思ってしまった。そしてトドメは沙織のこのセリフだった。
「けい君、私もうこっちに引っ越してきちゃおうかな」
― え、嘘だろ？？
僕たちは交際してまだ3ヶ月。それなのに同棲の話になり、正直引いてしまった。
「え〜。さすがに同棲は早くないか？」
「だって、家との往復も面倒だし。これだけの頻度で会っているなら、一緒に住んだほうが楽そうだなと思って」
― これって、結婚へ向けてまわりを固められている？
僕の家にどんどん増えていく彼女の私物。同棲という切り札……。その背後に、大々的に鳴り響く結婚行進曲が聞こえるのは僕だけだろうか。
「ねぇけい君、ちゃんと結婚は考えているんだよね？」
「うん。お互いいい年だしね」
「良かった。ちなみに早いほうが私は嬉しいな」
「沙織はそうだよなぁ…。ちゃんと考えるから、ちょっと待ってね。ただ僕もまだ帰国して間もないし、仕事も忙しいから」
そして日に日に強くなる、結婚に対するプレッシャー。
今すぐには結婚は考えていないのに、沙織からの押しが強すぎて思わず逃げ腰になる。
「けい君、今日の晩ご飯はけい君の好きなハンバーグだよ。最近ちょっとお腹が気になるって言っていたから、ヘルシーな豆腐ハンバーグにしてみました！」
「おぉ、なんかすごいね」
― 普通のハンバーグでいいのに…。そんな“家庭的アピール”されてもなぁ。
作ってもらっている以上文句は言えないけれど、すべてが結婚するための作戦にしか見えなくなってしまった。
交際までの押しが強いのは悪いことではないけれど、結婚に対する押しが強すぎると、逃げたくなる。
だから僕は、少しだけ他の女性も見たくなってしまったのだ。
洗面台にあった化粧水は、他の子が家に来たときにそっと奥に追いやった。なぜなら、まだ僕は結婚して落ち着く気はない。
もし沙織が結婚したいならば他の人を探してほしいなと思ってしまっている。
▶【Q】はこちら：女が感じた微妙な違和感。彼の家に置いていた化粧水の位置がズレていた。それって…？
▶1話目はこちら：「この男、セコすぎ…！」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
▶NEXT：4月9日 土曜更新予定
男が女に幻滅する瞬間とは？
