男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は？

▶前回：「お腹、ちょっと肉ついた？」夫が冗談交じりに妻に触れようとしたら、激しく怒り…




いつも通り、食事を終えて彼の家に泊まりへ行った日のこと。

お風呂から上がり、彼の家に置いていた化粧水をつけようと洗面台の扉を開けると、そこにあったはずの化粧水が見当たらない。

「あれ？けい君、ここにあった化粧水知らない？」

リビングにいた彼氏の啓一に聞いてみる。すると、啓一はこんなことを言い始めた。

「あー…あれね。この前掃除をした時に、奥のほうに置いちゃったかも。ちょっと待ってね、今出すから」

掃除をするときに、私の化粧水をわざわざ奥に置くのだろうか。

嫌な予感がする。啓一が洗面所のシンクの下の引き出しから出してきた化粧水を受け取りながら、私は尋ねた。

「ねぇ。他に誰か女の子が来た？」
「いや、来てないけど」
「ふぅん。そうなんだ」

でもどう考えてもおかしい。彼とは交際を開始してまだ3ヶ月だけれど、結婚も考えている仲だ。

ただ考えすぎてしまっているだけだろうか…。


女が気づいた、彼氏の微妙な異変。この変化はシロ？それともクロ？


Q1：男が女に連絡した時の心情は？


啓一と出会ったのは、かなり前の話になる。3年くらい前に共通の知人が開催した食事会で出会っていた私たち。

でもその時は彼が東南アジアへ駐在することが決まっており、何度か食事へ行っただけで終わってしまった。しかし最近になって、急に啓一のほうから連絡が来たのだ。

― 啓一：沙織ちゃん、久しぶり！元気？昔一緒に飲んだ啓一だけど、覚えているかな？帰国したので、また機会があれば飲みましょう。


啓一からの突然の連絡に、私は正直驚いた。

3回くらい食事をしたけれど、発展しなかったことがすべての答えだと思っていたから。

しかしこの出会いのない時期に、昔の知り合いからの連絡は嬉しいもの。偶然私も半年前に彼氏と別れ、次の人を探している。

― 海外赴任を終えて帰ってきて、私に連絡をするということは…。まだ独身なのかな？

淡い期待を胸に、啓一に返信を打った。そしてそこから何度かやり取りをした後、2人で食事へ行くことになった。

そして待ち合わせの当日。彼が予約してくれていた『マジカメンテ』で久しぶりに会う啓一は少し日に焼けていたけれど、育ちの良さそうな雰囲気と、優しい笑顔は変わっていなかった。




「啓一さん、お久しぶりです。帰ってこられたんですね」
「沙織ちゃん、久しぶりだね。そうなんだよ、半年前に本帰国して」
「連絡もらって、ビックリしました」
「帰国して誰に会いたいかな〜って思った時に、沙織ちゃんの顔が浮かんで」

そんな嬉しいことがあるのだろうか。リップサービスかもしれないけれど、啓一の言葉が嬉しかった。

「沙織ちゃんは？変わりなく？」
「はい、特に何も。相変わらず独身ですし。啓一さんは……？」

聞きにくいことだけれども、最初に確認しておくに限る。すると、啓一は恥ずかしそうな顔をしながらちゃんと答えてくれた。

「僕もまだ絶賛独身だよ。赴任先は家族連れが多かったから、“早く結婚しろ”って色んな人に言われたけど。しかもコロナでひとりは結構キツかったなぁ」

33歳、大手商社勤めの独身。どうやら結婚願望もあるらしい。現在結婚相手を探している私からすると、これはかなりラッキーな案件だ。

「そうなんですね。啓一さんカッコいいから、てっきり誰かいるのかと思っていました」
「いやいや、いないよ。沙織ちゃんは？独身なのはわかったけれど、今彼氏は？」
「私も今はフリーです」

つい声が大きくなる。ここ最近婚活を頑張っていたけれど、何人と会ってもどうもうまくいかなかった。

その点啓一は以前からの知り合いだし、食事会で同席していた他の人たちもつながっているから安心だ。

話も合うし、一緒にいると楽しい。そして何より、啓一も多少なりとも私に好意がある。

「沙織ちゃんとこうやってまた飲めて嬉しいな」
「こちらこそです」
「これから、頻繁に飲もうよ。僕も誘うし、いつでも誘って」
「はい！！」

この日はこのまま解散した。けれどもここから、啓一が暇な日は声をかけてくれるようになり、私も声をかけるようになった。

気がつけば私は啓一の家に通うような仲になり、交際に発展していた。


女が置いていった化粧水が消えていた謎。果たして真相は…？


Q2：女がいない間に、化粧水が動いていた謎。真相は？


交際開始後、デートをすると啓一の家へ行くのがワンセットのようになっていた。彼の家のほうが広いし、そっちのほうが彼も私も楽だったから。

ただ、女性はお泊まりとなるといろんな物が必要だ。だから彼の家へ行くたびに、私は自分のお泊まりセットを置いていった。

「けい君、化粧品一式この家に置いていてもいい？毎回持ってくるの重くて大変なんだよね…」
「うん、いいよ」
「ありがとう！じゃあ今度来たとき、着替えも持ってくるね」
「僕の部屋着で寝ればいいのに」
「自分のがいいの。それに、翌日の着替えとかも毎回取りに行くのが面倒だから」

今はリモートだからまだいいけれど、出社する時などは着替えも必要だ。必然的に、啓一の家に置く私の荷物は多くなる。

「そっか。女性は大変だね」
「いいよね、男性は楽で」

でも、こういう会話さえ嬉しかった。




平日も週末も、一緒にいて全然飽きなかった。話すことがたくさんあるし、一緒にいるのが当然のようになってきたのだ。

「けい君、私もうこっちに引っ越してきちゃおうかな」
「え〜。さすがに同棲は早くないか？」
「だって、家との往復も面倒だし。これだけの頻度で会っているなら、一緒に住んだほうが楽そうだなと思って」
「まぁたしかにね。考えておくよ」

ただ啓一は何も考えていないようで、同棲の話は一向に進まない。私としては、もうすぐ30歳になるし早く結婚したいと思っているのに、歯がゆい状況が続く。

あまりのんびり進められても困るのだけれど、啓一はあくまでもマイペース…いや、スローペースだった。

「ねぇけい君、ちゃんと結婚は考えているんだよね？」
「うん。お互いいい年だしね」
「良かった。ちなみに早いほうが私は嬉しいな」
「沙織はそうだよなぁ…。ちゃんと考えているから、ちょっと待ってね。ただ僕もまだ帰国して間もないし、仕事も忙しいから」
「そうだよね、わかった」

彼が忙しいのも理解できるし、私なりにちゃんと待っているつもりだった。

それに私は家事も完璧にこなしていた。彼からすると、家庭的でいい彼女であることに間違いはない。

「けい君、今日の晩ご飯はけい君の好きなハンバーグだよ。最近ちょっとお腹が気になるって言っていたから、ヘルシーな豆腐ハンバーグにしてみました！」
「おぉ、なんかすごいね。さすが沙織」

彼のために料理も頑張っていた。

でも、何度考えても私がいない間に化粧水を奥のほうに追いやった理由がわからない。それに気がつけば、他の荷物も見えない場所に追いやられている気がする。

― 何これ…どうして？？

果たして、彼は何を考えているのだろうか。そして真相を知りたいと思っている。

▶前回：「お腹、ちょっと肉ついた？」夫が冗談交じりに妻に触れようとしたら、激しく怒り…

▶1話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男は浮気をしていたのか？それともただ掃除しただけ？？