ETCレーンで立ち往生してる車、なぜなのか 後続車にも迷惑 ETC専用になっても?
高速道路のETC専用化がいよいよ始まりましたが、ETCレーンでクルマが立ち往生し、動けなくなった後続車が列をなしている光景がしばしば見られます。何が原因なのでしょうか。
異常は事前警告 それでもNGに?
高速道路の「ETC専用化」がいよいよ2022年3月から始まりました。まずは首都高の入口5か所から。4月には首都高の29か所が追加されるほか、NEXCO東日本管内でも2か所、中日本管内でも2か所のICがETC専用になります。
ETCレーンでの立ち往生は混雑するばかりか、追突の危険も高まる。写真はイメージ(画像:写真AC)。
いまやETCの利用率は93.5%(国土交通省まとめ、2021年12月)。この高い普及率が専用化の背景にありますが、それとは裏腹に、ETCレーンでバーが開かず急停止したり、それにより後続車が詰まってしまったりする事例が後を絶ちません。
たとえば、福岡県の都市高速では、バーが開かず急停止した件数が2020年には福岡と北九州の合計で約11万8800件も発生しています。以前、NEXCO中日本に聞いたところ、同社管内でも1か月に2000件ほど起きているということでした。
原因は、都市高速の場合、実に68%以上が「ETCカードの未挿入」によるものだったそう。NEXCO中日本も、車載器の故障などに起因するケースは4%ほどだとしており、カードの期限切れだったケースも含め、そのほとんどは「うっかりミス」だったといい ます。
ただ、こうしたETCレーンでのうっかりミスは、後続車に迷惑をかけるばかりか、追突の危険性も高まります。「ETCレーンでは20km/h以下に減速」といわれるのも、こうした前車の急停車による追突を防ぐ側面があります。
都市高速におけるETCレーンでの急停車件数およそ11万8800件を1日あたりに換算すれば、約328件です。前のクルマが急停車する、あるいは自分が「うっかり」してしまうケースは、決して珍しいことではないといえるのではないでしょうか。
なんでミス起こる? 対策は?
こうしたミスを未然に防ぐため、料金所の手前やSA・PAから流出した後など必要な箇所に、ETCの未挿入を警告するアンテナが設置されています。ETCが正常に通信できない状態で走行すると「ETCを利用できません」といった音声やブザーで警告されます。
そこでカードの未挿入に気づき、カードを探しながら料金所のETCレーンへ進み、カードを車載器へ挿入できたとしても、読み込み時間が終了する前にゲートへ到達、エラーとなってしまうケースがあるようです。
また、現金利用で通行券を取っていたにも関わらず、高速道路から出る際、思い込みでETCレーンへ入ってしまうケースも。NEXCO中日本によると、会社での経費精算を考慮し、あえて現金利用する場合などが考えられるといいます。
首都高のETC専用化を伝えるポスター。一般レーンはサポートレーンになる(中島洋平撮影)。
こうした場合、「一般」または「ETC/一般」レーンに入り、通行券とETCカードの双方を提示すれば、ETCカードでの支払いが可能です。ただ、入口をETCで通行しなかった場合、ETCの各種割引は適用されないといいます。
しかし、前出の通り2022年春から、一部ICのETC専用化が始まります。これに伴い、「一般」「ETC/一般」レーンは、現金車が誤進入した際に対応するための「サポート」レーンに変わります。NEXCO中日本によると、サポートレーンの備え付け機器などは一般レーンと大きく変わらないものの、今後はナンバープレートを読み取り、後払い請求する仕組みなどを考えているともいい、対応は各社で異なってくるようです。