PKを決めた後“おしゃぶりポーズ”のトッティ(C)EFE

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 決勝トーナメント1回戦、E組首位突破イタリアとF組2位通過オーストラリアの試合は後半終了間際の94分、イタリアが得たPKを司令塔トッティが左上に豪快に決めベスト8へ駒を進めた。

 優勝候補の一角に挙げられたイタリア、待っていたのは想像以上の厳しい展開だった。前半から飛ばすイタリアに対し、着実にペースを上げるオーストラリア。試合が動いたのは後半6分、イタリアカルチョを熟知する相手MFブレシャーノ(26=パルマ)の突破にDFマテラッツィが迂闊なスライディングを仕掛け一発退場。ネスタの負傷などでDF陣の薄いイタリアはセリエA得点王FWトニを外しDFバルザリを投入、カンナバーロ、ザンブロッタ、グロッソの急造4バックでの対応を強いられた。

 攻守の要ピルロがミスを連発するなど波に乗り切れないイタリア、誰もが延長突入を覚悟した後半48分、左サイドでボールを受けたグロッソがブレシャーノをかわしエリア内に進入。DFニール(28=ブラックバーン・ローバーズ)の体を張ったスライディングでPKを誘った。重圧の中、ボールをセットしたトッティ。不調が囁かれこの日の先発をデル・ピエロに譲った背番号「10」、代表引退を示唆した男がPKを豪快に決めた。イラリー夫人の見守る中、決勝ゴールを決めたトッティは息子クリスティアン君(0)に捧げる「おしゃぶりポーズ」で喜びを爆発させた。

 激戦を制したイタリア代表監督リッピは「延長、PK戦の可能性もあった。後半10対11での状況で我々は我慢を強いられたが、最後に幸運が舞い込んだ。この喜びを言葉で表現する事は出来ない」と紅潮した面持ちで語った。韓国を率いてイタリアを破った4年前の再現に失敗したオーストラリア監督ヒディンクは「ゴールを決められなければ勝利はない。チャンスはあったが、苦い結果となってしまった」と唇を噛み締めた。

 24年振り4度目の優勝を狙うイタリア。数的不利な状況での勝利がチームをより強くする。