先日、お笑いコンビ「はんにゃ」の川島ofレジェンドさんの1歳になる長男、きっぺい君が緊急入院。病名が「特発性血小板減少性紫斑病」と、国が指定する難病の対象であることが明らかになりました。妻である菜月さんは今回の経験を経て、「(違和感を覚えたら)早めの行動が吉」とブログで訴えます。

当事者として“難病”という重々しい言葉が独り歩きし、菜月さん自身も過激な見出しや野次馬半分の心配の声に驚く部分もあったといいます。
改めて、こうした病名や経緯を公表した思いについて、また現在のきっぺい君の様子なども教えていただきました。


川島さんご家族の写真

川島菜月さん振り返る、息子に突然アザができたこと、その後のこと



「特発性血小板減少性紫斑病」とは、病気や薬の影響がないのに血小板が減少し、全身から出血しやすくなる病気です。病気には6か月以内に血小板数が正常値に戻る「急性型」と、血小板減少が持続する「慢性型」に分かれます。
小児が発症するケースの約75〜80%は急性型と言われており、多くはウイルス感染や予防接種を先行事象とする場合が多く認められています。
参照:特発性血小板減少性紫斑病(難病情報センターより)

●ある日突然体に無数のアザが…



今回川島さんご夫婦のケースでは、ウイルス感染や予防接種といった一般的な先行事象はなかったといいます。では一体、どんな流れで病気が発覚することとなったのでしょう。


「きっかけは病気が発覚する2日前に、託児所から帰ってきたきっぺいの足に、アザが10か所ほどできていたことが始まりです。園に確認をすると先生たちもまったく気づいておらず、娘のときからお世話になっている場所なので虐待は疑わなかったものの違和感が残りました」

その違和感をさらに強めることになったのが、きっぺい君の体に起きたもう1つの変化だったといいます。
「時を同じくして、きっぺいが保育園でかさぶたをかきむしって出血しましたと報告を受けました。その時先生から『絆創膏が真っ赤になるほど血が止まらなかった』と教えていただきました。何かおかしいのかも…という思いが強まり、翌日友人の漢方薬剤師にLINEで相談をしたんです」

症状の説明やきっぺい君の写真を添付して質問すると、友人からは「血小板の病気だと思う。多分入院になると思うから、早めに病院に行った方がいい」とアドバイスがあったといいます。
そこから1時間後にかかりつけ医を訪れたところ、そのまま大学病院での検査、そして緊急入院となりました。

●大丈夫だろうと思っていたら、どんどん大事に




「私は元々物事を重く受け止めすぎない性格なので、かかりつけ医に『入院になりそうなので紹介状を書きます! 大学病院に行って!』と言われたときも、『来週くらいで良いかな』『今日行くなら、1回家に戻ってからにしようかな』と思っていました。でも『今すぐその足で行ってください!』と言われて、だんだん事の重大さに気づき始めました」

医師が病院受診を急がせた理由は2つ。治療の前に大きな転倒や打撲など、出血を伴う事故があった場合命に関わる危険性があったこと。また1回自宅に戻って準備をしても忘れ物はたいがい出るため、それなら安全を考えまず病院を優先すべきという意図があったそうです。

「この時、旦那さんに連絡を取ったのですが仕事中でつながらず、実家も遠方で頼れず、私もだんだんと不安が募っていきました。やっとマネージャーさんを通して旦那さんと連絡が取れたのですが、彼は心配性な性格なので、この時貧血を起こして倒れかけたと後で聞きました」

病院での検査と並行し、入院荷物を揃えて上のお子さんの面倒など手配を済ませ、菜月さんも24時間のつきっきり入院生活が始まります。この時のきっぺい君の様子をうかがうと「普段どおり」とのこと。しかし、この病気の大変なところは普段どおりにあるようです。


「入院中はサークルベッド内で点滴を打つ生活です。柵にはタオルを撒いてもらい、ぶつかって出血しないよう私も注意していました。本人はいたって元気で普段と変わりません。だからこそ、狭い空間や体から伸びた管が邪魔なようで、初日は引っ張ったり動いたりと落ち着きがなく、それがとてもかわいそうでした。しかし体を柵にぶつけたら、せっかく増えた血小板がまた減ってしまいます。極力安静を心がけ、途中旦那さんとも交代をしてもらい付き添いました」

夫婦のケアのかいもあり、きっぺい君の病状はすぐに快方に向かい、血小板の数値も安定。当初1週間を予定していた入院も3日で済んだそうです。

●「難病」よりも伝えたい、大切なこと




退院から約1週間たったきっぺい君の様子をうかがうと、普段どおり元気とのこと。子どもは日常生活の中で様々な部位をぶつけるのが自然なのだそうですが、特に今はアザができることもなく、元気に登園もしているそうです。

「来月もう1回検診の予定ですが、そこで数値が正常であれば完治ということになります。『難病』とつくため、病名公表には大きな反響があり私自身が驚きました。当事者としては『子どもが発症するケースは意外に多く、私自身がそこまで重く捉えてないので大げさにしないで』と思っています」

ブログを公開しニュースなどに取り上げられたため、菜月さん自身、反響の大きさに驚きがあったといいます。それでも病名含め公表したのには、子育てに向き合うママへの助けになりたいという思いがあったからでした。

「自分のケースを振り返ると、保育園の先生が感じた違和感や友人のアドバイスがなければ、もう少し様子を見ようと判断していたと思います。『アザくらいで病院に行っていいのかな…』と迷ってしまっていたんですね。でも、原因不明のアザが病気の前兆であることもあると今回学びましたし、この病気は小さいお子さんは一定数の発症もあると知りました。私達の事例を読んで、『心配だけど病院に行くほどかな』と迷われるママさん達の助けになれば良いなと思っています」

<写真提供/川島菜月 取材・文/おおしまりえ>

【川島菜月さん】



1990年生まれ。お笑いコンビ・はんにゃのツッコミ担当、川島ofレジェンドの妻。現在はブロガーとして「川島菜月のオフィシャルブログ
」にて、育児や家族のこと、手間抜き家事、節約術などを発信し、多くの支持を集める。2021年春より夫婦のYouTubeチャンネル「川島夫婦チャンネル
」も開始。