50代の家にありがちな「あかずの収納」。今捨てないと老後の負債に
気力も体力も低下しがちな50代以降は、「開かずの収納スペース」や「物置部屋」などの放置しがちな場所を片づけるのも簡単ではありません。
「今こそ始めたいのは、この開かずの収納の見直し。将来身軽に暮らすためには、できることをできるうちにするのが大切だと実感しています」と、話すのは、整理収納コンサルタントの瀧本真奈美さん。
今回は、瀧本さんに身軽に暮らすためにするべき、収納の見直しのポイントを教えてもらいました。
「開かずの収納」を片づけるのがすっきり暮らしの第一歩
同じ家に長く住んでいると、「開かずの収納スペース」や「物置部屋」ができやすくなります。知らず知らずのうちにものがたまり、スペースを埋め尽くしたあと、手が着けられない状態に…という構図です。いつかどうにかしなきゃと気にしつつ、見て見ぬふりをする方も多いよう。
さらにこの状況が長く続くと、中に入っているものの存在すら忘れ、自分の家の中でありながら、全く機能しない場所になってしまいます。すっきり暮らすために、ぜひ始めたい開かずの収納の見直し。その必要性と片づけの進め方をご紹介します。
ただでさえ、いろいろなことへの意欲が低下する50代。まずは、おおよそいつまでに終了させる、という目標時期を決めるのがおすすめです。どんなに小さな収納スペースでも、日常の隙間時間を使うだけでは、1日で完全に片づけることは到底無理です。ものを出して、そのまましまって終わりになってしまいます。
長期的な目標と、短期的な目標をまずざっくり設定しましょう。あくまでおおよそなので、体調や忙しさを見ながら進めます。
放置しすぎた収納ほど、すべてのものを出してから分類作業に入るのは至難のワザです。少しずつで大丈夫なので、中のものを出しつつ、これからの暮らしに必要なものと、そうでないものを段ボールや紙袋などを使って分けていきます。
このとき、残すものの量ですが、分類が終わるまで部屋に置いていても、生活に支障がないくらいの量を目安にするといいかもしれません。部屋を埋め尽くすほどの量のものを、また収納スペースに戻すとなると同じことの繰り返し。量をぐんと減らして、今部屋に溢れているものをしまえるようになることが身軽に暮らすためのいちばんの理想です。
定期的な見直し作業のことを考えても、なるべく手元に残すものを少なく設定すると将来困りません。
なにを手放すか判断するのも大変な作業ですが、以下のようなものは思い切って手放すのがよいでしょう。
(1)今の体力でギリギリ持てる重さや大きさもの
これは近い将来体力が落ちたときに、自分では動かせなくなる場合も。できれば早めに手放す判断を。
(2)持っていることすら忘れていたもの
なくても困らなかったことがすでに証明されているので、手放す対象として考えても。
(3)興味がなくなっているもの
以前は好きで集めていたものや、趣味をもとうと集めた素材など。きっとだれしもあると思いますが、今の自分に必要かどうか一旦見直すことも必要です。
(4)使えない、壊れているもの
なんとなくもっていた昔の家電など、すでに壊れていたりして使えないものであれば、早めに手放しを。
(5)自分以外のだれかが判断に困るようなもの
今の時代、いつ何が起こるかわかりません。「自分以外のだれかがその場所を片づけるとしたら…」ということを想像しながら、不要なものは先に手放します。
分類がすんだらスペースに戻して収納しますが、空間があると、つい目一杯つめ込みたくなります。収納はつめ込む、押し入れるが正解ではなく使うことを前提にするもの。
「出しやすい・入れやすい・見直しやすい」ことが重要です。自分が手を伸ばせたり、ものを持って移動できたり、さらにはその場で見直せる作業スペースをつくったり、といったことに配慮しながら、ゆとりのある収納にしましょう。
悲しいかな、いつまでも同じ体力や身体能力ではいられません。腕が上がらない、腰が痛い、足や手も痛い…など、いろいろな支障がこれから出てきます。そのときまでに無理なく片づく、無理なく使えることを考えて準備をしておくと、後々助かります。
さらに、ものがあふれた部屋では体勢に無理が生じたり、将来転倒してけがをしてしまったりする可能性も。まだ動きやすい今のうちに、少しずつ整えていくといいかもしれません。
私自身も、ものが増えると片づけが難しくなり、すぐにぐちゃぐちゃと乱れやすい収納になってしまうので定期的に見直しています。今なにが使いたいか、どこでどう使いたいかを自分に確認しながらアップデートしていくことで、日々はぐんとラクになり、頭の中のもやが晴れるようにとてもすっきりします。
自分も年齢を重ね変化していくことに合わせて、暮らしも変えていくことがこれから一層大切になるのだと感じています。
あの頃は元気だったな、なんでもできたな…と何年か前を振り返るように、将来の自分もまた、今の自分をうらやましく思うはず。未来の自分を助けることができるのは自分。できることをできるうちに。身軽に暮らすために是非意識し始めてください。
●教えてくれた人
1970年生まれ、愛媛県在住。3LDKの戸建てに夫と2人暮らしで、5人の孫がいる。元看護師で、現在は整理収納コンサルタント、暮らしコーディネーターとしてブログ『暮らしごとレシピ
』や、SNSなどで発信。インスタグラムは@takimoto_manami
。著書に『部屋をオシャレに、心地よく インテリア&収納10のルール
』(マイナビ出版)など
「今こそ始めたいのは、この開かずの収納の見直し。将来身軽に暮らすためには、できることをできるうちにするのが大切だと実感しています」と、話すのは、整理収納コンサルタントの瀧本真奈美さん。
今回は、瀧本さんに身軽に暮らすためにするべき、収納の見直しのポイントを教えてもらいました。
「開かずの収納」を片づけるのがすっきり暮らしの第一歩
50代からの身軽に暮らために。「開かずの収納」からすきっり!
同じ家に長く住んでいると、「開かずの収納スペース」や「物置部屋」ができやすくなります。知らず知らずのうちにものがたまり、スペースを埋め尽くしたあと、手が着けられない状態に…という構図です。いつかどうにかしなきゃと気にしつつ、見て見ぬふりをする方も多いよう。
さらにこの状況が長く続くと、中に入っているものの存在すら忘れ、自分の家の中でありながら、全く機能しない場所になってしまいます。すっきり暮らすために、ぜひ始めたい開かずの収納の見直し。その必要性と片づけの進め方をご紹介します。
●1.おおよその目標を設定する
ただでさえ、いろいろなことへの意欲が低下する50代。まずは、おおよそいつまでに終了させる、という目標時期を決めるのがおすすめです。どんなに小さな収納スペースでも、日常の隙間時間を使うだけでは、1日で完全に片づけることは到底無理です。ものを出して、そのまましまって終わりになってしまいます。
長期的な目標と、短期的な目標をまずざっくり設定しましょう。あくまでおおよそなので、体調や忙しさを見ながら進めます。
●2.中のものを出しつつ、分類する
放置しすぎた収納ほど、すべてのものを出してから分類作業に入るのは至難のワザです。少しずつで大丈夫なので、中のものを出しつつ、これからの暮らしに必要なものと、そうでないものを段ボールや紙袋などを使って分けていきます。
このとき、残すものの量ですが、分類が終わるまで部屋に置いていても、生活に支障がないくらいの量を目安にするといいかもしれません。部屋を埋め尽くすほどの量のものを、また収納スペースに戻すとなると同じことの繰り返し。量をぐんと減らして、今部屋に溢れているものをしまえるようになることが身軽に暮らすためのいちばんの理想です。
定期的な見直し作業のことを考えても、なるべく手元に残すものを少なく設定すると将来困りません。
●3.なにを手放すかの判断
なにを手放すか判断するのも大変な作業ですが、以下のようなものは思い切って手放すのがよいでしょう。
(1)今の体力でギリギリ持てる重さや大きさもの
これは近い将来体力が落ちたときに、自分では動かせなくなる場合も。できれば早めに手放す判断を。
(2)持っていることすら忘れていたもの
なくても困らなかったことがすでに証明されているので、手放す対象として考えても。
(3)興味がなくなっているもの
以前は好きで集めていたものや、趣味をもとうと集めた素材など。きっとだれしもあると思いますが、今の自分に必要かどうか一旦見直すことも必要です。
(4)使えない、壊れているもの
なんとなくもっていた昔の家電など、すでに壊れていたりして使えないものであれば、早めに手放しを。
(5)自分以外のだれかが判断に困るようなもの
今の時代、いつ何が起こるかわかりません。「自分以外のだれかがその場所を片づけるとしたら…」ということを想像しながら、不要なものは先に手放します。
●4.体が動かせるスペース、作業スペースを残して収納する
分類がすんだらスペースに戻して収納しますが、空間があると、つい目一杯つめ込みたくなります。収納はつめ込む、押し入れるが正解ではなく使うことを前提にするもの。
「出しやすい・入れやすい・見直しやすい」ことが重要です。自分が手を伸ばせたり、ものを持って移動できたり、さらにはその場で見直せる作業スペースをつくったり、といったことに配慮しながら、ゆとりのある収納にしましょう。
●5.体に支障をきたしても使えることを意識
悲しいかな、いつまでも同じ体力や身体能力ではいられません。腕が上がらない、腰が痛い、足や手も痛い…など、いろいろな支障がこれから出てきます。そのときまでに無理なく片づく、無理なく使えることを考えて準備をしておくと、後々助かります。
さらに、ものがあふれた部屋では体勢に無理が生じたり、将来転倒してけがをしてしまったりする可能性も。まだ動きやすい今のうちに、少しずつ整えていくといいかもしれません。
●6.定期的な見直しが今の暮らしにフィットする
私自身も、ものが増えると片づけが難しくなり、すぐにぐちゃぐちゃと乱れやすい収納になってしまうので定期的に見直しています。今なにが使いたいか、どこでどう使いたいかを自分に確認しながらアップデートしていくことで、日々はぐんとラクになり、頭の中のもやが晴れるようにとてもすっきりします。
自分も年齢を重ね変化していくことに合わせて、暮らしも変えていくことがこれから一層大切になるのだと感じています。
あの頃は元気だったな、なんでもできたな…と何年か前を振り返るように、将来の自分もまた、今の自分をうらやましく思うはず。未来の自分を助けることができるのは自分。できることをできるうちに。身軽に暮らすために是非意識し始めてください。
●教えてくれた人
【瀧本真奈美さん】
1970年生まれ、愛媛県在住。3LDKの戸建てに夫と2人暮らしで、5人の孫がいる。元看護師で、現在は整理収納コンサルタント、暮らしコーディネーターとしてブログ『暮らしごとレシピ
』や、SNSなどで発信。インスタグラムは@takimoto_manami
。著書に『部屋をオシャレに、心地よく インテリア&収納10のルール
』(マイナビ出版)など