いつかはやらないと…と頭の片隅では思っているけど、なんとなく先延ばしになっている実家の片づけ問題。親が高齢になればなるほど、切実になってきます。そもそも、どうしたらいい? どこから手をつけたらいい? …。
自らも3年がかりで実家の片づけを行った整理収納アドバイザーのcoyukiさんに、親子ともにストレスなく片づけを進めるコツを聞きました。


実家の片づけをスムーズにするコツ

実家の片づけをスムーズにするコツ



やってもやっても片づけが進まない。つい親にきつく言ってしまってケンカに…。そんな事態を避けるためのコツを、coyukiさんに伝授してもらいました。

●できるだけ早めに取りかかる



時間に余裕があると、疲れたらきり上げることができるし、気持ちにゆとりをもって進められるので、ケンカも少なくなります。子育てが一段落して、気力や体力があるうちに始めるのがベスト。

●自分の考えを押しつけない



実家は自分の家ではなく、あくまでも親の家です。それに、自分にとって快適なことが、親にとっても快適とは限りません。提案するのはいいけれど、自分の意見を押しつけるのはやめることが大切。

●どんな暮らしをしたいのか聞きとりをする




したい暮らしを思い浮かべると作業がスムーズに

「好きなものを飾りたい」「料理を楽しみたい」など、親が今後どんな暮らしをしたいのか、なにかやりたいことがあるのか聞いてみましょう。そのための片づけだと思えば、モチベーションが上がります。

●自分の不安を素直に伝える




片づけたいのは、「親が困っているから」ではなく、「私が心配で、不安だから」というのが本心では? それを素直に伝えてみましょう。親として、娘の心配を取り除いてあげたいと思うはず。

●「まだ使う!」と言いはるものは目立つ場所に置く



ケンカの原因になるのが、絶対いらないようなものを、親が処分したがらない場合。「まだ使う!」と言うなら、あえて目立つ場所に置いて暮らしてもらいましょう。もし本当に使うなら、それはそれでOK。

●かかった費用を記録しておく



収納用品の購入、不用品の処分、手伝いの人へのお礼など、意外と費用がかかります。自分が払った場合は領収書をとっておき、出費を明確にしておくこと。親やきょうだいに確認しながら進めましょう。

●ひとりで抱え込まず周りの人に助けを求める




「私がやらなきゃ」とひとりで抱え込むと、自分自身の暮らしに悪影響が出ることも。お金の負担は親に頼んだり、きょうだいにも手助けを求めるなど、自分が無理なくできる範囲で関わることが大事。

●否定的な言葉を言わない




「なんでこんなものが…?」というものがザクザク出てくるので、つい否定的な言葉を言ってしまいがち。親が心にシャッターを下ろしてしまい、片づけが進まなくなる原因になるので、注意して!

<NGワードとOKワード>

NG/なんでこんなの買ったの?
OK/これ、どこで買ったの?

問いつめても意味はない。買ったときの話を聞くと、楽しい雰囲気になるかも。

NG/こんなの使わないでしょ!
OK/これ、どうやって使うの?

取っておくのには、親なりの考えがあるのかも。決めつけずにまずは聞いてみて。

NG/ひとりじゃできないでしょ!
OK/助けがほしいときは言ってね

いくつになっても親は親。プライドを傷つけるような言葉は言わないで。

NG/なんで取っておくの?
OK/なにか思い出があるもの?

責めるよりも気持ちに寄り添うことで、心を開いてくれるはずです。

巣立ったあとの子どもたちの荷物がそのままになっていたり、もうそこに住んでいない人のものまで置きっぱなしになっていたりする実家。家1軒をまるごと片づけるのは相当大変な作業です。実際に手をつけるのはまだ先でも、まずは心構えだけでもしておきましょう。

<イラスト/平松昭子 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【coyukiさん】



愛媛県在住。整理収納アドバイザー。人気のブログ*LittleHome*
は開設から10年を超える。実体験をつづった著書『大丈夫! 実家は片づけられます
』(主婦の友社刊)が話題