食べる人の気持ちに立つほどお弁当はシンプルがいい。藤井恵さんが「レンチン弁当」に込めた思い
毎朝お弁当づくりに忙しくしている人も多いのではないでしょうか? 毎日のことだからこそ、少しでもラクにつくりたいですよね。
娘さん2人のお弁当を15年間つくり続けた経験から生まれた、がんばらなくてもおいしくつくれるお弁当レシピが人気を集めている料理研究家の藤井恵さんが、このたび新刊『2品同時にハイ! できあがり 超速! レンチン弁当
』(扶桑社刊)を上梓。その簡単さに早くも話題になっています。藤井さんが読者のみなさんに届けたいレシピへの思いを聞きました。
お弁当レシピで人気の藤井恵さんに聞きました!
新刊の中で紹介されているお弁当は、おもな材料は2つ、肉も魚も野菜も全部100g、すべて電子レンジ600wで4分加熱するだけで2品同時にお弁当が完成。つくり方が同じだから、あれこれ考えることなく、お弁当づくりが毎日ラクに続くと言います。このレシピを開発するに至るまでのことを教えてもらいました。
――今回のお弁当レシピ、とてもシンプルで簡単ですね。開発にあたり意識されたことを教えてください。
藤井:家族のお弁当を日々つくる方はもちろん、料理が苦手だったり、お料理に慣れていない初心者の方まで簡単にできるように意識してつくりました。私には2人の娘がいて、下の娘が一人暮らしを始めてから、どんなふうにお料理をつくればいいのかよく聞かれるんです。娘は会社にお弁当を自分でつくって持っていくのですが、同期の男の子や女の子も料理を始めたばかりの子たちが多く、みんな電子レンジ調理を選んでいるそうなんです。簡単にできるのはもちろん、電子レンジだとフライパンでつくるより、ニオイが出ないこともメリットのようなんです。フライパンだと調理のとき部屋にニオイがこもってしまい、着て行く洋服や制服にニオイがついてしまうなんてこともありますよね。その点電子レンジはニオイが出にくいので、とくにおしゃれや身だしなみに気をつかう若い世代に選ばれているのかもしれないですね。
それもあって今回のレシピはレンチン弁当です。ルールは調味料をからめたお肉や魚100g、野菜100gを600wの電子レンジで2つ一緒に4分加熱するだけ。くり返しつくるお弁当だからこそ、分量も時間も覚えやすいように全部同じにしています。
――たしかに、料理に慣れていないとお弁当づくりって日々プレッシャーを感じます。簡単で、毎日できそうって思えるのがいいですね。
藤井:そこは大きく意識した部分です。しかも今は、コロナ禍でなかなか外食にも頼れないし、かといってコンビニのお弁当が続くのも飽きてしまう。人によっては食費節約のためにお弁当をつくるようにしていたり、でも日々忙しさに追われてつくる時間もなく悩んでしまったり…とにかくさまざまな方の悩みに寄り添ってニーズに答えられるようにしました。お肉か魚100g、野菜100gなので栄養面でもばっちりです。
電子レンジなら火を使わず安全なので、ご高齢の方や、留守番中のお子さんなどにも、幅広く活用していただけると思います。
――娘さんのためにずっとお弁当づくりをしてきたという藤井さんですが、お弁当づくりを振り返ってみていかがでしょうか?
藤井:シンプルなつくり方にたどり着くまでは、お弁当づくりはとても憂鬱でした。なにをどうつめたらいいのか、どんなメニューがいいのか日々悩んでいたんです。最初はすごくがんばって、毎日凝ったものをつくっていました。キャラ弁にしてみたり、おにぎりをお団子状にしていくつもつめたりとか…。でも、そんなにがんばっても子どもは食べてくれなかったんです。見たこともないようなものをひとりで幼稚園で食べるわけなので、それはそうですよね。それがわかってからは、おかずは普段食べているものを意識するようにしました。また、食べきれる達成感を味わえるように量を少なめにしたりもしました。
結局、がんばる方向性が間違っていたんです。私の押しつけじゃなくて、食べる人の気持ちになったら、すごくシンプルなことでいいんだってわかったんです。それからはあるものでつくるようにして、無理せずいろいろやりすぎずパターン化していきました。すると、いつの間にかお互いにお弁当が苦痛じゃなくなりました。
――つくる側、食べる側、両方の視点が必要だったということなんですね。
藤井:そうなんです。卵焼きにしても毎日違う味を入れていたんですけど、娘からは「おばあちゃんのつくる甘辛い卵焼きがあればいい」って言われたんです。結局馴染みのある味が一番だったみたいです。もしかするとつくる側は、毎日違うものをつくろうって意気込んでいるかもしれませんが、食べるほうはいつもの味を求めていたりするもの。それからはパターン化して、喜んで食べてもらえるようになりましたね。
――藤井さんといえば、曲げわっぱの弁当箱におかずをつめてレシピを紹介されることが多いですが、そこにもこだわりがあるのでしょうか?
藤井:私はわっぱ弁当がいちばん好きですね。理由は、冷ます時間がなくても傷まないから。もちろん時間があれば冷ますのがいいんですけどね。密閉容器の場合は、冷まさないとどうしても傷んじゃう…。ただ、その分、汁もれしやすいので、そんな日は娘に「お母さんが悪い」って怒られちゃったりしました(笑)。振り返ってみると、お弁当って毎日のことだから、それだけ思い出深いですね。みなさんそれぞれに物語ってあると思うんです。
手づくりのお弁当って、どんなに簡単でも心に響くもの。食べるときにお母さんを思い出したり、こちらも空っぽのお弁当を持って帰ってきてくれるとうれしくなったり。だから、ぜひ負担にならずに向き合ってもらえたらと思っています。
――藤井さんのレシピがいろいろなご家庭で思い出深いお弁当になっていくといいですね。
藤井:このレンチン弁当は、とにかく簡単でシンプル、誰がつくってもおいしくなるように考えたレシピです。つくるのも負担にならないし、食べる側もこんなにおいしいんだって思ってもらえるように。
なにより「どうやってつくるの?」って聞かれたとき、言葉だけで伝わるくらいシンプルなんです。そのくらいパッと再現できておいしいレシピをいくつかもっているだけで、自分自身にとっても食べるほうにとってもうれしいもの。そしてそのレシピをパターン化して繰り返しつくることで、各家庭のお弁当として馴染んでいってもらえたらと思います。
ぜひ、「超速! レンチン弁当」の中のレシピを毎日のお弁当づくりに取り入れてもらえたらうれしいです。
藤井恵さんの『2品同時にハイ! できあがり 超速! レンチン弁当
』は、材料2つだけ、2品同時にレンチン4分でつくれるお弁当レシピを多数掲載しています。つくる人も食べる人も喜ぶレシピが満載です!
<撮影/山田耕司 取材・文/ESSEonline編集部>
●教えてくれた人
料理研究家、管理栄養士。自身のお弁当づくりの経験をいかした、簡単でつくり続けやすいお弁当レシピが大人気。お弁当関連の著書に『2品同時にハイ! できあがり 超速! レンチン弁当
』(扶桑社刊)など
娘さん2人のお弁当を15年間つくり続けた経験から生まれた、がんばらなくてもおいしくつくれるお弁当レシピが人気を集めている料理研究家の藤井恵さんが、このたび新刊『2品同時にハイ! できあがり 超速! レンチン弁当
』(扶桑社刊)を上梓。その簡単さに早くも話題になっています。藤井さんが読者のみなさんに届けたいレシピへの思いを聞きました。
お弁当レシピで人気の藤井恵さんに聞きました!
藤井恵さんが語るお弁当づくり。食べる側の立場になって見えたもの
新刊の中で紹介されているお弁当は、おもな材料は2つ、肉も魚も野菜も全部100g、すべて電子レンジ600wで4分加熱するだけで2品同時にお弁当が完成。つくり方が同じだから、あれこれ考えることなく、お弁当づくりが毎日ラクに続くと言います。このレシピを開発するに至るまでのことを教えてもらいました。
●どの層のニーズにも答えられる、それがレンチン調理でした
――今回のお弁当レシピ、とてもシンプルで簡単ですね。開発にあたり意識されたことを教えてください。
藤井:家族のお弁当を日々つくる方はもちろん、料理が苦手だったり、お料理に慣れていない初心者の方まで簡単にできるように意識してつくりました。私には2人の娘がいて、下の娘が一人暮らしを始めてから、どんなふうにお料理をつくればいいのかよく聞かれるんです。娘は会社にお弁当を自分でつくって持っていくのですが、同期の男の子や女の子も料理を始めたばかりの子たちが多く、みんな電子レンジ調理を選んでいるそうなんです。簡単にできるのはもちろん、電子レンジだとフライパンでつくるより、ニオイが出ないこともメリットのようなんです。フライパンだと調理のとき部屋にニオイがこもってしまい、着て行く洋服や制服にニオイがついてしまうなんてこともありますよね。その点電子レンジはニオイが出にくいので、とくにおしゃれや身だしなみに気をつかう若い世代に選ばれているのかもしれないですね。
それもあって今回のレシピはレンチン弁当です。ルールは調味料をからめたお肉や魚100g、野菜100gを600wの電子レンジで2つ一緒に4分加熱するだけ。くり返しつくるお弁当だからこそ、分量も時間も覚えやすいように全部同じにしています。
――たしかに、料理に慣れていないとお弁当づくりって日々プレッシャーを感じます。簡単で、毎日できそうって思えるのがいいですね。
藤井:そこは大きく意識した部分です。しかも今は、コロナ禍でなかなか外食にも頼れないし、かといってコンビニのお弁当が続くのも飽きてしまう。人によっては食費節約のためにお弁当をつくるようにしていたり、でも日々忙しさに追われてつくる時間もなく悩んでしまったり…とにかくさまざまな方の悩みに寄り添ってニーズに答えられるようにしました。お肉か魚100g、野菜100gなので栄養面でもばっちりです。
電子レンジなら火を使わず安全なので、ご高齢の方や、留守番中のお子さんなどにも、幅広く活用していただけると思います。
●食べる側の立場にもなって気づいたシンプルな味
――娘さんのためにずっとお弁当づくりをしてきたという藤井さんですが、お弁当づくりを振り返ってみていかがでしょうか?
藤井:シンプルなつくり方にたどり着くまでは、お弁当づくりはとても憂鬱でした。なにをどうつめたらいいのか、どんなメニューがいいのか日々悩んでいたんです。最初はすごくがんばって、毎日凝ったものをつくっていました。キャラ弁にしてみたり、おにぎりをお団子状にしていくつもつめたりとか…。でも、そんなにがんばっても子どもは食べてくれなかったんです。見たこともないようなものをひとりで幼稚園で食べるわけなので、それはそうですよね。それがわかってからは、おかずは普段食べているものを意識するようにしました。また、食べきれる達成感を味わえるように量を少なめにしたりもしました。
結局、がんばる方向性が間違っていたんです。私の押しつけじゃなくて、食べる人の気持ちになったら、すごくシンプルなことでいいんだってわかったんです。それからはあるものでつくるようにして、無理せずいろいろやりすぎずパターン化していきました。すると、いつの間にかお互いにお弁当が苦痛じゃなくなりました。
――つくる側、食べる側、両方の視点が必要だったということなんですね。
藤井:そうなんです。卵焼きにしても毎日違う味を入れていたんですけど、娘からは「おばあちゃんのつくる甘辛い卵焼きがあればいい」って言われたんです。結局馴染みのある味が一番だったみたいです。もしかするとつくる側は、毎日違うものをつくろうって意気込んでいるかもしれませんが、食べるほうはいつもの味を求めていたりするもの。それからはパターン化して、喜んで食べてもらえるようになりましたね。
●お弁当は簡単でも食べる人を喜ばせられます
――藤井さんといえば、曲げわっぱの弁当箱におかずをつめてレシピを紹介されることが多いですが、そこにもこだわりがあるのでしょうか?
藤井:私はわっぱ弁当がいちばん好きですね。理由は、冷ます時間がなくても傷まないから。もちろん時間があれば冷ますのがいいんですけどね。密閉容器の場合は、冷まさないとどうしても傷んじゃう…。ただ、その分、汁もれしやすいので、そんな日は娘に「お母さんが悪い」って怒られちゃったりしました(笑)。振り返ってみると、お弁当って毎日のことだから、それだけ思い出深いですね。みなさんそれぞれに物語ってあると思うんです。
手づくりのお弁当って、どんなに簡単でも心に響くもの。食べるときにお母さんを思い出したり、こちらも空っぽのお弁当を持って帰ってきてくれるとうれしくなったり。だから、ぜひ負担にならずに向き合ってもらえたらと思っています。
――藤井さんのレシピがいろいろなご家庭で思い出深いお弁当になっていくといいですね。
藤井:このレンチン弁当は、とにかく簡単でシンプル、誰がつくってもおいしくなるように考えたレシピです。つくるのも負担にならないし、食べる側もこんなにおいしいんだって思ってもらえるように。
なにより「どうやってつくるの?」って聞かれたとき、言葉だけで伝わるくらいシンプルなんです。そのくらいパッと再現できておいしいレシピをいくつかもっているだけで、自分自身にとっても食べるほうにとってもうれしいもの。そしてそのレシピをパターン化して繰り返しつくることで、各家庭のお弁当として馴染んでいってもらえたらと思います。
ぜひ、「超速! レンチン弁当」の中のレシピを毎日のお弁当づくりに取り入れてもらえたらうれしいです。
藤井恵さんの『2品同時にハイ! できあがり 超速! レンチン弁当
』は、材料2つだけ、2品同時にレンチン4分でつくれるお弁当レシピを多数掲載しています。つくる人も食べる人も喜ぶレシピが満載です!
<撮影/山田耕司 取材・文/ESSEonline編集部>
●教えてくれた人
【藤井恵さん】
料理研究家、管理栄養士。自身のお弁当づくりの経験をいかした、簡単でつくり続けやすいお弁当レシピが大人気。お弁当関連の著書に『2品同時にハイ! できあがり 超速! レンチン弁当
』(扶桑社刊)など