家事に仕事にと忙しくこなす日々、ふと気づいたらいつの間にか歯をくいしばってしまい、あごなどに痛みを感じてしまう場合も…。ここでは、ESSE読者からの「歯のくいしばり」に関するお悩みに、医師がお答えします。


歯の食いしばり、ストレスが原因?

くいしばっていないときも、上下の歯がくっついていないかチェックを!



歯科医師の木野孔司先生に、歯の食いしばりが引き起こす症状や改善法について教えてもらいました。

<あごに痛みが…くいしばりのせい?>
気づくと歯をくいしばっていて、そのせいかあごに痛みがあります。ストレスが原因でしょうか? どうすればよくなりますか?(39歳・女性)

●普段から上下の歯がくっついていませんか?



あごの痛みのほかに、口があけにくかったり、口をあけるときに音が鳴ったりしませんか? もしそうなら、顎関節症(がくかんせつしょう)しょうかもしれません。20〜40代の女性に多い疾患で、いつの間にか症状が治まる人も多いんです。ただ再発を繰り返したり、症状が長引く人もいます。

じつはこの顎関節症がある人の8割に「口を閉じているときに、上の歯と下の歯が常にくっついている(かみ合っている)」クセがあることがわかっています。そしてこのクセを直し、常に上下の歯が離れている状態になれば、くいしばりや痛みなどの症状が改善していくこともわかっているんです。

ただ、今まで上下の歯がくっついているのが当たり前だった人が、無理に「歯と歯を離そう」としてもなかなかできないもの。大事なのは意識しなくてもいつの間にか歯と歯が離れた状態になること。

●「歯を離すトレーニング」をしてみて



そのためのトレーニングを紹介します。ポイントは「はり紙」家のあちこちに「歯を離す!」と書いたメモをはり、見たら両肩をギューッと上にもち上げ、次に「アッ!」と言いながら脱力し、歯を離します(下記イラスト参照)。


これを繰り返すうちに、歯と歯がくっつくと自然に気づくようになり、意識しなくても歯と歯が離れた状態が次第に習慣となり、症状も改善します。

ただし、あごの痛みなどの症状があっても、すべてが顎関節症とは限りません。トレーニングをしても痛みが引かなかったり、再発を繰り返すときは、顎関節症に詳しい歯科医院を受診してください。

<イラスト/野田節美 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【木野孔司先生】



木野顎関節研究所代表。歯科医師。日本顎関節学会専門医、指導医。東京医科歯科大学歯学部卒業。同大学口腔外科学第一講座助手。歯学部附属病院顎関節治療部部長(准教授)を経て、2016年に木野顎関節研究所を開設。