テーブルフラワーで楽しむ紫陽花。簡単でおしゃれなアレンジをプロが直伝
6月といえば紫陽花!フラワーコーディネーターに教わるアレンジメント
梅雨シーズンを彩る美しい紫陽花。季節の風物詩として、生花にして楽しむという方も多いのではないでしょうか。ただボリュームがある花なので、バランスや組み合わせなど飾り方に悩むことも。
お花のスペシャリストである岩本さんは、空間デザインを手掛けているというだけあってセンスも抜群です。ご紹介する3つのアレンジは、思わずうっとりしてしまうものばかり。とはいえ、ポイントさえ押さえれば簡単にできるアレンジになっていますよ。
ジメジメした空気に気持ちまで沈んでしまいそうな梅雨。紫陽花のテーブルフラワーでそんな気持ちを吹き飛ばしてみませんか?
紫陽花の選び方は?長く楽しむポイント
せっかく飾るなら、できるだけ長く楽しみたいですよね。まずは、紫陽花選びのポイントを教えていただきました。
「長く楽しむなら、切り花ではなく鉢で買いましょう。切り花は1週間ほどで枯れてしまいますが、鉢なら1カ月近く楽しめます。鮮度の良さは、鉢を軽く揺するとわかりますよ。花が密集して隙間が少なく、揺すったときに弾力があるものを選んでください。
ちなみに今回使う紫陽花は、オーソドックスな一重咲き。珍しい色に見えますが、普通にお花屋さんで買ったものです。最近はさまざまな色合いの紫陽花が売っていますよ。色は品種の違いではなく、育った環境によって変わる場合が多いですね」
買うときは “真花” をチェック
「多くの方が花だと思われている部分は “ガク” と呼ばれており、じつは本当の花ではありません。その中心にある小さな丸い部分が “真花” です。この真花の状態が、購入時の大きなポイント。
蕾→真花が咲く→真花が茶色になるという順で紫陽花は成長します。長く楽しむなら、蕾の状態の真花がたくさんあるものを選ぶと良いですよ」
そんな選び方があったとは驚きました……!鉢で買えば必要な分だけカットできるのでアレンジもたくさん楽しめますね。
ここからは、アレンジメントをご紹介。『カジュアルで日常的』『特別感のある華やかさ』『上品で大人な雰囲気』といった3つのシーンに合わせて教えていただきました。
1. カジュアルで日常的に楽しめるアレンジ
はじめに、家族と囲むテーブルに爽やかさや元気をプラスしてくれるような、カジュアルで日常的に楽しめるアレンジを教えていただきました。
「大きめの花瓶を使って、日常のランチやおやつをいただくときのテーブルをイメージしています。紫陽花越しに家族みんなでたわいのない会話を楽しんでいただきたいので、華美になりすぎない爽やかな雰囲気に仕上げました。
さりげなく日常に溶け込みつつ生活に彩りをプラスさせたい方におすすめです」
ポイント1. 紫陽花の茎の綿を取る
「紫陽花をアレンジメントする際には、茎の中の綿を取ることがポイント。水が大好きな紫陽花ですから、茎の中の白い綿を取り除いてあげることで水の吸い上げが良くなります。これはほかのアレンジでも同様です」
ポイント2. 高低差をつけてバランス良く
「形や大きさが異なる花たちを上手くまとめるポイントは、長いものは思い切り長く、紫陽花のように面が大きいものは下に配置することです。特に大ぶりの花瓶の場合、花と花の間にゆとりを出すことで全体のバランスが整い、よりきれいに見えるんですよ。
また花瓶に挿すときも、底までついている必要はありませんが、切り口が水に浸かっているかは必ず確認しましょう」
2. 特別感のある華やかなアレンジ
次は、豪華な食卓を演出したいときにぴったりな、華やかで特別感のあるアレンジを教えていただきました。
「ホームパーティーやお祝いごとなどに合う、華やかさをイメージしたアレンジメントです。普段よりもゴージャスに、紫陽花の美しさを添えていつもの食卓を変身させましょう。もちろん日常的に飾るのもおすすめ。普段と雰囲気がガラッと変わるので気分転換になりますよ」
ポイント1. 高さの異なる花瓶で動きを出す
「高さや大きさが異なる花瓶をいくつか用意します。最低でも4つ以上あると良いですね。100均やプチプラでもこういったシンプルな花瓶が売っていますよ。口がゆったりしているほうが動きが出しやすいのでおすすめです。
また花瓶を台にのせているのは、よりまとまりを出すため。このような低めの台がない場合、クロスを敷いてその上に花瓶をのせるという方法でもきれいに見えます!」
ポイント2. “美しく魅せる法則” で生ける
「まずはベースとなる紫陽花を3本ほど好きな瓶に1本ずつ挿していきます。それぞれ向きを変えることで動きが出て、不思議と全体のまとまりが良くなるんです。
花を生けるときのバランスがむずかしいという声をよく聞きますが、“美しく魅せる法則” を知れば大丈夫。花を一列に並べず、全体的に三角形になるよう配置してみてください。三角形を意識するとバランスが良く見えるんです。
また、なるべく同じ植物は奇数で入れると良いですよ。あとは、空いている瓶や隙間を埋める感じで小花やグリーンを入れていってくださいね」
3. 上品で大人な雰囲気にアレンジ
最後に、ディナーや晩酌に合う、上品で大人な雰囲気のアレンジを教えていただきました。
「落ち着いた色合いの紫陽花を使い、合わせる植物も花びらの少ないシックなものを選びました。アレンジメントは、お酒を楽しみながらゆったりと過ごす大人のディナーをイメージしています。お部屋を上品な空間にしたいときや、ムーディーな夜を過ごしたいときにぜひやってみてください」
ポイント1. ベース作りにはセロハンテープを活用
「会話を楽しむ際のテーブルコーディネートには、目線を遮らない背の低い花瓶がおすすめです。口の大きな花瓶をそのまま使うと花が倒れてしまうので、セロハンテープで仕切りを作ると挿しやすくなりますよ。仕切りは細かければ細かいほど挿しやすくなりますが、大体で問題ありません」
ポイント2. 外側から埋めていく
「準備ができたら、まずは葉でベースを作っていきます。その上に、大ぶりの紫陽花を大胆にあしらい、隙間を埋めるようにほかの植物を挿しましょう。外側から埋めていくのがポイントです。そうすると、全体のバランスがイメージしやすく、まとまりやすくなりますよ」
ポイント3. 異素材の花を組み合わせる
「紫陽花は面が大きいので、バラやラナンキュラスなど、花の主張が強い同様の系統を組み合わせるとバランスが取りにくくなります。形や表情の異なる異素材的な花がじつは相性が良いのです。
グリーンやシュッとした印象の花を組み合わせると落ちついた印象に。今回大人っぽく上品に仕上げたかったので、ワインカラーを差し色に入れてみました。
全体的にまとまってきたら、余った葉っぱで隙間を埋めてあげてセロハンテープが見えないようにしましょう」
楽しんだあとはドライフラワーに
「紫陽花は、ドライフラワーにも加工しやすいんです。直射日光の当たらない風通しが良い環境に吊り下げるだけで、とってもおしゃれなドライフラワーに変身します。湿気が多いと乾燥しにくいので、この時期は乾燥剤を一緒に吊るすといいですよ。
1輪ずつ乾燥させても良いですし、ほかの花と合わせてスワッグにしても素敵ですね」
いつもの食卓も紫陽花アレンジでパッと華やかに
テーブルコーディネートをわざわざしなくても、紫陽花のテーブルフラワーを飾るだけでおうちがレストランのように様変わりします。色合いやアレンジ方法によって印象がガラッと変わるので、シーンに合わせて楽しんでみてくださいね。
眺めているだけで不思議と元気になれる紫陽花。力強ささえ感じるその魅力で、おうちの雰囲気が明るく華やかになりますよ。
取材・文/鎌上織愛
撮影/實重かおり(macaroni 編集部)