イギリス・オックスフォード大学が2021年4月19日に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に自然感染したことがある被験者を再度COVID-19に感染させる「ヒトチャレンジ試験」を実施すると発表しました。

Human challenge trial launches to study immune response to COVID-19 | University of Oxford

https://www.ox.ac.uk/news/2021-04-19-human-challenge-trial-launches-study-immune-response-covid-19

Covid: Oxford to launch human challenge trial to study immune response

https://www.cnbc.com/2021/04/18/covid-oxford-to-launch-human-challenge-trial-to-study-immune-response.html

2020年8月に、COVID-19から回復した人が再度COVID-19に感染する「再感染」の事例が、世界で初めて報告されました。これまでに発表されている研究により、「COVID-19に感染すると次に感染する確率が84%低下する」ことが分かっている一方で、「COVID-19の免疫は数週間しか続かない」という研究結果も報告されており、人間がCOVID-19に感染したことで得られる免疫の効果やその持続期間には、不明な点が多く残されています。

新型コロナに感染すると次に感染する確率が84%低下するという研究結果 - GIGAZINE

そこで、オックスフォード大学の研究チームは、人間の免疫システムが2度目の感染にどのように反応するかを調査するため、COVID-19に感染したことがある人を再度新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)にさらす実験を行うと発表しました。

実験は2つのフェーズにわけて実施され、各段階には異なる被験者が参加します。2021年4月に開始される第1フェーズでは、COVID-19に自然感染したことがある18〜30歳の健康な参加者最大64人を集め、慎重に管理された状態でSARS-CoV-2を投与して再感染させます。被験者に投与されるSARS-CoV-2は、中国の武漢で見つかった「オリジナル株」が使われます。

ウイルス投与後の被験者は、特別に設計された医療施設で最低17日間隔離され、肺のCTスキャンや心臓のMRIスキャンを始めとするさまざまな医療検査を受けます。もし被験者に何らかの症状が現れた場合は、モノクローナル抗体による治療が施される予定です。被験者から症状が見られなくなり、感染リスクもゼロになってから被験者は退院し、退院後も最低8回の予後調査が行われるとのことです。

2021年の夏から開始される第2フェーズでは、前段階の試験で収集されたデータを元に、第1フェーズとは異なる被験者にSARS-CoV-2が投与され、再感染によって生じる免疫反応や検出されるウイルス数などが測定されます。これにより、どのような免疫反応が再感染に効果を示すのかが判明すると期待されているとのこと。

オックスフォード大学のワクチン学教授であるヘレン・マクシェーン氏は、「チャレンジ試験は、自然感染とは違って厳密な管理下での観察ができるため、ほかの研究では得られない知見を得ることができます。参加者をCOVID-19に再感染させれば、最初の感染で獲得された免疫系の反応や再感染が発生する時期などを知ることができるので、COVID-19に対する理解を深めたり、人々がSARS-CoV-2から保護されているかが正確に分かる検査方法を開発したりするのに役立ちます」と述べました。実験に資金提供しているウェルカム・トラストのシニアリサーチアドバイザーであるShobana Balasingam氏は、「今回の研究は、今後のCOVID-19対策に多大な影響を与える可能性があります。ワクチン開発だけでなく、さまざまな治療法の研究にも役立つはずです」とコメントしました。