イマドキの若者たちは、アラフォー世代のSNS投稿をどう見ているのでしょうか。5人の大学生が、イタい写真やNG写真から、そうならないためのおすすめアプリまでを本音でトーク。司会と解説は『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』の著者、原田曜平さんです――。
写真=iStock.com/GCShutter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GCShutter
【座談会参加者】
工藤 慶人くん/一橋大学経済学部2年生。男性
鈴木 俊太朗くん/慶應義塾大学法学部3年生。男性
安田 愛麻さん/慶應義塾大学総合政策学部2年生。女性
高杉 真由香さん/慶應義塾大学総合政策学部2年生。女性
齊藤 龍星くん/早稲田大学政治経済学部2年生。男性

■ひと目見て自撮りとわかる写真はアウト

【原田】皆、インスタやTwitterで年上の人の投稿を見かけることもあると思うんだけど、その中で「おじさん・おばさんっぽいな」と思う写真はある? 若者が投稿する写真とどう違うのかも教えてほしいんだ。

【安田】ひと目見て「自分で撮ってるな」ってわかるような、完全な自撮り写真は古くさい感じがします。今の子たちは、自分で撮るにしても自撮り棒で高めから撮るとか、第三者に撮ってもらった風の写真を投稿することが多いですね。あと加工しすぎ、盛りすぎな写真も逆に昔っぽい。今はわりとナチュラルに撮るのが主流になっています。

■嵐の自撮り写真が「おじさんっぽい」と話題に

【工藤】僕も、完全な自撮りにはおじさん・おばさんっぽさを感じますね。少し前、アイドルグループ「嵐」のメンバーが自撮り写真を投稿していたんですけど、「嵐の撮り方って意外とおじさんっぽい」って話題になっていました。顔のアップを角度もつけずに真正面から撮っただけで……。嵐はもうアラフォーだから確かにおじさんなんですけど、国民的アイドルなんだし若者の感覚もわかっておいてほしかったです。

【高杉】私は加工の仕方が気になりますね。彩度も明度も不自然に上がっていて、極端にシャープがかかっているとか。画像調整の機能をうまく使えてないのかなって思います。

■被写体を頑張って撮るより“世界観”を出すことに力を入れる

【原田】調整すればいいってものでもないんだね。僕なんかは、撮った写真をよく見せようと思って一生懸命いじってから載せるんだけど、それも若者が見たら逆におじさんっぽいのかな。

【高杉】調整や加工をしすぎると画質が落ちちゃうんですよ。今は、いくら加工していても画質がよくないと見てもらえない。若者だったら画質を大事にするはずだから、そうじゃない写真を見ると「若くないのかな」って。

【鈴木】僕の母は50代。インスタをやっているんですが、いつも被写体だけを頑張って撮っている感じなんです。「パンを載せたい」と思ったら、パンだけをアップで撮るみたいな。若い子は被写体をそこまでアピールすることはなくて、背景と合わせたり、遠めから撮ったりして世界観を出すのが普通です。

写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

【原田】確かに、若い子の間では世界観のある写真が人気だね。中年は見せたいと思ったものだけをアップで撮りがちだし、加工アプリも使いまくると逆におじさん・おばさんっぽいということか。じゃあ、もう一歩踏み込んで「これはイタい」と思うのはどんな自撮りなのかな。

■若者が「イタい」と思う自撮り写真

【工藤】意味のない自撮りですね。どこそこに行ってきたって書いてあるのに、場所が映っていなくて顔のアップだけとか。そんなに顔を載せたいのかなって引いちゃいます。

【高杉】あまりにも不自然な写真はイタい感じがします。若者でも、SNSに載っている顔と、実際に会った時の顔が明らかに別人な子がいるんですよ。盛りすぎるとそうなっちゃうので、周りにはそこに気をつけている子が多いです。SNSと別人だからといって接し方は変わらないけど、「あの子頑張ってるよね」「全然違くない?」というような噂は回りますね。

【原田】やっぱり加工しすぎには要注意なわけだね。それなら、フィルターとかがよくわからない人は、無理に加工しようとしないほうがいいのかな。皆はまったく加工なしの写真はどう思う?

■頑張ってる感が出るくらいなら、加工無しのほうがいい

【高杉】頑張りすぎて変な加工になるよりは、無加工のほうが、違和感がなくていいと思います。目が不自然に大きかったり色がおかしかったりするのってちょっとダサいと思う。

【工藤】同感です。フィルターを使いまくった写真を見ると「わっ頑張ってる!」って引いちゃう。本物よりよく見せたいのかな、若づくりしたいのかなって。むしろ飾らないままのほうが好感を持てます。

【斎藤】僕も、無理に加工するぐらいなら、まったくしない写真のほうが好きです。機械っぽくないので安心して見られますね。

■自撮りを載せるなら「免罪符」が必要な時代

【原田】一方で、若者の間では思い切った加工も人気だよね。日本では、自分の写真をピクサーの登場人物風に加工できるアプリ「ToonMe(トゥーンミー)」がはやっているし、中国の若者には、韓国や日本のテレビ番組に出たように加工できる「番組風加工」というアプリがはやっているみたいだね。

【安田】女子の立場から言うと、「自撮りを上げる=自分大好きな子」って見られるのが気になるんですよ。自撮りをわざわざ発信したがる、共有したがるってことは自己顕示欲が強い子なんだなって思われるのがイヤ。だから、かわいい自分を見せようとするんじゃなくて、エンタメとして見せるぐらいがちょうどいいんです。これならいやらしくないよねっていう「自撮り免罪符」が必要なのかも。ToonMeは、そこがよくてはやっているんだと思います。

編集部員がToonMeで加工にトライ。イラストのテイストはさまざま。アプリダウンロードはtoonme.comから。

【高杉】海外の人はSNSに自撮りが載っていても抵抗がないみたいだけど、日本ではやっぱりちょっと引かれますよね。自己主張が強いと思われるから。だから、「引かれない範囲で自撮りを載せたい」っていう子がよく使っている気がします。

【原田】なるほど。自撮りだけでアピールしようとする人は、若者の間ではもう好感が持たれなくなっているわけか。これは僕たちの世代も知っておいたほうがいいかもしれないな。

■アラフォー世代におすすめのカメラアプリ5つ

【原田】次に、自撮り以外の写真を上げる時、加工に不慣れな人におすすめのアプリはある? 初心者も簡単に「ちょうどいい加工」ができるものを挙げてもらえるかな。

【斎藤】「Huji cam(フジカム)」っていうカメラアプリがおすすめです。撮影するだけで勝手に自然な加工がされて、使い捨てカメラの「写ルンです」風の写真になるので、30〜40代の人にはなじみやすいと思います。若者の間でも「盛らない写真が撮れる」「人と差別化できる」って人気ですよ。

【安田】「Ulike(ユーライク)」もいいと思います。微調整ボタンで加工の度合いをいじることができて、ちょうどいい加工が簡単にできます。あらかじめ自分で加工度合いをカスタム設定しておけば、撮影の時もいちいちいじらなくて済むので楽ですよ。SNSに上げる写真を撮る時は、友達に自分の携帯を渡して、その設定で撮ってもらう子も多いです。

【工藤】盛っている写真を見慣れていない人は、自分で盛り具合を調整するよりカメラアプリに任せたほうが楽かもしれません。Ulikeもそうですが、「B612」や「SODA(ソーダ)」も、アプリを起動した時点で自然に見える補正がかかっている。自分で設定するのが不安だったら、こうしたデフォルト設定があるアプリが使いやすいと思います。

【高杉】写真の雰囲気をつくったり、色合いを加工したりするなら「VSCO(ビスコ)」が使いやすいですよ。その写真におすすめのフィルターが自動で出てくるので、そこから微調整していけば不自然な感じにはならないんじゃないかな。インフルエンサーもよく使っているみたいだし、精度は高いと思いますよ。毎回同じフィルターを使えば、自分のSNSの世界観も統一しやすくなるのでおすすめです。

■自然に盛るか、エンタメを目指すか

【原田】おすすめのアプリがたくさん挙がったね。僕みたいに加工に慣れていない人は、無理に盛ろうとするよりこうしたアプリを使ったほうがよさそうだと思ったよ。「頑張ってる感」が出るぐらいなら無加工のほうが、若者にはむしろ好感度が高いわけだしね(笑)。

単に「撮った」「盛った」写真は、若者にはすでに古くさく見えているようです。座談会で出た意見からは、盛っていることを感じさせないぐらい「自然に盛る」、またはエンタメとして成立するぐらい思い切った加工をするのがよしとされている様子がうかがえました。

特に、被写体だけをアップで撮るのではなく、世界観を出すことが大事だという点は、非常に興味深く感じました。今後、若者をターゲットにした企業SNSを運用する際には、この点を押さえておくことが重要なポイントになりそうです。

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原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。信州大学特任教授。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。
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(マーケティングアナリスト 原田 曜平 構成=辻村 洋子)