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「いきなり!ステーキ」のプリペイドサービス「肉マネー」が2021年12月で終了する。多額のチャージをしていた人からは「使いきれない」といった声も出ている。

運営するペッパーフードサービスによると、サービス終了にさきがけ、2020年11月にチャージ機能と「肉マネーギフトカード」の販売が終了するという。なお、「肉マイレージ」は継続する。

肉マネーは一定額をチャージすると、ボーナスがつく仕組みだったため、万単位の金額をチャージするヘビーユーザーもいたようだ。

もしも期間中に使い切れなかったとしたら、店側に必要以上のお金を払ってしまうことにもなりかねない。この手のサービスの終了について、どういう点に気をつけるべきなのか。上田孝治弁護士に聞いた。

●肉マネーは「資金決済法」の適用を受ける

ーー「肉マネー」などのプリペイドサービスは、法律上どのように位置づけられていますか

「電子マネーやプリペイドカードなどのように、チャージなどであらかじめお金を支払い、実際に買い物をするときに決済する仕組みを『前払式支払手段』といい、有効期限が発行日から6カ月以下のような場合を除き、資金決済法の適用を受けます」

ーー資金決済法ではどのように規定されているのでしょうか

「前払式支払手段に関する資金決済法上の具体的な規制としては、業務を行う際の届出あるいは登録、情報提供義務、発行保証金の供託義務などがあります。

『肉マネー』を販売するペッパーフードサービスも、第三者型前払式支払手段の発行者として登録を受けています」

●有効期限前に利用停止するなら、払い戻しに応じる必要あり

ーー有効期限については何か定められていないのでしょうか

「はい、前払式支払手段の有効期限の内容に関しては、資金決済法上の規制がありません。

したがって、発行者が有効期限を設定するかどうか、設定するとしてどのような内容にするかについては、発行者と利用者との契約(通常は、利用規約)によって決まることになります。

逆に、契約上、何も有効期限が定められていない場合は、消滅時効が完成するまで前払式支払手段を利用することができます」

ーー急に「明日から使えません」と言われた場合、どうなるのでしょうか

「契約上の有効期限がまだ来ておらず、前払式支払手段の利用ができる時期であるにもかかわらず、発行者が一方的に利用を停止することは、発行者が契約内容を守っていないことになりますので、発行者の債務不履行となり、発行者に損害賠償義務が発生することもあります。

また、契約上の有効期限がまだ来ていない段階で、発行者が前払式支払手段の発行および利用を停止した場合には、資金決済法上、発行者に払戻義務がありますので、利用者は同法の定める手続にしたがって、未利用分の払い戻しを受けることができます」

ーー払戻義務があるなら、使い切れないことへの心配はしなくて済みそうです

「前払式支払手段の発行者としては、新規の発行を停止しつつ、契約上の有効期限を勘案した十分な猶予期間の設定と周知によって、未利用分の利用をできるだけ促し、利用停止時において有効期限がまだ来ていない未利用分があれば、払い戻しに応じることが必要になります」

【取材協力弁護士】
上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題、マンション管理法務に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行っている。
事務所名:神戸さきがけ法律事務所
事務所URL:http://www.kobe-sakigake.net/