【武藤正敏】文在寅が「万事休す」へ…韓国で急浮上した「タマネギ女疑惑」のヤバすぎる末路 韓国主要メディアも批判を始めた

写真拡大 (全4枚)

文在寅政権に「新疑惑」が急浮上…!

文在寅大統領は、「タマネギ男」と呼ばれるチョ・グク前法務部長官の不正を可能な限りもみ消すために秋美愛(チュ・ミエ)前共に民主党代表を法務部長官に任命した。そんな秋長官は検察改革を錦の御旗に強権をふるって検察の牙を抜き、チョ・グク氏をかばい続けた。

しかし、いまやそんな秋氏自身のスキャンダルが文政権の命運を握るほどに拡散しており、韓国のメディアも「第2のチョ・グク氏」「タマネギ女」だと皮肉っている。これが文在政権の断末魔となる可能性もある。

支持率も落ちてきた文在寅 photo/gettyimages

秋長官は、息子S氏の陸軍入隊の際は配属などで優遇していたのか、休暇を不正に延長したのか、それに自身が関与してきたのかが問題となるやこれを隠蔽するため、発言が再三変わり、その信ぴょう性に疑念がもたれている。また、疑惑の当事者である長官が検察の人事権や指揮権の発動によって捜査に介入することで、事件の隠ぺいを図ろうとしている。

秋氏が与党の前代表だったこともあり、政府与党は秋氏を全面的に支援し、庇う姿勢を示している。

保守系メディアはまた、秋長官が倒れると文在寅政権に対する捜査が再開され、今後の政治日程に多大な影響がでると与党が危機感を滲ませているからだと報じている。

「政権ぐるみ」で実行

こうした一連の流れは、文在寅政権の体質と一致するものである。

権力を乱用し、それを私的に利用する。それが明るみに出れば、巧みな事実隠蔽と詭弁で世論を誘導する。政府与党が一体となってこれを弁護する。検察や裁判所の人事を掌握し、もみ消しを図る。それを政権ぐるみで実行する。

文在寅政権は守りに強い政権である。過去の政権であれば、文政権3年余りに起きた不正や政策の失敗がこれほど多く明るみに出れば、文政権への支持率の落ち込みは現状をはるかに凌いでいただろうし、そろそろレームダックになっていてもおかしくない。

文在寅政権のレームダック化が見えてきた photo/gettyimages

朴槿恵大統領に至っては弾劾で失職している。しかし、文政権は新型コロナの封じ込みによって総選挙で大勝を収め、立法府まで支配するようになった。

秋長官のスキャンダルがどのような結末を迎えるかで、今後2年間の文政権の動向を占う手掛かりになるかもしれない。これをすり抜けることができれば、いよいよ検察権力も支配下におさめ独裁への道を突き進むことになりかねない。

それは日本にとっても東アジアの安全保障への懸念、日韓関係の一層の悪化という事態をもたらすであろう。こうした視点で秋長官問題の動向に注目してみたい。

入隊の経緯

秋美愛法務部長官の息子S氏の病気休暇延長のため、秋長官の補佐官が部隊の将校に電話を掛けたという証言記録が公開されて以降、秋長官の介入疑惑は盛り上がりを見せている。

9月14日から4日間にわたって行われた定期国会は、秋美愛長官の子供への特別待遇疑惑に対する激しい攻防が続いた。

14日の答弁で、秋長官はS氏の膝の状態に関連し、「まともに検査を受けたならば、少なくとも現役兵にはいかなかったはずだ。私の負担になりたくなくて、無理して現役で入隊したものだ」と入隊の経緯について語った。

しかし、朝鮮日報の取材によれば、S氏は手術後入隊までの間、留学していた英国では在学韓国人のサッカーチームで活動。ユニフォーム姿の写真が残っている。実際にS氏と同様の診断で過去10年間に兵役免除された事例は1件もなかった由である。

疑惑は深まるばかり photo/gettyimages

入隊後の配属についても特別待遇疑惑が持ち上がっている。S氏の通訳兵選抜に関連しては、宋永武(ソン・ヨンム)元国防長官は「請託は共に民主党代表室からきていると聞いている」と明らかにしている。当時の代表が秋長官である。

党代表室の誰かが共に民主党出身の国防部長官補佐官に請託を指示し、補佐官がこれを再び軍関係者に伝えたという。その補佐官は軍関係者に「通訳兵問題をなぜ早く解決してくれないのか」と騒ぎ立てたといわれ、そのことは秋代表の指示を強く印象付けるものである。

片や「実刑判決」という現実も…

また、KATUSA(在韓米軍に入増くされた韓国軍兵士)支援団長だったイ・チョルウォン予備役大佐は、「秋氏の息子をソウル竜山の在韓米軍基地に配属してほしいという請託の電話を受けた」「S氏を平昌オリンピックの通訳兵に選抜するようにという全方位的な請託も実際にあった」と語っている。

異常なことばかりが発覚していく photo/gettyimages

23日にも及ぶS氏への休暇延長が許可された過程も異常である。病気休暇延長に不可欠な診断書や休暇命令書もない。

17日の国会で国民の力(旧・未来統合党)のキム・サンフン議員が「KATUSA支援班長との面談記録では、両親が(休暇の延長について)請願したことになっている」と追及、前日の会合では「2017年6月に国防部の陳情室に「女性」が電話をかけ、S氏の休暇について問い合わせ、秋長官の夫、徐盛煥(ソ・ソンファン)氏の名前を出したとの情報提供があった」との指摘もあった。これに対し、秋長官は「私は請願したことはない。私の夫にも請願したことはないと確認した」と答弁した。

国防部はS氏関連疑惑について、「手続き上の問題はなかったと判断する」といったが、過去4年間で休暇から舞台に復帰せず、電話で病気休暇を年次休暇にして延長したのはS氏だけで、その休暇も「事後承認」だった。

S氏とほぼ同じ時期に兵役に就いた一等兵は休暇からの復帰が17分遅れただけで実刑判決を受けている。

韓国主要メディアも社説で「批判」!

秋長官は「KATUSAの休暇は韓国陸軍ではなく米軍の規定の適用を受ける」といった。しかし、それは事実に反するという。KATUSAも休暇は韓国陸軍の規定を適応され、関連書類は5年間保管しなければならない。しかし、S氏関連の書類は保管されていない。

秋長官は、国会の答弁中に「自分は無限に耐え続けている」「私にどんな責任があるというのか」「確認されていない疑惑を提起する野党議員は、どう責任を取るつもりか」と逆に何度も声を荒げた由である。このような詭弁を弄し、ウソがばれると声を荒げる不誠実な対応。それでも真実を追求できない韓国の国会の虚しさを感じる人も多いだろう。

秋長官を巡る介入疑惑が高まるや、共に民主党の「秋美愛防衛」体制は一層強化されている。

民主党の院内広報は16日、論評を通じ、「国のために献身することは軍人の本分だという安重根(アン・ジュングン)義士(発言のママ)の言葉を自ら実践するものだ」と述べた。国民が「安義士が告別扱いで病気休暇を取ったのか」「安義士は休暇から戻ったことがあったか」「正気か」と憤ると、院内広報は「遺憾」だとして、安義士にかかわる部分は削除した。主要メディアは安重根氏とS氏のケースを同一視したことの不見識に対し社説を掲載して批判している。

それでも秋長官は国会で「(自分の息子は)体調が悪いにもかかわらず、最後まで兵役に忠実だったこと、(安義士の)言葉に従ったことを強調したものだ」と院内広報に同調している。S氏の体調がそれほど問題がないことは英国留学中のサッカー活動で明らかである。これは、S氏と同じ病状で兵役免除された人は過去10年間に一人もいなかったという事実を全面的に無視した発言である。

来年の「選挙」

民主党議員は、秋長官擁護で団結している。洪永杓(ホン・ヨンピョ)議員は秋長官に対する疑惑を提起した野党議員に向かって「かつて軍を私有化して政治に介入した勢力が昔はクーデターを起こしたが、もうそれができないから国会にきて工作している」と攻撃姿勢を貫いている。

さらに、「秋美愛氏の息子は体が痛くていかなくてもよい軍隊にいった。むしろ賞賛されるべきだ」(ソル・フン議員)、「(情報提供者である)当直兵士が到底単独犯だと見られない。共犯勢力も徹底的に究明しなければならない」(ファン・ヒ議員)などと事実に反する抗弁、むしろ秋長官を被害者として情報提供者を追い詰める動きを見せている。

与党のこうしたスタンスは、S氏を巡る疑惑が秋長官の退陣を狙った野党・保守勢力の政治攻勢ととらえているからである。「野党の攻勢で秋長官が倒れれば、政権の保護膜が消える」、「与党の検察に対する掌握力の低下する」「そうなれば尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長の政権捜査などの逆襲を招きかねず、現政権がレームダックになるリスクもある」とみているからである。

さらに今後の政治日程を見ても来年4月にはソウル・釜山市長選挙、22年3月には大統領選挙がある。秋長官の問題で譲歩すれば、支持層の分裂などで政権維持に支障が生じかねないとの見方もある。チョ・グク前長官をかばったのも今年4月の総選挙を見据えてのものであったのと同じ構図である。

すべては「政権与党」を守るために

秋長官はこのような与党の力強い加勢を受けて、定期国会を乗り切ったと見ているのではないか。韓国の国会は与党勢力が全議席の3分の2であり、野党の攻勢には限界があるのも事実である。国会が休会となれば、秋氏に対する追及も下火になる可能性がある。

S氏を巡る検察の捜査への秋長官の指揮権発動と人事、それに検察幹部の「忖度」はすさまじいものがある。

S氏の軍休暇未復帰問題を捜査しているソウル東部地検は、当時国会議員だった秋氏の補佐官と電話で話したという部隊関係者の陳実を得ながらも参考人調書から外したという疑惑が取りざたされている。当時の担当捜査官は「証明できるのか」「確かなのか」と聞き返し、あいまいだとして、その内容を陳実調書に入れなかったという。

また、大検察庁刑事部長だったキム・グァンジョン氏は関連診療記録の家宅捜索を阻止し、その代わりに秋長官が取ってきた記録を任意で提出してもらえと指揮していたことも明らかになった。それでも捜査チームが家宅捜索をすると、同部長をS氏の事件を捜査するソウル東部地検の地検長に昇進させている。キム検事長が率いる新捜査チームは、次長検事はもちろん部長検事まで政権側の人物で埋め尽くされているという。

秋長官とS氏の疑惑はそれほど複雑な事案ではない。検察が意思をもってまともに捜査すればすぐにでも真実が明らかになるはずだ。それでも政府与党が秋長官親子を擁護し、それを隠れ蓑に秋長官が自分の私的な問題で指揮権を発動し、人事を私する。これが文在寅政権が執着していた検察改革なのか。

文政権の独裁体制がいよいよ確立へ…?

秋長官は、1月13日、チョ・グク前法務部長官の親族に関するスキャンダルや大統領府による市長選挙介入疑惑などの捜査を指揮していた大検察庁(最高検)の幹部を交代させた。これによって、尹錫悦検事総長の側近の多くが大検察庁を離れることになった。

これは検察改革への布石の体裁をとりつつ、実際には政権にとって都合が悪い捜査の妨害を目的としたものだとの批判を受けている。

文在寅政権は高位公職者犯罪捜査処の設置など、自身に都合のいい検察改革を着々と進め、政権への打撃を抑える体制を構築している。

結論:文政権の独裁体制がいよいよ確立か――。

文政権は立法、行政、司法の権力を独占し、言論への支配力を強めている。そこへきて政権へのけん制勢力となりうる検察を抑え込めば、怖いもの知らず、である。秋長官親子への捜査はその一つの試金石となるであろう。