新型コロナの影響に加え、原料のすり身が不漁で仕入コストが重くなっていた

 (株)長崎清水(TDB企業コード:850100221、資本金4500万円、長崎県雲仙市吾妻町本村名78、代表清水昭弘氏)は7月3日までに事業を停止し、事後処理を谷津朋美弁護士(東京都港区六本木6-10-1、TMI総合法律事務所、電話03-6438-5511)に一任、自己破産申請の準備に入った。

 当社は1948年(昭和23年)に水産練製品製造を目的として創業、76年(昭和51年)8月に法人改組し、揚げ蒲鉾など自社ブランドの蒲鉾シリーズ「五味八珍」を中心とした各種蒲鉾を製造していた。第26回長崎県特産品新作展で最優秀賞を受賞するなど一定の知名度を有し、長崎県内のスーパーや、ホテル、飲食店などに販路を構築するほか、本店併設の直営店で蒲鉾、野菜などの小売や蒲鉾入りうどんも提供していた。96年7月には本社工場事務所を新築し、吾妻町牛口名から現住所へ移転。その後、蒲鉾製造ラインを増設したほか諫早市宇都町に店舗を新築、2003年5月期は年売上高約8億300万円を計上した。

 しかし、同業他社との競合や消費者の食生活の変化などで、2019年5月期の年売上高は約3億8000万円にダウン。原材料であるすり身の不漁で仕入れコストが高値で推移していたうえ、過去の設備投資にともなう減価償却費の負担も重く、2017年5月期から3期連続で営業損益段階からの赤字を強いられていた。この間、主要得意先との取引解消や人員削減などで事業規模を縮小し、収益改善に努めていたものの、今年に入って新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げがさらに減少。6月1日には休業していたが、事業再開の目処が立たず、今回の事態となった。

 負債は2019年5月期末時点で約4億4400万円だが、変動している可能性がある。