(株)渡辺商店(TDB企業コード:080033708、資本金2500万円、北海道函館市東川町9-15、代表西村盛一郎氏)は、4月までに事業を停止し、6月19日に函館地裁より破産手続き開始決定を受けた。破産管財人は平井喜一弁護士(北海道函館市新川町18-12、嶋田・平井法律事務所、電話0138-23-4834)。

 当社は、1948年(昭和23年)創業、51年(昭和26年)12月に法人改組された水産物卸業者。昆布やわかめ、とろろ昆布などの海藻類や貝柱、するめ、さきいか、松前漬や塩辛などの水産土産物卸のほか、小売店を展開、道外百貨店における北海道物産展への出展も柱の一つであった。物産展後には商品のレギュラー化によって百貨店販売を増やすなどして売り上げを伸ばし、92年3月期には年売上高10億8600万円を計上していた。

 しかし、過年には取引先に大口不良債権が発生したほか、当社が出店していた同社の札幌・旭川店内から撤退したことで年間約2億円の売上基盤を失った。さらに仕入先の廃業により売れ筋商材が調達難となったほか、消費者の嗜好変化による販売低迷、昆布やイカなど各水産品の不漁による仕入原価高騰が輪を掛け、2020年3月期には売上高2億2800万円まで落ち込む厳しい業績推移を強いられてきた。そのため小売店舗撤退や商材の絞り込みで採算維持を図ったが、新型コロナウイルスによる影響で事業比率の3割を占める百貨店催事の相次ぐ中止、同じく3割を占めるホテル・土産物店への販売不振が大きく響いたことで事業継続を断念し、今回の事態となった。

 負債は金融債務を中心に1億9700万円。

 新型コロナウイルスの影響による倒産は北海道内で19社目となる。