新型コロナの影響で打撃を受ける飲食店 倒産は過去最多のペース、年間1000件に達する可能性も

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 今年に入り飲食店の倒産(法的整理)が過去最多の水準で発生している。飲食店経営を主業とする事業者(個人経営含む)の倒産は、2019年に732件となり、過去最多を更新。

 そうしたなか、今年に入り新型コロナウイルスによる影響で多くの事業者が来客数・売上の激減に見舞われたほか、営業自粛期間の家賃や人件費の負担がより経営を悪化させている。大手チェーンによる店舗数削減のリリースも相次いでいるが、そうした厳しい経営環境は倒産件数にもはっきりとあらわれはじめている。

■年間1000件に達する可能性も

 今年1月〜4月の飲食店経営事業者の倒産は290件となり、年間件数最多の2019年(732件)の1月〜4月(228件)を62件(27.2%増)上回った。5月は新型コロナウイルスの感染拡大防止の取り組みから裁判所や弁護士事務所が業務を縮小したことなどが影響して18件(前年同月は66件)にとどまった。しかし、それでも5月までの累計件数は308件となり、2019年同期の累計(294件)を14件(4.8%)上回っている。

 そうしたなか、飲食店の新型コロナウイルス関連倒産(法的整理および事業停止を対象)は、6月12日13時までに全国で33件(今年に入ってからの累計件数)確認されており、ホテル・旅館(40件)に次いで2番目に多い業種となっている。

 4月までの動向や裁判所、弁護士事務所の業務拡大に伴う反動増、また、緊急事態宣言解除後の鈍い回復ペースなどを考慮すると、今年の年間倒産件数は1000件に達してもおかしくない経営環境にあると言えよう。

 もともと飲食業界は他業界と比べて新規参入が多いほか、消費者の嗜好やトレンドに大きく左右され、生き残りが厳しいとされてきた。そこに大打撃を与えたコロナショック。今後も事業存続の決断を迫られる経営者は増えていくだろう。