ほとんどの体験型マーケティングができなくなっているなか、ハイネケン(Heineken)のマーケターたちはライブストリーミングによってクリエイティブな応急処置を行っている。

彼らが抱えるビールブランド、デスペラードス(Desperados)は週末に、デ・ラ・スウィング(De la Swing)やティニ・ゲスラー(Tini Gessler)といったDJたちのパフォーマンスをライブストリームする、夏のヴァーチャルパーティシリーズを開始した。

現実に参加するレイブと比べるとヴァーチャルのレイブはまったく比べ物にはならないが、時間を埋め、ビールを連想してもらうことはできる。デスペラードスのグローバル・ブランド・ディレクターであるディーデリック・ヴォス氏は、この企画はロックダウン以前に人々が楽しんでいたものを思い出してもらうきっかけになると語った。

パーティ・スターター・パックの賞品をかけたコンペ、アクロバティック、演奏中のパフォーマンスなどを取り組むことで、それをさらに後押ししている。ロックダウン中の退屈な動画カンファレンスとは異なるものを生み出そうとするヴォス氏の意欲が現れている。Twitch(ツイッチ)でも、同様のデスペラードズイベントのライブストリーミングをすでに計画中だ。

ヴァーチャルイベントの長所

皮肉なことに、景気低迷のあいだにハイネケンが行うマーケティングとしては、このような体験マーケティングは増える可能性がある。先月、アナリストたちとの会話のなかで、CEOのジャン・フランコワ・ヴァン・ボックスミア氏はビールブランド全体における広告予算を削減し、残りの予算の一部は、バーやレストランといった「オントレード」の顧客を助けるためのアクティビティ、そしてソーシャルディスタンシング(社会的な距離の拡大)の反映に利用すると語った。実際、このようなヴァーチャルのイベントには人同士の接触を回避する世界において、コミュニティを育てるポテンシャルを持っている。コストは10万ポンド(約1370万円)以下、場合によっては5万ドル(約545万円)程度だと、デスペラードスの計画に関して知識を持つイベントオーガナイザーは述べた。

「現状において、マーケティングメディアの組み合わせは、テレビも含め、すべてを継続するだろう。しかし体験、そしてデジタルにおいて、我々の取り組みは今後もより強固にしていくだろう。我々はすでにデジタルファーストのブランドであったし、モバイルで行っている我々のすべての取り組み、そしていま、人々がコンテンツを消費している方法にまつわるあらゆることが、この方向性を加速させるだろう」と、ヴォス氏は語った。

アクティベーションが成功すれば、ブランドの認知度とエンゲージメントのスケールは大きくなる。それがヴァーチャルイベントが持つ、大きな長所のひとつだ。

「オーディエンスの数は、物理的に接触できる人々、体験をソーシャル上でシェアする人々の数に限られることがなくなる。(ソーシャルディスタンシング)はグローバルアクティベーションという点での地理的な観点を確実に変えるだろう。そして、ブランドのグローバル化もこれまでよりより早く行うチャンスを生む」とカルチャーマーケティング・コミュニケーション企業、プラットフォーム13(Platform 13)のファウンダーを務めるリーラ・ファタール氏は語った。

変容するライブイベントの形

とはいえ、デスペラードスがライブイベントから完全に撤退するわけではない。彼らはここ数年のあいだ、没入型の季節ごとのパーティ、ライトショーといった進歩的な体験型のマーケティングを特に取り入れた広告主のひとつである。しかし、これらのイベントはしばらくのあいだ、脇へと追いやられる可能性はある。ロックダウンが完全に解除されたとしても、多くの人が大勢が集まるイベントに殺到する可能性は低いだろう。小規模、もしくはヴァーチャルなイベントはどちらも人気を高める可能性がある。と同時に、デスペラードスはプランニングのプロセスを見直した。特にヴァーチャルイベントの成功の測定方法に関して変更を行ったのだ。

Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)