米国ではここ2カ月スポーツクラブが閉鎖しており、自己隔離による体重増が話題となっている。だが、ペロトン(Peloton)のエアロバイクやデジタルトレーニング用のミラー(Mirror)といった高額な運動器具を揃えられる人ばかりではなく、オンラインパブリッシャーが無料で提供している運動教室が人気を集めている。

たとえば、ポップシュガー(PopSugar)のフィットネス部門のYouTubeチャンネルの登録者は、ここ2カ月で100万人増加して460万人となった。さらに3月から4月にかけて視聴時間は90%も増加した。同社のYouTubeアナリティクスによると、4月は同チャンネルにとって最高のパフォーマンスとなった。

現在のオーディエンスの増加は広告収益に直結しておらず、YouTubeもまた例外ではない。ほかのデジタルプラットフォームと同様、広告収益は減少している。パブリッシャー2社の記録によれば、4月のCPMは20%以上減少している。ポップシュガーもYouTubeのCPMは減少しているものの、関係者によれば減少は20%よりは小さいとのことだ。

だが、ポップシュガーのゼネラルマネージャー、アンジェリカ・マーデン氏によれば、いまはなかなか外に出られない運動愛好家に向けた商品販売を狙うフィットネスブランドが増えているという。

「フィットネス業界の様子は、これまでとはまったく異なる」と、マーデン氏は語る。「通常なら1月には『新年を新しいスタードで』というテーマがある。業界の書き入れ時なのだ」。

リモート体制での動画制作方法

マーデン氏は、同社のスタジオで制作が行えなくなったことで新しい動画制作が難しくなったと語る。それによってスポンサーからの資金や製品提携広告の獲得も困難になったという。

ポップシュガーで実施されたフィットビット(Fitbit)の父の日のキャンペーンは、トレーナーの自宅で制作した。だが、新コンテンツが制作できない場合は、チームは配信収益の増加に取り組んでいるという。

同社のフィットネス部門は、たとえば新コンテンツの作成がより楽なインスタグラムライブ(Instagram Live)といったほかのプラットフォームの利用も開始しており、パートナー企業がどのような役割を果たせるかを模索している。

インスタグラムライブでは、バリーズブートキャンプ(Barry’s Bootcamp)のインストラクターたちが自宅から30分間のトレーニングを配信した。マーデン氏のチームは、スポンサー広告の販売や配信における商品提携を開始している。

これまですでに、こういった宣伝枠はいくつか売れているという。マーデン氏は具体的な価格は明かしていないものの、ほかのインスタグラムのストーリーと似た価格設定となっているとのことだ。

例年であれば閑散期だったが

広告エージェンシーのブルーウィールメディア(Blue Wheel Media)で戦略および計画と運用担当ディレクターを務めるジョン・マグロー氏は、これまでフィットネスやダイエット業界のブランドは、新年や初夏といった特定の時期に大規模なキャンペーンを打ち出し、広告支出を増やしてきたと語る。

例年であれば3月から5月は広告を大幅に減らす時期だが、スポーツクラブに行けず間食も増えがちな今年は、フィットネスやダイエットブランドにとってビジネスチャンスとなっている。「例年とは異なり積極的に広告に打って出ているブランドを多く見かける」と、マグロー氏は語る。

ポップシュガーが有料サブスクモデルを目指して2カ月前にローンチしたプラットフォームのアクティブ(Active)は、いまだ広告や読者収益の対象となっていない。マーデン氏によれば現在8万人のアクティブユーザーが同プラットフォームを利用しており、パンデミックが終息し、商品の売れ行きが戻ったときに向けた潜在的な会員のファネルとしての役割も果たしている。

ポップシュガーにとって広告収益はいまでも大きいものだが、マーデン氏は、広告主との契約によって広告収益がパンデミック以前の数字に向けて「回復基調」にあると述べている。

KAYLEIGH BARBER(原文 / 訳:SI Japan)