今年もハロウィーンの季節が近づいてきました。例年10月後半になると、渋谷のスクランブル交差点に仮装した人たちが押し寄せ、自然発生的なお祭り騒ぎに。しかしその盛り上がりがピークに達した昨年には、軽トラを横転させるなどの暴力行為がぼっ発。ついに逮捕者が出る事態となってしまいました。これをうけ今年6月に渋谷区は、路上飲酒や騒音を禁じる「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」の施行を決定したのです。

昨年の騒動は無関係?ハロウィーンが盛り上がったピークは2015年!

そこで今回ご紹介するのは、株式会社リクルートライフスタイルがハロウィーン前に毎年行なっているハロウィーンに関するアンケート。まず今年のハロウィーンのイベントに参加する人を調査したところ、参加率は21.2%。こちらは昨年から微減ですが、ほぼ横ばいといえます。しかしそのうち仮装で参加する人は36.9%で、こちらも過去3年でゆるやかながらも右肩下がりに減っているのです。

ハロウィーンに関連した飲食、パーティー、イベントについて、今年の参加予定

2015年……23.9%

2016年……22.8%

2017年……22.5%

2018年……22.6%

2019年……21.2%

今年のハロウィーンに関連した飲食、パーティー、イベントに、仮装して参加したい割合(イベント参加予定の人が対象)

2017年……42.0%

2018年……39.6%

2019年……36.9%

さらに同調査では日本でのハロウィーンの習慣の普及について、「良いと思う」と「良いと思わない」の二択でアンケート。今年を含めた過去5年で、「良いと思う」と答えた人の割合は以下のようになっています。

過去5年の日本でのハロウィーンの習慣の普及について「良いと思う」と答えた人

2015年……71.2%

2016年……67.4%

2017年……67.8%

2018年……68.1%

2019年……65.3%

2015年には肯定派が71.2%だったのに、2019年には5.9%マイナスの65.3%。しかしデータを見るといきなり減ったわけではなく、年々徐々に減っていることが分かります。昨年渋谷で起きた騒動の前から、ハロウィーン肯定派は減少傾向にあったのです。

本来の意味とは違うけど……日本独自のハロウィーン文化に肯定的な流れも

ではなぜここ数年、ハロウィーン否定派が徐々に増えているのでしょうか?まずは同調査による過去5年の「否定する理由」、ベスト5の変化を見てみましょう。

2015年のハロウィーンに否定的な理由ベスト5

1位 本来の意味や趣旨を理解するべきだ……48.3%

2位 自分には関係がないように思う……47.3%

3位 何かと理由をつけて騒ぐのはよくない……44.6%

4位 もっと日本の伝統行事を大切にするべき……39.5%

5位 仮装が面白いと思わない……29.1%

2016年のハロウィーンに否定的な理由ベスト5

1位 何かと理由をつけて騒ぐのはよくない……53.1%

2位 本来の意味や趣旨を理解するべきだ……47.3%

3位 自分には関係がないように思う……44.4%

4位 もっと日本の伝統行事を大切にするべき……33.7%

5位 仮装が面白いと思わない……31.9%

2017年のハロウィーンに否定的な理由ベスト5

1位 何かと理由をつけて騒ぐのはよくない……52.3%

2位 本来の意味や趣旨を理解するべきだ……48.7%

3位 自分には関係がないように思う……46.9%

4位 もっと日本の伝統行事を大切にするべき……33.2%

5位 仮装が単にコスプレになりつつあり良くない……32.7%

2018年のハロウィーンに否定的な理由ベスト5

1位 何かと理由をつけて騒ぐのはよくない……53.8%

2位 自分には関係がないように思う……49.6%

3位 本来の意味や趣旨を理解するべきだ……46.2%

4位 仮装が面白いと思わない……33.2%

5位 仮装が単にコスプレになりつつあり良くない……32.4%

2019年のハロウィーンに否定的な理由ベスト5

1位 何かと理由をつけて騒ぐのはよくない……57.1%

2位 本来の意味や趣旨を理解するべきだ……49.6%

3位 自分には関係がないように思う……47.3%

4位 仮装が単にコスプレになりつつあり良くない……33.1%

5位 仮装が面白いと思わない……32.0%

まずハロウィーン肯定派がもっとも多かった2015年。この年の否定派で一番多かった意見は「本来の意味や趣旨を理解するべきだ」でした。もともとハロウィーンは古代ケルトが発祥で、10月31日に魔女や悪霊などの集まりから身を守るためにおばけの格好をしたことがはじまり。また秋の収穫を祝うお祭りでもありますが、日本のハロウィーンは「お化けの格好」だけがクローズアップされてしまった状態といえます。

しかし翌年の2016年には否定派の理由ナンバー1は、「何かと理由をつけて騒ぐのはよくない」に。以後2019年まで、ずっとこれが1位となっています。つまり2016年はハロウィーンにかこつけて大騒ぎすることに疑問を持ち始めた人が増えた転換期なのです。

では逆に、肯定派で多い意見は何でしょうか?今年の肯定派の意見の上位は、以下の通りとなっています。

2019年 ハロウィーンに肯定的な理由ベスト5

1位 本来の意味とは違っても日本風に楽しめばよい……45.3%

2位 子どものためのお祭りとしてよい……36.4%

3位 経済効果がある……33.9%

4位 自分は仮装しないが、楽しくてよい……33.8%

5位 たまにはめを外す機会としてよい……31.9%

5年前はハロウィーンについて「本来の意味や趣旨を理解するべきだ」と怒っていた人が多かったですが、現在は「本来の意味とは違っても日本風に楽しめばよい」と、日本独自のハロウィーンとして許容している人が増えていることが分かります。

ハロウィーンの飾りつけは時期が過ぎるとクリスマスの飾りになり、それも過ぎるとお正月……これも今や日本の年末の風物詩ですね。

とはいえ、否定派が増えつつあるのは見過ごせません。昨年の渋谷の暴動を教訓に、今年からはより安全でみんなが楽しめるハロウィーンの実現を期待したいところです。

【調査概要】
調査主体…株式会社リクルートライフスタイル「ホットペッパーグルメ外食総研」
調査期間…2019年9月2日(月)〜2019年9月10日(火)
有効回答数…10,378 件 (首都圏 5,264 件、 関西圏 2,711 件、 東海圏 2,403 件)