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もくじ

ー 当時最速のアストン マーティン
ー 初代オーナーは元アストン会長の友人
ー V8ザガート全車の中でも最も素晴らしい個体

当時最速のアストン マーティン

生産台数わずか3台、中でも右ハンドルはたったの2台だけが生産された超稀少なアストン マーティンのプロトタイプが、ひょっとしたらあなたの物になるかもしれない。

ビスター・ヘリテージにあるペンディン・ヒストリック・カーズは現在、1986年製アストン マーティンV8ザガートに53万ポンドという価格を付けて買い手を募集している。このクルマは個人がコレクションしていた車両で、売りに出されるのは20年ぶりのことだ。

稀少性に加え、コーチビルダーのザガートが今年で創立100周年を迎えることもあり、このクルマは多くの興味を惹き付けるのではないかと思われる。

アストン マーティンV8ザガートはそれ自体が稀少なクルマだ。クーペの生産台数はわずか52台(他にコンバーティブルが37台)で、そのすべてが生産開始前に完売してしまった。

今回ご紹介する車両は、さらに輪をかけて稀少性が高い。この車台番号20011の個体は、限定生産が開始する前に3台が製作されたプロトタイプの1台なのだ。

アストン マーティンV8ザガートは、ベースとなったヴァンテージを軽量化し、ホイールベースを切り詰めたモデルで、後部座席は省かれている。

そしてベース車より速いクルマでもあった。メーカーの発表によれば、0-60mphは5秒以下、最高速度は190mph(約305km/h)に迫るという、新車当時は間違いなく、史上最速のアストン マーティン車だった。

初代オーナーは元アストン会長の友人

このクルマが特別なのは、稀少性や速さだけではない。

グラディエーター・レッドに塗られたこの個体は、アストン マーティン ラゴンダ社の元会長ヴィクター・ガントレットの友人で、同ブランドの愛好家として知られるウエンズリー・ハイデン-ベイリーが所有していたという。ウォルナット製のセンターコンソールや、ブラックのレザーで覆われたシートとステアリングホイール、そして各部に装着された証明プラークは、このクルマだけに見られる独自の仕様だ。

さらに438ps仕様のエンジンを搭載する車両は4台のみで、ロールバーが組み込まれているのは2台だけ。5速マニュアル・ギアボックス仕様であることも、エンスージァストには歓迎されるだろう。

車台番号20011は2009年にニュージーランドへ運ばれ、ペブルビーチで受賞経歴のある専門家のオート・レストレーションズが4年がかりでレストアした。

2016年には世界中で52台のみが選ばれるコンコルソ・エレガンツァ・ヴィラ・デステの招待を受け、2017年にも第1回ロンドン・コンクールに招かれている。

V8ザガート全車の中でも最も素晴らしい個体

現在はアストン マーティン・ヘリテージに貴重な車両として登録されており、オリジナルのマニュアルや納車時の書類および保証書、さらに製造時に記されたメモのコピーも付属して販売される。

「車台番号20011はよく知られたアストン マーティン車であり、生産されたV8ザガート全車の中でも間違いなく最も素晴らしい個体の1台です」と、このクルマを販売しているペンディン・ヒストリック・カーズの創立者ジェームズ・ミッチャルは語っている。

「他のV8ザガートのオーナーよりもレースやドライブを楽しんできた現在のオーナーによれば、その本能に響く走りは他のクルマとは比べものにならないとのこと。アストンの歴史において本当に賞賛に値する特別なクルマです」