日本でAppleがiPhone XRを値下げ報道、販売終了のはずのiPhone Xも生産再開
Appleが日本でiPhone XRを早ければ2018年11月最終週にも値下げするとWall Street Journal(WSJ)が報じました。さらに、Appleは販売終了になったはずの2017年モデル「iPhone X」の再生産も行うとのこと。Appleの迷走ぶりに、iPhone販売の不振が伝わってきます。
Not So Big in Japan: Apple Cuts Price of iPhone XR to Boost Sales - WSJ
WSJは日本でiPhone XRの実質的な値下げが行われると報じました。これはAppleがドコモ・au・SoftBankの携帯キャリア大手3社に対してiPhone XRに販売支援金を提供するという形で行われるもので、早ければ来週にも値下げが行われるとのこと。世界で最もiPhone人気の高い日本はAppleにとって重要な市場の一つであり、販売不振が伝えられるiPhone XRの緊急テコ入れに踏み切る模様。「売れるのは値下げされた旧モデルのiPhone 8ばかり」という現状を打破しようというわけです。なお、販売支援金という名の値下げが期間限定なのか、その場合の期限がいつかについてはWSJは触れていません。
さらに、WSJはすでに販売が終了された旧モデルの「iPhone X」を再生産する見込みである、との情報も得たとのこと。これは、AppleがSamsungとの間で交わした有機ELディスプレイの供給契約に基づくもので、最低生産数をクリアするために有機EL採用iPhoneの販売台数を稼ぐべく、より安価な旧モデルの再生産を行うようです。なお、再生産されたiPhone Xが世界市場で販売されるのか、インドなどの新興国限定で販売されるのかについては不明です。
Appleは2018年第4四半期(9月期)の決算で、次期四半期決算からはiPhoneの販売台数を公表しない方針であることを発表していました。これは、スマートフォン市場が飽和しつつある中、Appleが「台数ではなく利益を追う戦略に切り替えた」と読み取れる動きだと言えます。
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しかし、AppleがiPhone XRの実質値下げに踏み切るのであれば、すなわち利益ではなく台数を追う戦略というわけで、戦略にブレが生じていると言えそうです。そして、戦略を変えざるを得ないAppleの動きからは、深刻なiPhone XRの販売不振が見て取れます。
また、「10周年モデル」という特別な位置づけで従来のモデルナンバーの序列を崩してまで「X(『テン』と読む)」のネーミングに変更したiPhone Xを再生産するのであれば、10周年モデルとしてのプレミアムは剥がれ落ちることになりそうです。
仮にWSJの報道通りiPhone XRを緊急値下げするのであれば、発売からわずか1カ月での価格改定というわけで、すでにiPhone XRを購入した熱心なAppleファンを落胆させることになりかねません。Appleの戦略が吉と出るか凶と出るか、気になるところです。