現在アングロ・アメリカン本社は、ロンドンに本拠地を置き、その子会社アングロ・アメリカン・プラチナムは、南アフリカでプラチナ生産第1位の地位を保っています。アングロ・アメリカングループは、南アフリカの経済の中枢に座る複合企業体として存在しています。(イメージ写真提供:123RF)

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■アングロ・アメリカン・プラチナムについて

 アングロ・アメリカン・プラチナムは、南アフリカ第1位のプラチナ採掘を行う資源企業です。同社の親会社のアングロ・アメリカンという会社は、アーネスト・オッペンハイマーという人によって設立されました。オッペンハイマーは、ドイツ生まれのユダヤ人で、17歳のときに英国にわたり、貴金属を扱う業務のノウハウを習得しました。

 その後、南アフリカに移住し、アングロ・アメリカンを立ち上げます。この時資金提供したのは、英国のロスチャイルドや米国のJPモルガンなどでした。その後金だけでなく、セシル・ローズという人が立ち上げたダイヤモンドの会社デビアスに出資して株式の大半を握ります。そして、息子のハリー・オッペンハイマーがその後のアングロ・アメリカンの基礎を固めていきます。

 ハリーは、南アフリカにおけるオッペンハイマー財閥の広大な基礎を築いていきます。アングロ・アメリカン・プラチナムは、アングロ・アメリカンの子会社として白金族の貴金属採掘を行っています。

■現状、今後について

 現在アングロ・アメリカン本社は、ロンドンに本拠地を置き、その子会社アングロ・アメリカン・プラチナムは、南アフリカでプラチナ生産第1位の地位を保っています。アングロ・アメリカングループは、南アフリカの経済の中枢に座る複合企業体として存在しており、南アフリカ経済の根幹をなしているといってよいほど大きなものとなっています。

 2017年は、ここ5年で最も高いプラチナ精製量を記録しています。そして、同社のプラチナ採掘の柱となっているのが、モガラクワナ鉱山です。そのほかにもいくつかの鉱山を有しています。アニュアルレポートを見て気づくことは、必ず死亡事故による死亡者数が掲載されており、災害0は優先課題とされているようです。2015年から2016年にかけて、従業員数(自社社員)が、42,773人から26,062人に減少しています。アングロ・アメリカンにおいても、これ以降再編期に入っていると考えられます。

 「南アフリカのプラチナを採掘する資源企業ロンミンについて」で述べたロンミンもそうですが、南アフリカにおけるプラチナ企業は再編期にあるといえると思います。

 アングロ・アメリカンというリーディングカンパニーが今後どのような戦略をとってくるか注目されるところです。

■最後に

 南アフリカのラマポーザ大統領が労働組合出身であることは以前述べましたが、プラチナの復調は南ア経済の動向にも左右されると考えられます。そして、アングロ・アメリカン・プラチナムやロンミンといったプラチナの主要生産者の動向は、今後のプラチナ生産の行方を左右してきます。

 ところで、日本の日立製作所の社外取締役シンシア・キャロル氏は、アングロ・アメリカン・プラチナムの親会社、アングロ・アメリカンの最高経営責任者(CEO)を務められた方です。こんなところでも同社と日本の縁がありました。

 今回は、南アフリカの資源会社アングロ・アメリカン・プラチナムについてお話しいたしました。(情報提供:SBIゴールド)(イメージ写真提供:123RF)