ただ、仮に借り主が物件を調べたり、内見したりする際に仲介会社の介在を望まず、仲介会社の仕事が「重説」だけになった場合、契約成立時に今までと同じ額の仲介手数料を借り主から徴収できるだろうか。野村総合研究所の谷山智彦上級研究員は「(オンラインで申し込みから契約までの一連の流れが実現すると)仲介会社の存在が必要なのかという議論になり得る。人が介在する意味を示さなくてはいけない」と指摘する。

 国土交通省は17年10月、賃貸住宅の契約における重説について、これまでの対面の原則を改め、テレビ会議システムなどによるオンラインでの実施を可能にした。17年度末までに8000件以上が実施されている。国交省は「現時点で消費者トラブルは報告されていない。さらに多くの事業者がオンライン重説を実施できるように支援していく」と力を込める。重説も情報通信技術(ICT)による効率化の流れの中にあるというわけだ。

 ICTによって多様な業務が効率化する中で、賃貸事業者の役割は何か。物件や入居者の管理業務に特化すべきか、ウェブサイトなどには載っていない地域や市況の情報を提供するなど、付加価値の高い接客を目指すべきか。その戦略が問われることになりそうだ。

興亡・不動産 -テックの衝動
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