「Firefox 58」を試す - パフォーマンスの改善が図られたFirefox Quantum
●Firefox 56のインストール
Mozillaは、Firefoxの新バージョンとなる「Firefox 58」を2017年1月23日(現地時間)にリリースした。前バージョンの57から、新たにFirefox Quantumという名称も使われるようになった。このQuantumプロジェクトは、Firefox 61、もしくは62まで継続する。バージョン58もその途中経過という位置付けになる。ヘルプの[Firefoxについて]などでは、Firefox Quantumと表示されているが、バージョンの違いを明確にするため、本稿では、従来通りの表記をする。
バージョン58の紹介の前に、2018年のリリース予定を紹介しよう。
2018-03-13:Firefox 59
2018-05-08:Firefox 60
2018-07-03:Firefox 61
2018-08-28:Firefox 62
2018-10-23:Firefox 63
2018-11-27:Firefox 64
また、企業向けのESR版は、2018年3月13日にバージョン59.0がリリース予定である。バージョン52は、2018年5月8日の52.8が最終リリースの予定である。
前バージョンのFirefox 57からは、57.0.1〜57.0.4の4つのマイナーバージョンアップが行われた。その概要を紹介しよう。57.0.1では、以下の修正や変更が行われた。
一部のAMDビデオカード使用時にYouTubeなどの動画サイトで動画の配色が歪む問題の修正
プロファイルのパスに非ASCII文字が含まれていた場合に生じるprefs.jsの問題の修正
セキュリティ問題の修正
Intel HD Graphics 3000を搭載したMacでGoogleマップを表示した際に生じるクラッシュの修正
RealPlayerの無償版プレーヤーに関連付けられ、Firefox上でパフォーマンス問題を引き起こすことが判明しているクライアントライブラリーの注入をブロックするように変更
57.0.2では、以下の修正が行われた。
Firefoxを起動時にクラッシュさせるG Data Endpoint Securityの旧バージョンをブロック(Windowsのみ)
WebGLとD3D9に関するリグレッションの修正(Windowsのみ)
57.0.3では、以下の修正が行われた。
ユーザーの承諾なしに、バックグランドでのタブクラッシュレポートをMozillaに送信していたクラッシュレポートの問題の修正
57.0.4では、以下のセキュリティ修正が行われた。
Meltdown and Spectre timing攻撃に対するセキュリティ問題の修正
したがって、Firefox 58へのアップグレードは、57.0.4からとなる。
○Firefox 56のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートを行う。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 58は、図2のようになる。
新規に、Firefox 58をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。
●Firefox 58の新機能
○Firefox 58の新機能
まずは、Firefox 58の新機能である。リリースノートによれば、以下のようになる。
Windows版:Off-Main-Thread Painting(OMTP)を使用し、グラフィックをレンダリング
Firefoxキャッシュとretrieves JavaScriptにより、ページの読み込みを高速化
スクリーンショットのコピー、貼り付けをクリップボードから直接実行可能に
スクリーンショットがプライベートブラウジングモードでも使用可能に
ネパール語(ne-NP)ロケールの追加
Firefox57で追加されたプライバシーとパフォーマンスの機能を無効にしても、[こちら](https://support.mozilla.org/ja/kb/tracking-protection#w_how-to-turn-tracking-protection-on)の方法で再度有効可能に
Linux版:標準でないディレクトリにインストールしたフォントは空白ではなくなる
いくつかのセキュリティ問題の修正
Firefox 58(および今後のリリース)で作成されたユーザープロファイルは、以前のバージョンのFirefoxでは非サポートに。以前のバージョンにダウングレードしたユーザーは、そのバージョン用の新規プロファイルを作成する必要があり
また、開発者向けには、
PerformanceNavigationTimingAPIの改善
service worker startup timeが計測できるようPerformanceResourceTiming.workerStartを導入
といった機能が追加されている。いくつか具体的に紹介しよう。まず、Windows版におけるOff-Main-Thread Painting(OMTP)の実装である。一言でいえば新しいレンダリングシステムである。従来のレンダリングシステムでは、GPUに処理済みのデータを送り、イメージの合成を行うコンポジットのみが、別スレッドで実行可能であった。新レンダリングシステムでは、コンポジット以外にもレイヤーのレンダリングを行うラスタライズも別スレッド化(ペイントスレッド)した。
効果であるが、フレーム落ちなどを減少させ、応答性を高めることが達成された。Mozillaによるベンチマーク結果は、図6の通り、2割から3割の向上が見てとれる。
Firefoxでは、JavaScriptスクリプトを受け取ると、字句解析・構文木の生成・バイトコードへの変換などの処理を行う。Firefox 58では、JavaScript Startup Bytecode Cache(JSBC)を実装し、変換済みのバイトコードをキャッシュする。この機能により、読み込み時間の短縮が実現できる。特に、よく利用するポータルサイトなどで、その効果が期待できるとのことである。
ルック&フィールでは、スクリーンショットの改良である。キャプチャーしたイメージをクリップボードへコピーするボタンが追加された。
また、プライベートブラウジングでも、スクリーンショットの使用が可能となった。
注意すべき変更点としては、プロファイルの仕様変更であろう。従来のプロファイルから変更され、Firefoxを57以前のバージョンに戻しても、現状のプロファイルが使用することができない(再度、作成する)。一般的にダウングレードすることは少ないと思われるが、Webページの確認などで旧バージョンのテストを行うといったこともあるだろう。その際には、注意してほしい。
セキュリティアップデートであるが、32件の修正が行われた。内訳は、最高が3件、高が13件、中が13件、低が3件である。速やかにアップデートを行いたい。
また、アドオンであるが、徐々にWebExtensionsへの移行が進んでいるというところだ。残念ながら、すでに開発を停止してしまったアドオンには期待ができないが、これまで定番といわれていたアドオンも対応しつつあるようだ。今後に期待したいところである。
今回のバージョンアップは、比較的地味なものが多かった。冒頭でもふれたように、Quantumプロジェクトは、今後も継続される。さらに新機能の追加も予定されている。こちらも今後に期待したい。
Mozillaは、Firefoxの新バージョンとなる「Firefox 58」を2017年1月23日(現地時間)にリリースした。前バージョンの57から、新たにFirefox Quantumという名称も使われるようになった。このQuantumプロジェクトは、Firefox 61、もしくは62まで継続する。バージョン58もその途中経過という位置付けになる。ヘルプの[Firefoxについて]などでは、Firefox Quantumと表示されているが、バージョンの違いを明確にするため、本稿では、従来通りの表記をする。
2018-03-13:Firefox 59
2018-05-08:Firefox 60
2018-07-03:Firefox 61
2018-08-28:Firefox 62
2018-10-23:Firefox 63
2018-11-27:Firefox 64
また、企業向けのESR版は、2018年3月13日にバージョン59.0がリリース予定である。バージョン52は、2018年5月8日の52.8が最終リリースの予定である。
前バージョンのFirefox 57からは、57.0.1〜57.0.4の4つのマイナーバージョンアップが行われた。その概要を紹介しよう。57.0.1では、以下の修正や変更が行われた。
一部のAMDビデオカード使用時にYouTubeなどの動画サイトで動画の配色が歪む問題の修正
プロファイルのパスに非ASCII文字が含まれていた場合に生じるprefs.jsの問題の修正
セキュリティ問題の修正
Intel HD Graphics 3000を搭載したMacでGoogleマップを表示した際に生じるクラッシュの修正
RealPlayerの無償版プレーヤーに関連付けられ、Firefox上でパフォーマンス問題を引き起こすことが判明しているクライアントライブラリーの注入をブロックするように変更
57.0.2では、以下の修正が行われた。
Firefoxを起動時にクラッシュさせるG Data Endpoint Securityの旧バージョンをブロック(Windowsのみ)
WebGLとD3D9に関するリグレッションの修正(Windowsのみ)
57.0.3では、以下の修正が行われた。
ユーザーの承諾なしに、バックグランドでのタブクラッシュレポートをMozillaに送信していたクラッシュレポートの問題の修正
57.0.4では、以下のセキュリティ修正が行われた。
Meltdown and Spectre timing攻撃に対するセキュリティ問題の修正
したがって、Firefox 58へのアップグレードは、57.0.4からとなる。
○Firefox 56のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートを行う。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 58は、図2のようになる。
新規に、Firefox 58をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[今すぐダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。
●Firefox 58の新機能
○Firefox 58の新機能
まずは、Firefox 58の新機能である。リリースノートによれば、以下のようになる。
Windows版:Off-Main-Thread Painting(OMTP)を使用し、グラフィックをレンダリング
Firefoxキャッシュとretrieves JavaScriptにより、ページの読み込みを高速化
スクリーンショットのコピー、貼り付けをクリップボードから直接実行可能に
スクリーンショットがプライベートブラウジングモードでも使用可能に
ネパール語(ne-NP)ロケールの追加
Firefox57で追加されたプライバシーとパフォーマンスの機能を無効にしても、[こちら](https://support.mozilla.org/ja/kb/tracking-protection#w_how-to-turn-tracking-protection-on)の方法で再度有効可能に
Linux版:標準でないディレクトリにインストールしたフォントは空白ではなくなる
いくつかのセキュリティ問題の修正
Firefox 58(および今後のリリース)で作成されたユーザープロファイルは、以前のバージョンのFirefoxでは非サポートに。以前のバージョンにダウングレードしたユーザーは、そのバージョン用の新規プロファイルを作成する必要があり
また、開発者向けには、
PerformanceNavigationTimingAPIの改善
service worker startup timeが計測できるようPerformanceResourceTiming.workerStartを導入
といった機能が追加されている。いくつか具体的に紹介しよう。まず、Windows版におけるOff-Main-Thread Painting(OMTP)の実装である。一言でいえば新しいレンダリングシステムである。従来のレンダリングシステムでは、GPUに処理済みのデータを送り、イメージの合成を行うコンポジットのみが、別スレッドで実行可能であった。新レンダリングシステムでは、コンポジット以外にもレイヤーのレンダリングを行うラスタライズも別スレッド化(ペイントスレッド)した。
効果であるが、フレーム落ちなどを減少させ、応答性を高めることが達成された。Mozillaによるベンチマーク結果は、図6の通り、2割から3割の向上が見てとれる。
Firefoxでは、JavaScriptスクリプトを受け取ると、字句解析・構文木の生成・バイトコードへの変換などの処理を行う。Firefox 58では、JavaScript Startup Bytecode Cache(JSBC)を実装し、変換済みのバイトコードをキャッシュする。この機能により、読み込み時間の短縮が実現できる。特に、よく利用するポータルサイトなどで、その効果が期待できるとのことである。
ルック&フィールでは、スクリーンショットの改良である。キャプチャーしたイメージをクリップボードへコピーするボタンが追加された。
また、プライベートブラウジングでも、スクリーンショットの使用が可能となった。
注意すべき変更点としては、プロファイルの仕様変更であろう。従来のプロファイルから変更され、Firefoxを57以前のバージョンに戻しても、現状のプロファイルが使用することができない(再度、作成する)。一般的にダウングレードすることは少ないと思われるが、Webページの確認などで旧バージョンのテストを行うといったこともあるだろう。その際には、注意してほしい。
セキュリティアップデートであるが、32件の修正が行われた。内訳は、最高が3件、高が13件、中が13件、低が3件である。速やかにアップデートを行いたい。
また、アドオンであるが、徐々にWebExtensionsへの移行が進んでいるというところだ。残念ながら、すでに開発を停止してしまったアドオンには期待ができないが、これまで定番といわれていたアドオンも対応しつつあるようだ。今後に期待したいところである。
今回のバージョンアップは、比較的地味なものが多かった。冒頭でもふれたように、Quantumプロジェクトは、今後も継続される。さらに新機能の追加も予定されている。こちらも今後に期待したい。