今回紹介する『龍口酒家』は、食通がこっそり通うユニークな絶品中華。

料理は全てお任せで、お客がストップをかけるまでノンストップで提供され続けるのだ。

その全てが素晴らしく旨く、さらに〆の麺はお腹一杯でもお代わりしたくなるほど!

どこまで行けるか自分の胃の限界に挑戦したくなる、この店の魅力をお伝えしよう!



「おまかせ料理」の〆は里麺(リーメン)。通称・別腹そばとも呼ばれている訳とは!?
自分の食べられる料理を好きなだけ!ノンストップで味わえるのが嬉しい

『龍口酒家』のディナーでは、注文はしなくていい。「おまかせ料理」(1人前6,000円〜※値段は品数・食材により変更)が、自動で出てくるシステムなのだ。

とにかく、席についてお腹いっぱいになるまで、ただ提供される料理を食べ続ければいいのである。

座っているだけで出てくるすべての料理が絶品で、きっと驚くに違いない!



幡ヶ谷駅直結の駅ビル地下1階に位置し、気取らない雰囲気で居心地のいい空間だ
名店ならではのおまかせコース誕生の経緯

この他店にはない珍しい提供方法。当初からこの「おまかせ料理」を提供していた訳ではなかったという。

いつも決まった料理を頼みがちな常連客に「こんな料理もあるけど召し上がりますか?」とオーナーシェフが聞くと、その場にいた常連全員が「食べます」と答えた。

その日からなるべくこのような声かけを行うようにしていたら、初めて来たお客さんにも常連さんが「このお店はメニュー見なくても大丈夫。待っていれば美味しい料理が出てくるよ」と伝え始めたことから、誕生した提供方法なのだという。



定番で提供される「前菜の盛り合わせ」。内容は季節により異なるが、人気の焼豚と焼鶏は必ず味わうことができる
焼豚&焼鶏が絶品すぎる!前菜から胃を鷲掴みに

30年以上前から提供を続けている焼豚と焼鶏は、お持ち帰りする人やおかわりする人も多い人気メニュー。ジューシーで、旨みが噛むほどに溢れ出してくる!

この深みを生んでいるのは、豆腐の塩辛を入れたつけダレに漬け込む工程。一晩寝かせることで、グッと豚や鶏の旨みが強くなるという。

漬け込んだ後は、ガス台の上に網を張り、寸胴を被せて蒸し焼きにすることで、ジューシーさがプラスされ、程よい薫香も纏った極上の焼豚、焼鶏が出来上がる。



「黄ニラ炒め」。高級食材の黄ニラを贅沢に使用した一品。黄ニラの味が引き立つように作られた、自家製ベーコンを使用
黄ニラやフカヒレなど高級食材も惜しみなく使用!

「おまかせ料理」を食べ進めて行くと、他店で食べたら1皿数千円はするのではという高級食材を使用した料理もジャンジャン出てくることに驚く。

この日2皿目に登場した「黄ニラ炒め」もそのひとつ。黄ニラのもつ上品な香りと甘みが、自家製ベーコンの塩気と旨みと纏って最高のハーモニーを生み出している。

醤油と塩、胡椒、胡麻油のみというシンプルな味付けも、黄ニラの美味しさを引き立ててくれている。



「猪とチョロギの炒め煮」。鶏ガラスープと、醤油のみで味付けされており、猪の旨みが堪能できる

3皿目に登場したのは「猪とチョロギの炒め煮」。

丁寧に下処理された丹波産の猪は、一切臭みがなく、肉質も柔らか。本当に猪なのかと思ってしまうほどの美味しさである。

パワーが出る猪肉と共に、炒め物では珍しいチョロギを味わえば、一皿完食はあっという間だ!


おまかせ6千円なのに、フカヒレ&スッポンも!



「フカヒレとエンペラの煮込み」。食べ終わる頃には、口の周りがぺたぺたし、フカヒレとエンペラが豊富に含むゼラチンを体感できるはず!

続いては「フカヒレとエンペラの煮込み」。漢方食材を扱う店で仕入れる天然のスッポンのエンペラと、フカヒレ専門店では扱っていないほど立派な国産フカヒレで作る贅沢な逸品。

口に運べば、フカヒレが弾けるようにとろけていき、エンペラのコリコリとした食感が後から続く。鶏ガラスープに塩、醤油、多めの砂糖で味付けされ、何度でも口に運びたくなるほど旨い。



「海老とゆり根の炒め」

この辺りで多くの人お腹が六〜七分目くらいだろう。しかし不思議なことに、お腹はいっぱいになりつつあるのに全ての料理が美味しいため、次は何が来るんだろう?と、つい期待して待ってしまうのである。

そんな待ちきれない想いのなか登場したのが「海老とゆり根の炒め」。これまた高級食材のゆり根をこれでもかと使用。

そこに丁寧に処理された天然大海老もプリプリとした食感が楽しく、青唐辛子のピリッとした辛味もいいアクセントに。



「里麺」。味の決め手は胡麻油。搾菜や叉焼などの食材から出る塩気が、いい具合に麺に絡んで、最高の〆を飾ってくれる
〆の「里麺」が絶対リピートの決定打に!

お腹がいっぱいになり名残惜しさを感じながらも、ストップをかけると〆の「里麺」が運ばれてくる。

今までの料理は食材の味を楽しむ料理だったが、〆の「里麺」はしっかりとした塩気を感じ、〆に丁度いいパンチ力を放つ。

鮮やかな緑色のクロレラ入りの麺は、ツルッと爽やかな喉ごしで、ネギ、叉焼、搾菜の持つ塩味と、胡麻油の香りを纏って、パンパンな胃袋にもするりと収まってしまう。これが通称「別腹そば」と呼ばれる由縁である。



「里麺」や「八宝湯」などお持ち帰り用のメニューも豊富。テイクアウトだけの利用もOKなのも嬉しい
お持ち帰りも美味しいよ!

里麺の後引く旨さの虜になったら、お持ち帰りもあるのでお試しあれ。体が元気になる八宝湯も合わせてオススメだ。

50軒以上の中華料理店を渡り歩いたというオーナーシェフ・石橋氏。さまざまな店で学んだ料理、技術を余すところなく使い、本場中国の味を日本に伝え続けている。

心ゆくまで堪能してほしい、感動すること間違いなしの美食体験だ。