「ブレーキング2」に参加したリオデジャネイロ五輪金メダリストのエリウド・キプチョゲ【写真:Getty Images】

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ナイキ企画レースでキプチョゲが非公認2時間00分25秒、人類未開の2時間切り目前?

 スポーツ用品メーカー「ナイキ」がマラソンの2時間切りに挑戦するプロジェクト「ブレーキング2」のトライアルレースが現地時間6日、イタリア・モンツァのF1コースで3選手が出場して行われ、リオデジャネイロ五輪金メダリストのエリウド・キプチョゲ(ケニア)が非公認ながら世界記録(デニス・キメット=2時間2分57秒)を大きく上回る2時間00分25秒で走破。今回の“記録達成”は持ち越しとなったが、プロジェクトをサポートした専門家は人類未開の「2時間切り」に太鼓判を押している。英紙「ガーディアン」が報じた。

 今回は多数のペースメーカーを起用してペースを維持した上で、選手たちへの風を避け、さらに給水での減速を防ぐためにエンジン付き自転車で水分を受け渡すなど、極限の“アシスト”が施された。

 記事によれば、結果的に記録達成はならなかったが、キプチョゲは「これが2時間切りに向けての最後の挑戦ということにはならない」と話し、前人未踏の記録再挑戦に意欲を見せたという。

「私の人生のなかで、一番高いパフォーマンスであった。この目的は、2時間以下でマラソンを走りきることは可能だというメッセージを発信することだ。このメッセージは私にとって本当に特別なものだ」

 このように語り、リオ五輪金メダリストにとって前人未踏の2時間切りがいかに価値ある記録なのかを示している。

数百万人視聴の世界的注目…ナイキCEO「この偉業はレース以上の意味合いを持つ」

 一方で、今回の画期的な試みは世界的な注目を集めていた。記事によるとナイキのCEO、マーク・パーカー氏は世界で何百万もの人々が視聴したと明かしたという。

「この偉業は、ただのレース以上の意味合いを持っている。この世界的な取り組みが、アスリートやコミュニティに対して、彼らのポテンシャルを高めるきっかけとなるだろう」

 今度の最大の注目は、彼らが2時間を切ってフルマラソンを走り切れるかどうかということだ。

 記事では、今回のプロジェクトでランナーにトレーニングや食生活のアドバイスを送っていたアンドリュー・ジョーンズ教授は、2時間以内でのマラソン完走も現実的なものになるという見解を明らかにしている。

「世界屈指の選手が完璧なコンディションで同様のレースをすれば、2時間切りのマラソン完走を目撃することもできるだろう」

 このように語り、「2時間切り」に太鼓判を押したという。今回は記録達成はならなかったが、今後、さらに挑戦を進めるだろう。果たして、人類の限界値はどこまで伸びていくのか。注目だ。