聖なるカトリック教会と現代アートを同時に楽しめる場所、スペイン・マドリッドの「アルムデーナ大聖堂」
スペインのほとんどの県には大聖堂があるのですが、1561年から首都であるマドリッドに、実は1993年まで大聖堂は存在していませんでした。
今回はそんなマドリッドようやく建設されたアルムデーナ大聖堂(Catedral de Almudena)をご紹介します。
王宮と向かい合わせにあるアルムデーナ大聖堂は、カナリア諸島テネリフェ島、バスク州ヴィトリア県の大聖堂と並び、スペインの中で一番新しい大聖堂として有名です。
見事な造りの外部は新古典様式で、
外観の色は、王宮に合わせグレーになっています。
実はマドリッドは16世紀から大聖堂を持つことを望んでいました。
しかしながら、マドリッドは前首都であったトレドの大司教区に属していたため、教会の管轄権を握るトレドによって、マドリッドが独立した大聖堂を持つことを許されていませんでした。
そんなマドリッドの状況を見かねたアルフォンソ12世王(1874-1885即位)が、1879年に王室の権限として、妻マリア・デ・ラス・メルセデス・デ・オルレアンスの所有地に大聖堂建設の許可を与えます。
そして1883年4月4日、アルフォンソ12世王の手により最初の石が置かれ、大聖堂の建設がいよいよ開始されます。
建築家フランシスコ・デ・クーバスが手がけた大聖堂は、彼の時代だけで終わる事が無く、彼の死後、エンリケ・マリア・レプジェス・イ・ベルガスが跡を継ぎ、大聖堂の建設を継続させます。
そして、ようやく新ロマネスク様式の地下聖堂が出来上がり、1911年にはじめて礼拝が行われました。
しかしながら大聖堂の建設はこれで終わりではありません。
引き続き、地下聖堂の上部の建設が進められていきます。
しかしながら、不安定な政治、不況、そしてスペインの内戦勃発(1936-1939)などで、工事は大聖堂建設の途中にもかかわらず、完全にストップすることになるのです。
そんな状況を変えようと、第二次世界大戦後の1950年に大聖堂を完成のためのコンクールが開催されます。
そしてそのコンクールで二人の建築家フランシスコ・チュエカ・ゴイティアとカルロス・シドロが選ばれ、大聖堂の建築が再開されることになります。
しかし、1965年、財政不足のため、再び建築が続けられなくなってしまいます。
その後約20年間放置された大聖堂は、1984年にマドリッドの市役所、スペイン政府、一般資産家の援助を得て、ふたたび大聖堂の工事を再開することになります。
そしてついに1993年6月15日、当時のローマ法王ヨハネ・パウロ二世のもと、アルムデーナ大聖堂が完成する事になります。
アルムデーナ大聖堂の地下聖堂は新ロマネスク様式、外部が新古典様式で、内部は新ゴシック様式とそれぞれ違った様式で造られていますが、それぞれが実に美しい造りです。
壮大なエレクトリックパイプオルガンに
荘厳な中央祭壇に
十字架のキリストなど
様々な時代を経て製作されたものがたくさんあります。
上部にキリスト、下にはローマ法王がかたどられた大きな扉や
現代アートの要素も感じるステンドグラス
各礼拝室に置かれている像もどこか現代の息吹を感じさせます。
大聖堂の周りにも現代アートの作品を見る事ができます。
さまざまな苦難の歴史を経て建設されたマドリッドの大聖堂は、その歴史の中で積み重ねられてきた、新しい大聖堂と言えるかもしれません。
マドリッドを観光する時には、現代アートと聖なるカトリック教会の雰囲気を同時に楽しむことができる「アルムデーナ大聖堂」で、マドリッドの歴史そのものを感じてみてはいかがでしょうか?
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名前 サンタ・マリア・ラ・レアル・デ・ラ・アルムデナ大聖堂 (Santa María la Real de La Almudena)
場所 Calle de Bailén, 10, 28013 Madrid, Spain
アクセス 地下鉄2・5・R号線オペラ(Opera)駅から徒歩8分
ホームページ http://www.catedraldelaalmudena.es/