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従来のレバーではなく、電気の力を使って自転車のギヤを変速できる「電動コンポ」はロードバイク乗りやMTB乗りの多くが憧れるアイテムの1つですが、導入にはおよそ20万円ほどの費用がかかるのが最大のネックといえます。そんな悩みを解消してくれそうなのが、既存の機械式コンポに後付けするだけで電動化することが可能な「XSHIFTER」です。

XSHIFTER - Wireless Shifting System

http://xshifter.strikingly.com/

XSHIFTERは、強化プラスチック製の本体にモーターを脱着式バッテリーを内蔵する後付け式電動コンポです。最大の特徴は、既存の機械式ディレイラーを残したまま、シフトケーブルを引っ張る機構だけを電動・ワイヤレス化するところにあり、主要メーカー製の電動コンポの5分の1程度という圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。



この製品は、クラウドファンディングのKickstarterで出資キャンペーンを実施し、見事に製品化が決定したもの。キャンペーン時に発表されていた紹介ムービーで使い方が公開されています。

XSHIFTER Introduction - YouTube

開発者のポール・ギャラガーさんが手に持っているのがXSHIFTERの本体。単体だと重量は80グラムで、操作用のリモコンと合わせてもおよそ115グラムという軽量さ。



XSHIFTERは基本的に1個で前後どちらかのディレイラー(シフト機構)を操作する仕組み。この画像では、リア用のユニットがシートステーに、そしてフロント用のユニットがシートチューブに白いナイロン製バンドで固定されているのがわかります。(赤枠参照)



ハンドルの親指部分にはコントロール用のリモコンを装着。ボタン式のスイッチをポチッと押せば……



「ギュイン」というモーターの音とともに、リアが変速。よく見ればわかるように機械式ディレイラーが使われており、XSHIFTERでシフトケーブルを引っ張ることで変速する仕組みになっています。



リモコンのボタンは4ボタン式。別のボタンをポチッと押すと……



今度はフロントが変速しました。このように、XSHIFTERは完全電動コンポではありませんが、一部を電動化することでシフト周りを電動・ワイヤレス化することが可能なシステムとなっています。



メリットの1つは、XSHIFTERが1つであらゆるメーカーのディレイラーに対応が可能なところ。スマートフォンアプリなどでケーブルの引っ張り量を調整することができるので、あらゆるメーカーのディレイラーに後付けできるようになっているとのこと。



上記ムービーではMTBのフラットバーハンドルの例となっていましたが、ロードバイク用のリモコンも用意されています。既存のメーカーの製品とは異なり、片手だけで前後の変速を行うことが可能になっています。



さらに、トライアスロンやタイムトライアル用のバイクに対応する「TTタイプ」のリモコンも用意されています。



電動化することで、シフトの状況に応じてフロントとリアを自動的に最適な状態に変速する「セミオートマ」機能も実現されています。さらに、パラリンピック出場選手からアイデアを得たという「音声シフト」にも今後は対応予定とのこと。



XSHIFTERはウェブサイトから購入できるようになっていますが、記事作成時点では事前予約の受付中。もっともベーシックな「XSHIFTER」は、本体とフラットバーハンドル用リモコンがセットで239ドル(約2万7500円)。TTタイプも同額ですが、ロードバイク用リモコンのセットは279ドル(約3万2200円)となっています。



本体にモーターを2つ内蔵した「XSHIFTER PRO」だとそれぞれ299ドルと339ドル(約3万4500円と約3万9000円)となっています。このタイプは、リアサスのないハードテールタイプのMTBに最適とのこと。



また、XSHIFTERの2個セットは399ドルと430ドル(約4万6000円と約5万1000円)。ちなみに、30ドル(約3500円)以上の購入で送料が無料になるので、XSHIFTER本体を購入する場合は事実上の送料無料ということになる模様。



バッテリーは4時間の充電で満充電になり、使用状況に応じておよそ1週間から1か月の使用が可能とのこと。心配な場合は、予備のバッテリーを39ドル(約4500円)で購入することも可能です。



既存の機械式ディレイラーからの交換には特殊な工具は必要なく、慣れている人であれば自分で行うことも可能。以下のムービーのようにまずは元のシフターとケーブルを取り外し、XSHIFTERの本体とケーブルを所定の場所に取り付けるだけで交換が完了。あとはスマートフォンから設定を行えばOKです。

Full Tutorial - Xshifter Wireless shifter - YouTube

また、シフトケーブルを引っ張るテンションは全てアウター(ケーシング)で受け止めているので、以下のムービーのようにフレームに固定されていない状態ですら動作が可能。そのため、実際の使用時でもタイラップなどで固定しておけば使えるようになります。

XSHIFTER | Performance test | The world's first universal wireless shifter - YouTube