高齢化問題の波がニートにも押し寄せてきている。

 ニートとは「Not in Employment,Education or Training」という英語の頭文字から生まれた造語。高校や大学を卒業した後、仕事も進学もせずに働く意欲も持たない若者を示す言葉として最近よく耳にする言葉だ。失業者問題やフリーターの増加とともに、政府が労働問題の重要課題に挙げている事項なのだが、最近新たに浮上しているのがニートの高齢化問題なのだという。

 総務省統計局の調査によると15歳から34歳の非労働力人口のうち、通学も家事もしていない若年無業者は11年前の40万人から64万人に増加。その内15歳から24歳までの数は21万人から28万人に増加しているのに対して、25歳から34歳までの数は19万人から37万人に増加と倍増しているのだ。若年層のニート化は将来的には日本経済の成長を鈍らせる要因となるだけに、これは深刻な問題。

 もちろん政府もこの問題に対してのただ手をこまねいているわけではない。厚生労働省では新たな雇用支援対策も実施、企画しているという。

 「若年層の雇用支援対策として、年内には『若者自立塾』という合宿形式での雇用支援企画を実施する予定です。合宿では働くことの意義ややりがいを体験を通して学んでもらったり、就職に関しての相談会を行ったりと就職を斡旋するというよりも、メンタル面のケアを充実させたものにしたいと考えています」(厚生労働省)。

 その他、昨年からは「ヤング・ジョブ・スポット」という就職に関しての相談所を全国に設置していて、「就職先を紹介するという職業安定所とは違い、仕事に対する悩みを受け付けるなど、心のケアを目的に」(同)している場所になっている。ニート対策には仕事の紹介ではなくまずは精神的なケアを、というわけだ。

 ただ、氷河期と言われた、過去の就職難の時代に就職できなかった若者が、そのままニートとして年齢を重ねていることで高齢化が進んでいる現在、抜本的な対策には今後の景気回復の動向も重要なカギを握りそうだ。(文/verb)