Photo by Pixabay

写真拡大

 EXILEらの所属事務所である芸能プロダクション「LDH」が10月23日、アメリカ・ヨーロッパ・アジアなどの海外に拠点を置き、世界展開をスタートさせることを公式サイトで発表した。海外展開を統括した名称を「LDH WORLD」とし、現LDH社長であるHIRO(47)がクリエイティブ・リーダーに就任する。

 HIROは公式サイトで「“ディズニー”や“ユニバーサル”のような世界中の人が楽しめるエンタテインメントを生みだせる会社をめざしたい」とコメントしたが、業界では冷ややかな目ばかりが向けられている。

 今回発表された海外展開の根幹としては、日本でも展開されているEXILEのダンススクールでもある「EXPG(EXILE PROFFESIONAL GYM)」を、ロサンゼルスなどで新たに開校し、エンタテインメントを世界で創造できる体制を作るというもの。いかにもEXILEらしいプロジェクトではあるが、ネット上でも既に「どこに需要があるのか」との疑問が多くあがっているのも事実で、中には「結局EXILE商法を世界に広げたいだけ」と、手厳しい声もあがっているという。

 そもそもこれまでのLDHは、限定版のCDの特典パターンを何重にも用意し、一ファンに何枚もCDを買わせる“特典商法”で売り上げを伸ばしてきた。最近では、EXILEが中心となった映画『HiGH&LOW THE MOVIE』の映画鑑賞会を、ライブチケットに抱き合わせたプレミアムパッケージチケットを販売するなど、その商法もなりふり構わず振り切っていただけに、“男版AKB商法”と揶揄する声も少なくない。

■”ブラック企業”イメージが定着したLDH

「この様な特典商法に少しずつファン離れが加速しています。国内での売り上げは完全に頭打ち状態となっているため、今回の海外展開も、そんな国内市場に限界を感じて、早い内に日本を飛び出そうということなのでしょう。しかし、海外事業はそんなに簡単ではない。安易な戦略としか言いようがないですね」(音楽業界関係者)

 このような商法が通用するのも日本だけ、との声も大きいだけに、海外戦略に明確な勝算があるのかは疑問だ。世界で大幅な赤字を作って、おめおめと日本に帰ってくることにならないといいのだが……。

 LDHは7月に『週刊文春』(文藝春秋)が報じた、社内で蔓延する“体育会系イジメ”がいまだに収まっておらず、法外な残業もなお続いているという。さらには同じく『週刊文春』が、三代目JSBのレコード大賞を1億円で買収したと報じ、衝撃が走ったばかり。

「社長のHIROは、2020年の東京オリンピックで開会式出演を目論んでいるようですが、実現の可能性は薄い。今回の海外進出も、LDHブランドを大きくして国内でのイメージを何とか回復させたいと考えたのでしょうが、あまりにも印象が悪すぎる。信頼回復は難しいのではないでしょうか」(芸能記者)

 日本を飛び出す前に、まず国内での信頼回復を目指すべきなのではないだろうか。

文・橘カイト(たちばな・かいと)※1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。