ドランク塚地先生が教える「誰でも一発ギャグが作れる方法」「LIFE!」#17

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『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』(NHK総合 毎週木曜22:25〜)。第17回(10月13日放送)のコントは「オモえもん」「おじさんの町」「メッセージ」。LIFEアニメ化プロジェクト第2弾、新コーナー「LIFE LESSSON」も放送された。


塚地先生の一発ギャグ講座


「LIFE LESSON」は、講師を迎えて人生がちょっとだけ豊かになるレッスンを受けるコーナー。今回は塚地先生による「一発ギャグの作り方」。「だるまさんがダンシントゥナイ!」など通算500個ほどのギャグがあるという塚地。その作り方は「みんなが知っている歌やフレーズの結末を変える」というもの。

塚地「そもそもの歌を知っていると急に裏切られるから、みんなが幸せに笑われる」
田中「そうかそうか、みんなの中にフリがあるから」
塚地「そうなんです」

一発ギャグは文字通り「一発」で笑わせないといけない。笑いの基本はフリとオチだが、一発ギャグは丁寧にフリをする時間がない。そこで塚地は「みんなの頭の中にあるもの」をフリに利用し、時間を短縮しているのだ。

これを受け、実際に一発ギャグを作ることになった西田尚美・吉田羊・石橋杏奈の女優3名。なかでも吉田羊の飲み込みが早かった。

吉田「♪桃太郎さん桃太郎さん〜お腰につけた〜、その拳銃をこっちに渡しなさい!」

楽しい童謡から一転、真顔で犯人に迫る吉田羊。完璧である。この空気に内村座長も黙っていられなくなったのか、自ら「2008年に思いついたが恥ずかしくなって封印していたギャグ」を披露すると言い出し……

内村「ポキンパキン北京オリンピック!」

今までのレッスンと全く関係ない構造の一発ギャグ!ウッチャン、やりたがりである。

セットは「リアルだけどリアルすぎずに」


「オモえもん」では、しずかちゃん風の女子・ゆめかちゃん(石橋杏奈)が登場。さとしくんの部屋で宿題を教えてくれるゆめかちゃん。一方、さとしくんと早く遊びたいオモえもん。ここでひみつ道具かと思ったら「教科書解答集〜」と、リアルに子供に秘密な道具を出して、ゆめかちゃんを追い返してしまう。

この教科書解答集、出版社名が「来風出版」(らいふしゅっぱん)だったことにお気づきだろうか。公式HPの「LIFE! ホットワン!」ではオモえもんのセットが公開されており、スタッフのこだわりが紹介されている。さとしくんの部屋には2016年のカレンダーがあるが、コンセプトは「1970年代の小学5年生の部屋」。広さは8畳で、『ドラえもん』ののび太の部屋(6畳)より若干広い。勉強机の上には電動の鉛筆削りや蛍光灯の電気スタンド、本棚の中には百科事典やマンガ本が並ぶ。マンガの表紙は美術フタッフの手作りだそうだ。

でんでん町長のチャーミングな動きから目が離せない「おじさんの町」でも、町長室のセットが作り込まれていた。ただ細部にこだわるだけでなく、窓辺に雑然と置かれた民芸品や、本棚の古い書物のなかに香山滋(映画「ゴジラ」の原作者)の全集が8巻のみあるなど、町長の「大雑把さ」が表現されているようにも感じた。

こうした『LIFE!』のセットについて、美術を担当する服部正子は「リアルに作りすぎないこと」を意識しているという。

「セットにリアルさは必要なんですが、リアルに作りすぎると、視聴者の目がセットに行ってしまって、コントが目立たなくなってしまうんです。(中略)こりすぎずに、でもこんなの「あるよね」という程度のリアルさは出したい。そのさじ加減が難しいんです」(スタッフ人生劇場 | NHK×コント | NHK職員採用情報より)

映画やドラマのように背景も人物も全てリアルに揃えるのではなく、あくまでコントが際立つようにバランスを取る。そんな職人技に支えられて『LIFE!』のコントはできあがっている。

ちなみに「うそ太郎」のセットでも、寿司屋の片隅で冷やしてある日本酒のラベルが「らいふ」になっていたりする。セットの中から「隠れLIFE」を探すのもまた楽しい。

今夜10月20日(木)放送の『LIFE!』第18回は女マンの女漫談が再び登場。次回予告のナレーションには「LIFE、毎週放送がある喜び、噛み締めています」という喜びの声がありました。よかったよかった。

(井上マサキ)