中国が開発した「天眼」と呼ばれる世界最大の電波望遠鏡「FAST」の運用が9月25日から始まった。「天眼」の直径は500メートルと世界最大であり、中国内外から今後得られる研究成果に大きな期待が寄せられている。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国が開発した「天眼」と呼ばれる世界最大の電波望遠鏡「FAST」の運用が25日から始まった。「天眼」の直径は500メートルと世界最大であり、中国内外から今後得られる研究成果に大きな期待が寄せられている。

 しかし中国メディアの観察者はこのほど、「天眼」に対する評価の中には行き過ぎたものもあると指摘しており、バランスの取れた見方をするよう提言している。

 記事は「天眼」に対する評価のなかに「中国は世界の20年先を行く天の眼を建設した」と報じたメディアがあると指摘。しかし、南米チリに建設されたアルマ望遠鏡などの「開口合成電波望遠鏡こそが天文物理研究の利器であり、電波天文観測技術発展の主流である」と説明した。

 また、開口合成電波望遠鏡は非常に優れた性能を持つとしながらも、欠点のない技術ではなく、単口径電波望遠鏡である「天眼」はあくまでも開口合成電波望遠鏡の欠点を補う存在になるという見方を示した。

 開口合成電波望遠鏡であるアルマ望遠鏡とは、パラボナアンテナを「66台」組み合わせた電波望遠鏡だ。このパラボナアンテナはすべて移動可能で、間隔を最大16キロメートルまで広げることができる。つまり直径16キロメートルの電波望遠鏡に相当する空間分解能を得ることができるということだ。

 「天眼」もアルマ望遠鏡も宇宙の起源についての知見を人類に与える点で非常に優れた貢献をするに違いない。そうした計り知れない圧倒的な価値のある知見に比べれば、恐らくどの国の望遠鏡が最も優れているかという類の議論はそれほど大きな意味を持つことはないだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)