肥満だけでなくEDも…「食べすぎ」の悪影響が怖すぎる

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近年、増えているといわれる20代、30代といった若年層夫婦のセックスレス。その原因は様々だが、男性が性機能障害を抱えているために…というケースも中にはあるだろう。

では、男性の性機能障害は何によって引き起こされるのか。

そこには「食」が大いに関わっている。そう語るのは、『「稼げる男」と「稼げない男」の健康マネジメント』(明日香出版社刊)の著者である水野雅浩さんだ。

今回は、食事が生命に与える影響の大きさについてお話をうかがった。

■健康状態は、食事、運動、睡眠、ストレスケアという4要素のバランスで決まる

――本書では、「健康マネジメント」について、食事、運動、睡眠、ストレスケアという4つの観点から語られていますが、やはり、これら全ての要素に「バランスよく」気を配ることが重要なのでしょうか。

水野:その通りです。四つの要素に関して行き届いた生活を送ることは、オセロでいえば、四つ角をおさえるようなもの。一見、優勢に見えたとしても、四つ角をおさえていないかぎり、いつ形勢逆転されてもおかしくないですから。

どんなに良い食事を摂っていても、睡眠の質が低ければ、思ったようなパフォーマンスを出すことは難しいでしょう。

さらにいえば、若い時期にどれだけ、これらの要素に気を配れているかどうかで、老後の健康状態に雲泥の差が出ます。

――「老後の健康」について、もう少し詳しく聞かせてください。

水野:私は香港のレストランに赴任する前、10年間ほど介護の仕事に携わっていました。

そのなかで、80代、90代になっても元気に過ごしている方と、60代、70代ですでに何かしら病を抱えている方とで、どのような違いがあるのかについて考えさせられる機会があったのです。

それはひと言でいえば、若いころにどれだけ自分の身体を大切にできていたかの違いです。

若いころ健康に気をつかっていなかったばかりに、60代で慢性腎不全になってしまった方をケアしたことがありました。腎不全になると、身体が自ら血液をきれいにすることができなくなります。

結果、週に二、三度は病院へ行き、人工透析をおこなって、血液を入れ替えなければなくなる。また、透析治療を続けていると、毛細血管はボロボロになってしまいます。

このような状態で、その後も二十年、三十年と生き続けていくのは辛いものです。「自分はどんな老後を過ごしたいのか」から逆算して、若いうちに健康への投資を始めることをおすすめします。

――リーマンショックをめぐってのエピソードもそうでしたが、やはり、そうした実体験を積み重ねてきたことが、水野さんの現在の活動につながっているわけですね。

水野:そうですね。香港にいたころの話に戻ると、現地のビジネスパーソンを見ていて、習慣の違いにカルチャーショックを受けることがよくありました。

たとえば、息抜きの仕方。日本では、15時ぐらいになると休憩をとり、近所のコンビニへ行ってコーヒーを買うという光景をよく目にしますよね。でも香港では、こうしたとき、漢方薬局へ行って漢方のお茶を飲むのが常識なんです。

その背景には、東洋医学ならではの予防医学的な考えがあります。

現地の予防医学の先生のところへ行ったとき、「病気にならないよう、定期的に私のところに来なさい」といわれたことがありましたが、対症療法をよしとする西洋医学とは全く異なる考えにもとづいて暮らしている人たちがいるのだと思い知らされた瞬間でした。

――そうしたことも含め、異文化に触れたことで新たに気づかされたことも多かったわけですね。

水野:もうひとつ付け加えるなら、香港にいたことで、和食の素晴らしさを再認識させられたことも大きかったように思います。

インタビュー前編でも、「日本食レストランに頻繁に来るお客様ほど、スリムな体型を維持している人が多かった」という話をさせていただきましたが、和食は栄養バランスからいっても、理想的な食事なのです。

ザッと挙げるだけでも、しっかりタンパク質を摂れる、油分が少ない、旬の野菜を多く摂れるために抗酸化力が高まる、といった点があります。

――そう考えると、日本人は恵まれた状況にあるわけですが、必ずしもその恩恵を充分に受けているとはいえないように思います。水野さんは、日本の平均的なビジネスパーソンの食への意識に関して、どのような問題意識をお持ちですか。

水野:「うどんとご飯のセット」が典型ですが、多くの日本人は炭水化物を摂り過ぎだと思いますね。

身体を動かす仕事に就かれている方であれば問題ないのですが、オフィスワーカーの場合、このような炭水化物の摂り方は過剰といわざるをえません。

炭水化物は糖質と食物繊維で構成されています。つまり、炭水化物を過剰に摂れば、糖質過剰に陥るわけです。過剰に摂取した糖質は内臓脂肪になります。そして、状態が悪化すれば、糖尿病になる。

――食を侮ると、大変なことになるのですね……。もうひとつ食に関していえば、本書のなかで「食べすぎはED(勃起機能の低下)につながる」と書かれていたのも驚きでした。

水野:もう少し正確に申し上げると、糖質や脂質の摂り過ぎがEDにつながります。これらの成分を摂り過ぎることで血液がドロドロになり血流が悪くなってしまうからです。EDは血管の詰まりによって起こるというわけですね。

また、こうもいえます。精力の強さ=生命力が高さという面がありますが、人間というのは、少し飢餓感があるくらいのほうが、生命力は高まるんですよ。

――それはどういうことですか?

水野:「トマトに水をあげすぎるのは良くない」といった類の話を聞いたことがありませんか? あれと同じで、生命体のなかに埋め込まれている「長寿遺伝子」は飢餓状態になって初めて発現するという研究報告があります。

つまり、「少し足りない」くらいのときのほうが身体は目覚める。「子孫を残そう」という意識が強く働くわけです。なので、腹八分目ぐらいでやめておくのがちょうどいいんですよ。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

水野:インタビューの冒頭で「健康」に興味を持ったきっかけはいくつかあったという言い方をしましたが、実は、リーマンショックの際に目の当たりにしたこと以外にもうひとつ、大きな契機となった出来事がありました。

レストランの集客のため、ある五つ星のレストランへ営業に行ったときのことです。当時私は30代だったのですが、今よりも10キロほど太っていました。そのせいか、あまり良い印象を与えなかったんでしょう。ホテルのコンシェルジュは私の姿を見るなり、こう言ったんです。

「あなたのように、自分の身体すらマネジメントできない人に、我々と同じレベルのサービスができるとは思えない。世界のVIPをあなたに紹介するわけにはいかない」と。

不健康であることがビジネスチャンスを失うことにつながるという現実を叩きつけられた瞬間でした。これからますますグローバル化が進めば、国内にいても私のような経験をする人は増えていくでしょう。

その意味で、若いうちに健康習慣を身につけることは大変重要なことだと考えています。

また、三十代から四十代にかけては、仕事の質も量も右肩上がりに高まっていく時期。と同時に、健康の土台が崩れやすい時期でもあります。気持ちとしてはアクセルを踏みたいのに、身体がブレーキをかけてしまう。そんなビジネスパーソンをこれまで多く見てきました。

日頃からコツコツと健康マネジメントを行ない、安定した健康状態を作っておくことが、仕事のパフォーマンを押し上げることにつながります。

後悔の少ない人生を送っていただくためにも、本書でご紹介したメソッドを活用していただけたら、うれしいですね。
(新刊JP編集部)

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