【コラム】中国投資家によるACミランの買収に思う
■ ACミランとは
ACミランはイタリアのプロサッカー1部リーグであるセリエAのプロサッカークラブである。本拠地はミラノであり、1899年に創設された歴史あるチームである。これまでにセリエAでは18回優勝し、UEFAチャンピオンズリーグでも7回優勝している。イタリアやヨーロッパだけでなく、世界的にも人気が高い。日本人では代表の本田圭佑選手が所属しており、日本でも知名度が高いクラブである。
■ ACミランの売却
現在のオーナーは世界的な資産家でもあり、イタリアの首相を務めたこともあるベルルスコーニ氏である。しかし、最近では成績不振により、収入が減り、選手を補強する資金が不足しているともいわれている。
そのようななか、中国の投資家グループにACミランが売却されるとの報道がされている。この投資家グループのなかにはアリババのジャック・マー会長も含まれているといわれる。
近年、中国企業によるヨーロッパのプロサッカークラブの買収が相次いでいる。最近もイングランドプレミアリーグのアストンヴィラを中国系のレコングループが買収するとの発表があった。
■ 中国のサッカー強化策
習近平氏はサッカーファンとして知られているが、2月には中国共産党が国を挙げてサッカー強化を図る方針を定めている。これは国策としてサッカーを振興し、愛国主義につなげる狙いもあるとみられ、学校教育からプロまでサッカーの一貫した育成体制を作るものであるといえよう。このような背景から、中国のプロサッカーリーグでは巨額の資金を投入し、各国の代表クラスの選手や、世界的に知名度の高い監督を獲得するクラブチームが続出した。
中国のプロサッカークラブはこれまでも資金力を背景にチームの強化を図ってきた。昨年のアジアのクラブチームが競う、AFCチャンピオンズリーグでも中国の広州恒大が優勝している。
■ 買収がもたらすもの
世界的に人気の高いプロサッカークラブの買収は珍しいことではない。これまでも有数の資産家による買収が行われてきた。例えば、イングランドプレミアリーグのチェルシーはロシアの実業家であるアブラモヴィッチ氏に2003年買収された。ベルルスコーニ氏も1986年にACミランを買収している。
特に最近では買収をきっかけとしてオーナーの豊富な資金力を背景に、各国の有力選手を獲得するケースが目立っている。その結果として、何年かぶりの優勝を果たすチームもある。
有力選手や監督の獲得がチームの成績を左右し、獲得に多額の資金が必要になる状況では、中国マネーによる買収を歓迎するファンも多いと考えられる。しかし、今回のACミランの買収によってチームが低迷から抜け出せればいいと考える向きがある一方で、ビジネスのみでチームへの愛情があるかを危惧する向きもある。中国企業のオーナーがサポーターから愛される存在になれるか注目していきたい。(執筆者:日本経営管理教育協会・磯山隆志 編集担当:大平祥雲)(イメージ写真提供:日本経営管理教育協会)
ACミランはイタリアのプロサッカー1部リーグであるセリエAのプロサッカークラブである。本拠地はミラノであり、1899年に創設された歴史あるチームである。これまでにセリエAでは18回優勝し、UEFAチャンピオンズリーグでも7回優勝している。イタリアやヨーロッパだけでなく、世界的にも人気が高い。日本人では代表の本田圭佑選手が所属しており、日本でも知名度が高いクラブである。
■ ACミランの売却
そのようななか、中国の投資家グループにACミランが売却されるとの報道がされている。この投資家グループのなかにはアリババのジャック・マー会長も含まれているといわれる。
近年、中国企業によるヨーロッパのプロサッカークラブの買収が相次いでいる。最近もイングランドプレミアリーグのアストンヴィラを中国系のレコングループが買収するとの発表があった。
■ 中国のサッカー強化策
習近平氏はサッカーファンとして知られているが、2月には中国共産党が国を挙げてサッカー強化を図る方針を定めている。これは国策としてサッカーを振興し、愛国主義につなげる狙いもあるとみられ、学校教育からプロまでサッカーの一貫した育成体制を作るものであるといえよう。このような背景から、中国のプロサッカーリーグでは巨額の資金を投入し、各国の代表クラスの選手や、世界的に知名度の高い監督を獲得するクラブチームが続出した。
中国のプロサッカークラブはこれまでも資金力を背景にチームの強化を図ってきた。昨年のアジアのクラブチームが競う、AFCチャンピオンズリーグでも中国の広州恒大が優勝している。
■ 買収がもたらすもの
世界的に人気の高いプロサッカークラブの買収は珍しいことではない。これまでも有数の資産家による買収が行われてきた。例えば、イングランドプレミアリーグのチェルシーはロシアの実業家であるアブラモヴィッチ氏に2003年買収された。ベルルスコーニ氏も1986年にACミランを買収している。
特に最近では買収をきっかけとしてオーナーの豊富な資金力を背景に、各国の有力選手を獲得するケースが目立っている。その結果として、何年かぶりの優勝を果たすチームもある。
有力選手や監督の獲得がチームの成績を左右し、獲得に多額の資金が必要になる状況では、中国マネーによる買収を歓迎するファンも多いと考えられる。しかし、今回のACミランの買収によってチームが低迷から抜け出せればいいと考える向きがある一方で、ビジネスのみでチームへの愛情があるかを危惧する向きもある。中国企業のオーナーがサポーターから愛される存在になれるか注目していきたい。(執筆者:日本経営管理教育協会・磯山隆志 編集担当:大平祥雲)(イメージ写真提供:日本経営管理教育協会)