【漢字トリビア】「田」の成り立ち物語
「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「田んぼ」の「田」。「水田」「美田」の「田(デン)」です。「田」という字は、ひと目でわかる象形文字。区画された田の形を描いた漢字です。今回は「田」に込められた物語を紹介します。
蓮華や菜の花があぜ道を飾る春。
初夏、田植えを待つ穏やかな水面は、空や山をうつし出します。
緑のじゅうたんは、いつしか黄金色のさざなみへ。
収穫後のはざ架けした稲からとんぼが飛び立つ秋。
やがて、冬鳥が静かに落ち穂をつつくようになります。
「田」という字の形は、一幅の絵をとりまく額縁のよう。
四季折々の美しさを封じ込めた田んぼの風景は、私たちの目を楽しませ、やすらぎをもたらしてくれます。
荒れる川を治め、山をひらき、土を耕し、水を導く。
いにしえの人々は苦労を重ねながら田んぼを作ってきました。
彼らを支えたのは、神々や自然への敬意と、田んぼをとりまく生きものたちと触れ合う喜び、そして豊かな実りのとき。
その心は日本の年中行事となり、今に伝わっています。
たとえば「お花見」は、農作業に関係あるしきたりのひとつ。
「さくら」の「さ」は田の神を、「くら」は依代を意味し、神が宿る桜の木の下で神とともに宴を催し、豊作を祈ったのが「お花見」の始まりといわれています。
ではここで、もう一度「田」という字を感じてみてください。
作物は人の足音を聞いて育つといいます。
農作業の基本は、深い愛情と温かな見守り。
力強く頼もしい「田」という漢字には、その覚悟がこめられています。
田んぼは、人が手を加えて造り出したいのちのかたち。
人々は手つかずの自然に抱く畏敬の念とは違った、いのちあるもの同士としての親しみや思いやりをもって接してきました。
語り合い、寄り添うようにして実りのときを待つ日々。
そこには、田んぼに息づくいのちを尊重する気持ちがあるのです。
私たちのすぐそばに広がる、家庭や学校、職場もまたひとつの「田んぼ」。
そこは、人がいのちあるものを育てるための場所なのです。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献
『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『田んぼの営みと恵み』(稲垣栄洋/創森社)
『生きもの語り 人間が知らない田んぼの世界』(宇根豊/家の光協会)
4月16日の放送では「環」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
【あわせて読みたい】
★「熊本の皆さん大丈夫ですか」10代のラジオリスナーの声(2016/4/15) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/QLlQLbSBjh.html
★弁当に冷凍食品禁止って、根拠あるの?(2016/4/13) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/7NCDCnFA1h.html
★【漢字トリビア】「新」の成り立ち物語(2016/4/8) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/npwQyPqCSU.html
<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/
蓮華や菜の花があぜ道を飾る春。
緑のじゅうたんは、いつしか黄金色のさざなみへ。
収穫後のはざ架けした稲からとんぼが飛び立つ秋。
やがて、冬鳥が静かに落ち穂をつつくようになります。
「田」という字の形は、一幅の絵をとりまく額縁のよう。
四季折々の美しさを封じ込めた田んぼの風景は、私たちの目を楽しませ、やすらぎをもたらしてくれます。
荒れる川を治め、山をひらき、土を耕し、水を導く。
いにしえの人々は苦労を重ねながら田んぼを作ってきました。
彼らを支えたのは、神々や自然への敬意と、田んぼをとりまく生きものたちと触れ合う喜び、そして豊かな実りのとき。
その心は日本の年中行事となり、今に伝わっています。
たとえば「お花見」は、農作業に関係あるしきたりのひとつ。
「さくら」の「さ」は田の神を、「くら」は依代を意味し、神が宿る桜の木の下で神とともに宴を催し、豊作を祈ったのが「お花見」の始まりといわれています。
ではここで、もう一度「田」という字を感じてみてください。
作物は人の足音を聞いて育つといいます。
農作業の基本は、深い愛情と温かな見守り。
力強く頼もしい「田」という漢字には、その覚悟がこめられています。
田んぼは、人が手を加えて造り出したいのちのかたち。
人々は手つかずの自然に抱く畏敬の念とは違った、いのちあるもの同士としての親しみや思いやりをもって接してきました。
語り合い、寄り添うようにして実りのときを待つ日々。
そこには、田んぼに息づくいのちを尊重する気持ちがあるのです。
私たちのすぐそばに広がる、家庭や学校、職場もまたひとつの「田んぼ」。
そこは、人がいのちあるものを育てるための場所なのです。
漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。
*参考文献
『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『田んぼの営みと恵み』(稲垣栄洋/創森社)
『生きもの語り 人間が知らない田んぼの世界』(宇根豊/家の光協会)
4月16日の放送では「環」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。
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★「熊本の皆さん大丈夫ですか」10代のラジオリスナーの声(2016/4/15) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/QLlQLbSBjh.html
★弁当に冷凍食品禁止って、根拠あるの?(2016/4/13) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/7NCDCnFA1h.html
★【漢字トリビア】「新」の成り立ち物語(2016/4/8) http://tfm-plus.gsj.mobi/news/npwQyPqCSU.html
<番組概要>
番組名:「感じて、漢字の世界」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20〜7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/