ジャンプはアンケート順位が全てじゃない!面白い&売れるということ
少年誌としてトップの座を走り続けている週刊少年ジャンプ。同誌から生まれ、現在実写映画が公開中の人気漫画「バクマン。」は、同誌での連載を目指し高校生漫画家が奮闘する物語だ。「バクマン。」でも描かれているように、週刊少年ジャンプの特徴はアンケート至上主義であるといわれている。それゆえに連載作品はアンケートの結果が悪いと、打ち切りになるとうわさされてきた。しかし、週刊少年ジャンプ史上では、一度もアンケートの結果で打ち切られると断言したことはないという。
週刊少年ジャンプ編集部で、「バクマン。」2代目担当を務めた門司健吾氏は、「アンケートは重視していますが、アンケートが最下位だから必ず打ち切られることはありませんし、アンケート順位だけで全てを決めているわけではありません」と語る。「もちろんさまざまな指針の中でも、かなり大きなウエイトを占めてはいますが、いわゆる皆さんが思われているようなアンケートを取れなかった瞬間におしまいということはありません」とのこと。これに、同編集部の副編集長・相田聡一氏もうなずくと、「『バクマン。』では、勝ち負けなど物語をよくわかるようにするためのバトルの要素としてアンケートを用いています」と説明する。
そんな彼らの目標は、面白い漫画を作り、かつヒットさせるところにある。門司氏によると、「『面白い』ということは主観です。こんなに面白いのに売れないという漫画はいくらだってできてしまうわけで。自分で面白いと思いつつ、客観的にヒットしているという事実もないとダメだと思っています」とのこと。しかし、「売れる」ことも重要視することを、“魂を売る”などと悪い方向に受け取ってしまう作家もいるという。
それに対し、相田氏は「魂を売っている時点でダメです」とばっさり。「まず面白くないと売れないので、魂を入れて描いていただいて、面白くかつ売れるものに仕上げなければならないんです」と続ける。また週刊少年ジャンプの読者のメイン層である、中学生や高校生には「だましは効かない」と話すと、つまらないものはつまらないと言い切る子供たちが素直に見て、面白いと思う作品を作らなければならないと主張する。
「バクマン。」のほかにも、「家庭教師ヒットマンREBORN!」などのヒット作を担当してきた相田氏。「ヒットさせて利益を出さなくてはいけないというところはありますが、『面白い漫画を作らないと始まらない』ということなんです。ゴールは『売れること』ですが、面白い漫画を作らなければ、売れるというスタートラインに立てない」と力強いまなざしで明かしていた。(編集部・井本早紀)