「先頭打者」で決まった明暗

3打数3安打1打点の川之江3番主将の日野 智也(2年・中堅手)

 川之江が東予地区新人大会優勝・第2シードの力を見せつけ圧勝。全体像を書けばこうなるが、この試合展開を生んだ大きな要因に「先頭打者」がある。それぞれの先頭打者を振り返ってみよう。

 1回表・川之江の攻撃。先頭打者として右打席に入ったのは「最近、調子がよかったので先発に抜擢した」(友近 拓也監督)石川 竜乃介(2年・遊撃手・164センチ56キロ・右投右打・川之江ボーイズ出身)である。

「球場に来てから先発を言われて『よし』と思った」石川竜。ただ、心は熱くても頭は冷静だった。「いつものようにセンターから右へのライナーを打とう」。自らの得意分野を貫こうと考えた。

 はたして2球目を叩いた打球は狙いとおりに右翼手の前へ際どく落ちる安打。さらに盗塁。「試合の入りを強く入ることを確認した」チーム方針をリードした彼の行動は味方を勢い付け、八幡浜バッテリーを混乱に陥れるには十分なもの。その約15分後、スコアボードには「5」が刻まれることになった。

 対する八幡浜の1回裏。1回表と同じく2球目を叩いた1番・内藤 吉郎(2年・遊撃手・右投右打・175センチ70キロ・八幡浜市立保内中出身)の打球は強いゴロで先発・糸川 亮太(2年・169センチ63キロ・右投右打・川之江ボーイズ出身)の脇を抜けていく。が、その先にいたのは遊撃手の石川 竜乃介であった。軽快なステップから送球。ややワンバウンドになった送球を一塁手・土肥 大星(2年・169センチ58キロ・右投右打・川之江ボーイズ出身)がうまくすくい上げた瞬間、試合の明暗はくっきり分かれた。

 この回、八幡浜は1点こそ取ったが、最後まで川之江から主導権をつかむことができず試合を終えることに。かくして川之江は、新たなオプションと勢いを携え、東予地区新人戦決勝の再戦となる小松との準々決勝へ臨む。

(文=寺下 友徳)

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