負けられない意地、野球で示す・樟南

 夏の県大会、第2シードだった樟南は、鹿児島情報にまさかの初戦敗退を喫した。浜屋 将太―前川 大成のバッテリーをはじめ、2年生にはこの夏の主力を担ったメンバーも多い。捲土重来を期して、好スタートを切るはずだった8月の鹿児島市内大会では池田にまたも初戦敗退を喫し、シード権を逃した。

 「もうこれ以上負けるわけにはいかない」。 開会式の選手宣誓を務めた前川主将は、そんな危機感を募らせていた。初戦の相手が例え今大会注目の好投手・長野 良太(2年)を擁するシード加治木工といえども、臆することなど許されない。そんな名門・樟南の維持とプライドが野球に現れていた。

 何より圧巻はエース浜屋の快投だった。立ち上がりから快調に飛ばし、8回二死まで無安打。出した走者は5回にエラーで1人のみとほぼ完ぺきな投球でつけ入るスキを与えなかった。8回二死から7番・城幹太(2年)にセンター前ヒットを打たれ、ノーヒットノーランは逃したが、終わってみれば無四球、15奪三振の力投だった。

 エースの力投に打線も燃えた。6回まで長野を攻略できず、両者無得点の均衡が続いたが、7回に1番・大澤大樹(2年)のタイムリー内野安打で先制すると、8回には一死から連続四球でチャンスを作り、代打・上栗大聖(2年)が走者一掃のレフト線二塁打を放ち、力投を続けた浜屋に報いた。

(文=政 純一郎)

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