投げては12奪三振!打っては本塁打を含む3安打!大黒柱の活躍で真和志が2年ぶりの勝利

豪快に大会第一号本塁打を放つ真和志・宮城海人

「(部員が17名しかいない)僕らのようなチームは、大黒柱が期待通りに動いてくれるかどうかで決まりますから」試合後の津留監督は声を搾り出すように振り返った。

 先制の幕開けは鮮やかでもあった。初回、真和志は一死から2番津波樹がライト前ヒットで出塁するとパスボールで二塁へ到達。続く當山夏輝がレフト前へ運んで繋げると、4番宮城海人のライト前へのタイムリーで1点。その後四球で満塁として山根海がスクイズを決めて2点を先制した。

 さらに真和志は3回、ヒットで出塁した宮城が盗塁とワイルドピッチで三塁へ進む。その後ツーアウトながら一、三塁とすると、一塁走者がスタート。巧みに挟まれる間に宮城が生還するなど「ウチは打てるチームじゃない」(津留監督)からこその、機動力プラス相手の隙をつくプレーを求める指揮官の期待に、的確に応えるナインの技量が映える見事な序盤だった。

 グラウンド整備後の6回には、2本のヒットに相手のエラーを絡めて1点を奪うと8回、フルスイングした宮城の打球がライトスタンドへ弾む大会第一号のホームランでダメ押し。その宮城は初回からマウンドを守り続け、8回裏に一死から内間祐輔に三塁打を浴びるも後続を三振と一ゴロと得点することを許さず。

 最終9回の北山の攻撃では3本のヒットを放たれるも、このイニング3つのアウト全てを三振で記録するなど、100kmほどの落差の大きなカーブと135kmのストレートを自在に出し入れして北山打線を手玉に取るなど、圧巻の12奪三振の完投でチームを勝利に導いた。

「4月から真和志に赴任したのですが、前任の陽明高校の生徒たちがスタンドで応援してくれた。第一試合で陽明が勝って僕ら真和志も勝てた。真和志の先生や生徒たち、OBの方々も声援を送ってくれた。今夜はゆっくり眠れるかな(苦笑)。嬉しいですね」と、このときばかりは、厳しい表情が少しばかり緩んだ指揮官であった。

 敗れてしまった北山だが、3点を追う苦しい展開の中、エラーと犠打で得た一死二塁のチャンスに9番宮城利丘がチーム初ヒットで繋ぐ。その宮城が盗塁で二・三塁とするとトップの玉寄正大がライト前へ運び二者が生還するなど、ワンチャンスをものにする集中力は見事だった。

(文=當山 雅通)

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