2回戦で激突!

起死回生の逆転3ランを放った阿部一心(報徳学園)

 今秋は2回戦で激突した報徳学園と東洋大姫路の兵庫伝統の一戦は終盤にドラマが待っていた。

 9回表、2点を追う報徳学園は二死まで追い込まれた。それでも一、二塁のチャンスを作り、永田裕治監督が代打に送ったのが背番号8の阿部一心(2年)。足に自信がある選手だが、最近の不調で県大会初戦はベンチで出番を待っていた。2ボール1ストライクから東洋大姫路の二番手・西垣彰太(1年)の直球を振り抜いた。打球は風に乗り、ライトスタンドを目指す。指揮官と本人、そして他の選手もまったく予想していなかった起死回生の3ランとなった。ナインは先攻ながらまるでサヨナラ勝ちしたかのように喜んだ。逆に打たれた西垣は呆然とした表情。試合後、「抑えたい気持ちが強すぎた」と悔しそうに話した。

 さて、両チーム合わせて27安打と打撃戦になったことが勝負のポイントとして挙げられる。特に近畿屈指の左腕である報徳学園・主島 大虎(2年)は14安打を浴びた。「1週間、主島君対策をやってきた」と藤田明彦監督が話すように、東洋大姫路打線の対応が見事だった。しかし苦しむ左腕は、得意技を繰り出した。相手から4つ奪った牽制死だ。藤田監督の話す主島対策の中には、リードの取り方も含まれていた。それを逆手に取って、おもしろいように牽制で誘いだした主島。「(打たれた分は)牽制でカバーすればいいと思いました」と2回以降を最少失点に抑えたことに胸をなでおろした。調子は良くないが、経験で補う。1年春から名門のマウンドに立ってきた男の真骨頂を見た気がした。

 それでも完全な負けゲームだった報徳学園。永田監督は「課題だらけ」と話し、コーチ陣はミーティングで選手に厳しい言葉をかけつづけていた。

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